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七将編(剛腕将軍グラドン)
第62話 地鳴り轟く剛腕将と勇者
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――ゴゴゴゴゴ……ッ
祭壇の広間に、再び地鳴りが響き渡った。
崩れた柱の残骸や岩の破片が、まるで意思を持つかのように震え始める。
砂塵が舞い、赤黒い魔力の光が瓦礫の隙間からにじみ出た。
その光に導かれるように、崩落した祭壇の石材や砕けた床の岩がひとりでに宙を舞い、うねるようにひとつの塊へと集まり始めた。
それは、まるで地下そのものが怒りを形にしているかのようだった。
瓦礫の渦の中心から、低い唸り声が響いた。
「……勇者ァァァ……まだ、俺は……負けておらぬッ!」
瓦礫はひとつ、またひとつと巨大な肉体に貼り付き、血走った赤い魔力の光がその継ぎ目を縫う。
やがて瓦礫は鎧となり、皮膚となり、剛腕将軍グラドンの体を覆い尽くしていった。
両の腕は岩盤のごとき太さを増し、肩や背からは鋭利な石の角が生え、まるで山そのものが歩みを始めたような圧迫感。
握られた大斧もまた、砕けた岩を巻き込み、黒い鉱石の刃となって禍々しい輝きを放った。
崩れた祭壇を足場に、瓦礫の巨人がゆっくりと立ち上がる。
ひび割れた床が、その体重に耐えきれず悲鳴を上げた。
入り口近くでその光景を目にしたリオネルは、思わず息を飲む。
「これが……魔王軍の将の本当の姿……」
傍らで数名残っていた兵士たちも、後ずさりしながら顔を引きつらせた。
「ひっ……あれを、どうやって倒せと……」
しかし、祭壇の中心に立つひとりの男だけは、眉ひとつ動かさなかった。
悠は片手をポケットに突っ込み、面倒くさそうに片眉を上げただけだった。
「……あー……また見た目が変わるとか、余計に面倒なんだよな。片付ける時、絶対掃除が大変だろ」
その軽口に、リオネルは苦笑にも似た息を吐く。
「勇者様……どうかご無事で……」
そう呟きながら、祈るように剣を握り締めた。
兵士たちは彼の指示で通路の奥へと避難を続け、もはやこの場に残るのは悠とリオネルだけだった。
リオネルは一歩前に出ようとしたが、悠が軽く手を振って制した。
「お前まで巻き込まれると、後でまた面倒な説教とか聞かされるからな。下がってろ」
「しかし勇者様、一人では――!」
「静かに見てろ。うるさいと集中できねぇ」
言い放った悠は、わざとらしいほどに大きな欠伸をひとつ。
だがその瞳の奥は、いつもの気怠げな色を消し、静かに燃えていた。
「フハハハハハッ! 勇者よ、これこそ我が真の力!
この大地の重みで貴様を押し潰してやるッ!!」
咆哮と同時に、グラドンは両腕を大地に叩きつけた。
――ドゴォォォンッ!!
岩盤が裂け、祭壇の残骸が弾け飛び、衝撃波が広間の端まで駆け抜ける。
その衝撃に合わせて天井の岩片が雨のように降り注ぎ、通路の奥にまで土砂が飛び散った。
避難途中の兵士たちが思わず振り返る。
「な、なんて力だ……!」
「勇者様は、大丈夫なのか……!」
しかしリオネルは動じず、まっすぐに広間の中心を見つめた。
そこには、ただ一人、悠が立っていた。
悠は崩れた岩を軽く蹴り飛ばしながら、肩を回した。
「はぁ……せっかく片付けたのに、また散らかしやがって」
青白い光が悠の拳を淡く照らし、岩の粉塵を透かしてゆらめいた。
その姿は、まるで静かに燃える焔のようだった。
グラドンは再び咆哮し、瓦礫で強化された巨腕を振りかざした。
その一振りで、広間の床がえぐれ、壁が砕ける。
地下全体が揺れ、通路の支柱が軋む。
それでも悠は、前髪をかき上げながら小さく呟いた。
「……俺の睡眠時間、マジで返してくれよ」
その言葉とともに、拳をゆっくりと握り締める。
広間の空気が一瞬、張り詰めた。
岩と魔力を纏う巨人と、青白い光を宿したひとりの勇者。
