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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る
53話 裏・オークの村防衛戦2
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それからすぐに経験値とスキルを獲得した所で、周りの冒険者たちに向かって近づいていく。
「しかし、これだけの数となると私としても少々面倒ではある」
「ひっ、やめろ、こっちに来るな!」
それにより1人の冒険者が逃げ出し始めると、それに続くように周囲の冒険者がパニックを起こし、こちらに背中を向けて脱兎のごとく走り始めた。
続けて次の行動を起こすために、他の者には見えていないだろうクロエに視線を送りながら、周囲に聞こえるよう声高に伝える。
「そこで……だ!」
俺の話に合わせて、視線を受け取ったクロエが小声で魔法を発動させる。
「視覚情報の交換」
そうして次の瞬間、
「おい。なんだこれ目が、目が!」
「視界が混ざって……」
「気持ち悪ぃ……」
背を向けて走り出した8割ほどの冒険者が、その場で連鎖的によろけて倒れていく。
倒れた冒険者は先程までクロエが準備をしていた魔法によって、左右の目から見えるそれぞれの景色が、その場にいる別々の冒険者2人が見ている景色と入れ替わっている事だろう。
片方は揺れ動き、もう片方は自分の意志とは違う方向へ曲がるなど、まともに立つことは難しいはずだ。
全員が目をつぶれば立つことも出来るかもしれないが、それでは森の中を歩くことも難しい。
それに対して、魔法の対象にならなかった2割の冒険者は1人を除いて、一度倒れた者たちを見たものの、すぐに森の方へと視線の先を向けて、逃走を図ろうとしている。
「まあ話は最後まで訊きたまえよ、捕縛の鎖」
そこで、相手をその場に縛り付けるために拘束魔法を発動させる。
目の前で展開した魔法陣から魔法の鎖が人数分だけ伸びだすと、クロエが魔法の対象外にした11人に追いつき、その場で体の一部に絡みつく事でこれ以上の逃亡を許さない。
「はっ、離せ!」
「頼むっ、ゆ、許してくれぇ!」
「何、話が終われば君たちを解放するつもりだ。無事に事を成せれば許しもしよう」
捕まってから魔法の鎖をどうにか外そうとして、もがいていた冒険者だったが、俺の言葉を聞いたところで即座に動きが止まる。
実に現金なやつらだ。
「ほ、本当だろうな。さっきのやつみたいにこの世界から解放する、なんて話じゃないだろうな」
「本当だとも、心配ならば言い直そうか? 話が終われば君たちをその鎖から解放しよう、その後は好きに逃げるといい」
すると、会話の途中でクロエが目の前に来て、指をある方向へと向ける。
話を続けながら目線をそちらに送ると、そこには自分の目の付近に手をかざしている冒険者の姿が見えた。
「……もっとも、そちらで倒れている者たちが、自分にかけられた魔法を解除しようなんて真似をしなければの話だが」
補助魔法を得意としているだろう冒険者が、クロエの魔法を解除しようとしていたようだが、俺の声に驚いたようにして体をはねさせると、手を顔から離す。
「うむ、聞き分けがよろしい。では話を続ける前に……追跡の証」
込める魔力に応じて追跡可能な距離が変わる魔法を、鎖で縛り付けた11人の冒険者たちを対象に発動させる。
それを、およその量として、この森一帯の範囲内であれば追跡が可能なだけの魔力を込めて魔法を飛ばした。
「今度は何っ……ひっ」
そこで魔法をかけられた事に声を上げた冒険者がいたので、その冒険者の目の前にあえて転移で移動して頭を左手で鷲掴みにする。
次に口元に人さし指を立てて静かにしろと、無言のメッセージを送る。
その動きでこれ以上喋れば何をされるのか理解したようで、即座に口を閉じて何度も頷いて見せてきた。
俺はそこで手を離し、元の位置に戻った所で話を再開する。
「さて、それでは話の続きだ。今の魔法は君たちが今いる森の中にいる限り、どこにいようが私に捕捉され続けるというものだ」
今度は魔法の鎖を引っ張る事で、11人のうち最も俺の近くにいた冒険者を手元に引き寄せる。
それから、手元に来た冒険者の背中にある魔法陣を指し示す。
