『日本再起動 ―Re:BOOT JAPAN―』

KAORUwithAI

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壊れた国の上に

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――203X年、冬。

灰色の空が都心を覆い、冷たい雨がゆっくりと舗道を濡らしていた。
信号は壊れかけ、電柱は傾き、横断歩道の白線もすでに風化して見えない。
だが誰も気にしなかった。
それがこの国の「当たり前」になって久しい。

神楽坂カイは、倒壊した高速道路の高架下で、無言のまま立ち尽くしていた。
彼の視線の先には、朽ちたガードレールとその下に設けられた献花台。
花束、千羽鶴、そして、一枚の写真。

そこには微笑む家族の姿が写っていた。
カイの妻と、小さな娘――二年前、この場所で命を落とした者たちだ。

「道路補修予算、また削られたってよ」
当時、上司が鼻で笑って言った言葉を、カイは今も忘れられない。

かつて厚生労働省の官僚だったカイは、誰よりも国家の内部に近い場所にいた。
だが、それは”守るための力”ではなかった。
国民から吸い上げた金は、保身と利権のために使われる。
増税、年金カット、政治家の裏金、不透明な移民政策――
国民のために動いているはずの政府が、いつの間にか国民を”管理対象”としか見なくなっていた。

カイはその全てを知っていた。
だからこそ、黙っていられなかった。

「もう一度、この国を起動させるしかない」

呟いた言葉は、雨に溶けていく。

その日、彼は政府のデータセンターから数十ギガバイトに及ぶ極秘ファイルを抜き出した。
汚職の証拠、移民政策の裏交渉、特定企業との不正な癒着――
それらすべてが、火種となる。

“日本再起動計画”――Re:BOOT JAPAN。
これは、腐敗した国家機構そのものを無効化し、
新たな国家構造を一から築き直すための計画だった。

だが、それは当然、テロと呼ばれるだろう。
裏切り者、国家反逆者、極左思想――どんなレッテルでも貼られる覚悟はあった。

「正義か、テロか。決めるのは……俺たちじゃない」

その頃。都内某所、公安調査庁本庁舎。
志水京介は、闇の中でその名を聞いた。

「神楽坂カイ……?」
彼の鋭い眼差しがモニターに映る男の顔に向けられる。

冷たい光を帯びたその目が、どこか”本物”の意思を宿していた。
公安刑事・志水は、その瞬間、直感した。

「……こいつは、国を変えるつもりだ」

だが、それが正しいのか、それとも国家転覆を狙う狂気なのか――
誰にも、まだ分からなかった。
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