瓦礫だらけの崩壊しかけた広間で、二つの力が今、激突しようとしていた。
祭壇の広間に、再び地鳴りが響き渡った。
崩れた柱の残骸や岩の破片が、まるで意思を持つかのように震え始める。
砂塵が舞い、赤黒い魔力の光が瓦礫の隙間からにじみ出た。
その光に導かれるように、崩落した祭壇の石材や砕けた床の岩がひとりでに宙を舞い、うねるようにひとつの塊へと集まり始めた。
それは、まるで地下そのものが怒りを形にしているかのようだった。
瓦礫の渦の中心から、低い唸り声が響いた。
「……勇者ァァァ……まだ、俺は……負けておらぬッ!」
瓦礫はひとつ、またひとつと巨大な肉体に貼り付き、血走った赤い魔力の光がその継ぎ目を縫う。
やがて瓦礫は鎧となり、皮膚となり、剛腕将軍グラドンの体を覆い尽くしていった。
両の腕は岩盤のごとき太さを増し、肩や背からは鋭利な石の角が生え、まるで山そのものが歩みを始めたような圧迫感。
握られた大斧もまた、砕けた岩を巻き込み、黒い鉱石の刃となって禍々しい輝きを放った。
崩れた祭壇を足場に、瓦礫の巨人がゆっくりと立ち上がる。
ひび割れた床が、その体重に耐えきれず悲鳴を上げた。
入り口近くでその光景を目にしたリオネルは、思わず息を飲む。
「これが……魔王軍の将の本当の姿……」
傍らで数名残っていた兵士たちも、後ずさりしながら顔を引きつらせた。
「ひっ……あれを、どうやって倒せと……」
しかし、祭壇の中心に立つひとりの男だけは、眉ひとつ動かさなかった。
悠は片手をポケットに突っ込み、面倒くさそうに片眉を上げただけだった。
「……あー……また見た目が変わるとか、余計に面倒なんだよな。片付ける時、絶対掃除が大変だろ」
その軽口に、リオネルは苦笑にも似た息を吐く。
「勇者様……どうかご無事で……」
そう呟きながら、祈るように剣を握り締めた。
兵士たちは彼の指示で通路の奥へと避難を続け、もはやこの場に残るのは悠とリオネルだけだった。
リオネルは一歩前に出ようとしたが、悠が軽く手を振って制した。
「お前まで巻き込まれると、後でまた面倒な説教とか聞かされるからな。下がってろ」
「しかし勇者様、一人では――!」
「静かに見てろ。うるさいと集中できねぇ」
言い放った悠は、わざとらしいほどに大きな欠伸をひとつ。
だがその瞳の奥は、いつもの気怠げな色を消し、静かに燃えていた。
「フハハハハハッ! 勇者よ、これこそ我が真の力!
この大地の重みで貴様を押し潰してやるッ!!」
咆哮と同時に、グラドンは両腕を大地に叩きつけた。
――ドゴォォォンッ!!
岩盤が裂け、祭壇の残骸が弾け飛び、衝撃波が広間の端まで駆け抜ける。
その衝撃に合わせて天井の岩片が雨のように降り注ぎ、通路の奥にまで土砂が飛び散った。
避難途中の兵士たちが思わず振り返る。
「な、なんて力だ……!」
「勇者様は、大丈夫なのか……!」
しかしリオネルは動じず、まっすぐに広間の中心を見つめた。
そこには、ただ一人、悠が立っていた。
悠は崩れた岩を軽く蹴り飛ばしながら、肩を回した。
「はぁ……せっかく片付けたのに、また散らかしやがって」
青白い光が悠の拳を淡く照らし、岩の粉塵を透かしてゆらめいた。
その姿は、まるで静かに燃える焔のようだった。
グラドンは再び咆哮し、瓦礫で強化された巨腕を振りかざした。
その一振りで、広間の床がえぐれ、壁が砕ける。
地下全体が揺れ、通路の支柱が軋む。
それでも悠は、前髪をかき上げながら小さく呟いた。
「……俺の睡眠時間、マジで返してくれよ」
その言葉とともに、拳をゆっくりと握り締める。
広間の空気が一瞬、張り詰めた。
岩と魔力を纏う巨人と、青白い光を宿したひとりの勇者。
瓦礫だらけの崩壊しかけた広間で、二つの力が今、激突しようとしていた。
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