「そこで、私に鎖で縛られた者たちが解放された後、私に捕まること無く1人でも森を出られたのであれば、この場に倒れている全員を森の外へと送り届けた上で見逃そうではないか」
「しかし、これだけの数となると私としても少々面倒ではある」
「ひっ、やめろ、こっちに来るな!」
それにより1人の冒険者が逃げ出し始めると、それに続くように周囲の冒険者がパニックを起こし、こちらに背中を向けて脱兎のごとく走り始めた。
続けて次の行動を起こすために、他の者には見えていないだろうクロエに視線を送りながら、周囲に聞こえるよう声高に伝える。
「そこで……だ!」
俺の話に合わせて、視線を受け取ったクロエが小声で魔法を発動させる。
「視覚情報の交換」
そうして次の瞬間、
「おい。なんだこれ目が、目が!」
「視界が混ざって……」
「気持ち悪ぃ……」
背を向けて走り出した8割ほどの冒険者が、その場で連鎖的によろけて倒れていく。
倒れた冒険者は先程までクロエが準備をしていた魔法によって、左右の目から見えるそれぞれの景色が、その場にいる別々の冒険者2人が見ている景色と入れ替わっている事だろう。
片方は揺れ動き、もう片方は自分の意志とは違う方向へ曲がるなど、まともに立つことは難しいはずだ。
全員が目をつぶれば立つことも出来るかもしれないが、それでは森の中を歩くことも難しい。
それに対して、魔法の対象にならなかった2割の冒険者は1人を除いて、一度倒れた者たちを見たものの、すぐに森の方へと視線の先を向けて、逃走を図ろうとしている。
「まあ話は最後まで訊きたまえよ、捕縛の鎖」
そこで、相手をその場に縛り付けるために拘束魔法を発動させる。
目の前で展開した魔法陣から魔法の鎖が人数分だけ伸びだすと、クロエが魔法の対象外にした11人に追いつき、その場で体の一部に絡みつく事でこれ以上の逃亡を許さない。
「はっ、離せ!」
「頼むっ、ゆ、許してくれぇ!」
「何、話が終われば君たちを解放するつもりだ。無事に事を成せれば許しもしよう」
捕まってから魔法の鎖をどうにか外そうとして、もがいていた冒険者だったが、俺の言葉を聞いたところで即座に動きが止まる。
実に現金なやつらだ。
「ほ、本当だろうな。さっきのやつみたいにこの世界から解放する、なんて話じゃないだろうな」
「本当だとも、心配ならば言い直そうか? 話が終われば君たちをその鎖から解放しよう、その後は好きに逃げるといい」
すると、会話の途中でクロエが目の前に来て、指をある方向へと向ける。
話を続けながら目線をそちらに送ると、そこには自分の目の付近に手をかざしている冒険者の姿が見えた。
「……もっとも、そちらで倒れている者たちが、自分にかけられた魔法を解除しようなんて真似をしなければの話だが」
補助魔法を得意としているだろう冒険者が、クロエの魔法を解除しようとしていたようだが、俺の声に驚いたようにして体をはねさせると、手を顔から離す。
「うむ、聞き分けがよろしい。では話を続ける前に……追跡の証」
込める魔力に応じて追跡可能な距離が変わる魔法を、鎖で縛り付けた11人の冒険者たちを対象に発動させる。
それを、およその量として、この森一帯の範囲内であれば追跡が可能なだけの魔力を込めて魔法を飛ばした。
「今度は何っ……ひっ」
そこで魔法をかけられた事に声を上げた冒険者がいたので、その冒険者の目の前にあえて転移で移動して頭を左手で鷲掴みにする。
次に口元に人さし指を立てて静かにしろと、無言のメッセージを送る。
その動きでこれ以上喋れば何をされるのか理解したようで、即座に口を閉じて何度も頷いて見せてきた。
俺はそこで手を離し、元の位置に戻った所で話を再開する。
「さて、それでは話の続きだ。今の魔法は君たちが今いる森の中にいる限り、どこにいようが私に捕捉され続けるというものだ」
今度は魔法の鎖を引っ張る事で、11人のうち最も俺の近くにいた冒険者を手元に引き寄せる。
それから、手元に来た冒険者の背中にある魔法陣を指し示す。
「そこで、私に鎖で縛られた者たちが解放された後、私に捕まること無く1人でも森を出られたのであれば、この場に倒れている全員を森の外へと送り届けた上で見逃そうではないか」
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