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七将編(剛腕将軍グラドン)
第63話 闘気、ぶつかり合う巨躯と勇者
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瓦礫と砂塵に包まれた祭壇跡の広間。
かつて荘厳であったはずの祭壇は崩れ落ち、今では瓦礫とひび割れた床が戦場と化していた。
その中に二つの巨影が向かい合っていた。
ひとつは、全身に瓦礫の欠片と血をまといながらも、なお凶暴な光を宿した巨躯――剛腕将軍グラドン。
もうひとつは、外套の裾をはためかせ、どこか退屈そうに肩を回す黒髪の青年――勇者・悠。
赤黒い瘴気をまとったグラドンは、ゆらりと斧を持ち上げる。
天井すれすれまで振り上げられたその大斧は、刃にこびりついた血と岩屑を滴らせ、不気味な鈍い光を放っていた。
「うおおおおおぉぉぉっ!! 人間どもを、この斧でまとめて潰してくれるわあああ!」
獣じみた咆哮。
それは広間の空気を震わせ、崩れかけた柱をさらにひび割らせる。
対する悠は、肩をすくめてふわりと息を吐いた。
「……やれやれ、また派手にぶん回す気か。
もう街壊すのやめとけって……修理が面倒だろうが」
その声は戦場には似つかわしくないほど淡々としていたが、目だけは静かに相手を見据えていた。
次の瞬間、グラドンの両腕がしなり、大斧が雷鳴のような音を立てて振り下ろされた。
――ドゴォォォンッ!!
床石が一瞬で砕け散り、爆発的な衝撃波が四方に走る。
その衝撃に広間全体が揺れ、天井から瓦礫がどさりと降ってきた。
「っ――!」
入り口付近で見守っていた兵士たちが悲鳴を上げ、崩れた壁の影に身を潜める。
だが戦場の中心でその一撃を受け止めた悠は、片腕を軽く上げただけだった。
握られた拳が刃を支え、双方の力がぶつかり合った瞬間、空気が弾けるような轟音が響く。
拳と斧が押し合い、火花が散った。
足元の床石はその圧力に耐え切れず、ひび割れが蜘蛛の巣のように広がっていく。
「はぁ……また修理代が増えるな……」
呆れたように漏らした悠の言葉に、グラドンの赤い目が怒りでギラついた。
「人間の街など、修理も再建も不要だ!
この俺がすべてを破壊してやる!」
「おいおい、壊したら後片付けが増えるだけだぞ。
お前、ほんとに考えなしだな」
言葉を交わすたびに、拳と斧が再び激突する。
――ガァァァンッ!!
衝突のたびに広間が震え、柱がきしみ、砂煙が舞う。
地上では、王城の前の広場で待機していた市民たちがその揺れに驚き、不安そうに空を見上げていた。
地上の広場。
避難してきた市民たちが膝を抱え、ざわつく人々を領主が必死に落ち着かせていた。
「大丈夫だ。勇者殿がいる。
あのお方が負けるはずがない」
しかし誰もがその言葉を信じながらも、握りしめた手は震えていた。
「どうか……勇者様が無事で……」
子どもがそう呟き、母親の腕にしがみつく。
その視線の先には、揺れる地面と遠くの鉱山。
そこでは今もなお、勇者と剛腕の怪物が激突を続けている。
一方、戦場の中央。
砂煙の向こうで悠は相変わらず落ち着いた顔をしていたが、拳を交わすごとにグラドンの表情は険しさを増していた。
(この俺の全力が……通じぬ……!?)
グラドンの巨体を揺らす咆哮が広間に響き渡る。
彼はさらに力を込め、斧を大きく振り上げると、横薙ぎに吹き抜けた。
――ブォォォンッ!!
斬撃の風圧が空気を裂き、壁際に積もっていた瓦礫の山を一瞬で吹き飛ばす。
巻き上がった砂埃が舞い、視界が一瞬霞んだ。
その刹那、悠が軽く前に踏み込み、拳を突き出した。
――ガギィィンッ!!
またも拳と斧が激突し、爆発的な衝撃が広間を揺るがした。
足元の瓦礫が宙に跳ね上がり、崩れかけの壁がさらに崩落する。
「ほら、また壊した。
後で片付けるこっちの身にもなれよ」
悠が皮肉めいた口調で言うと、グラドンは怒りで顔を歪めた。
「黙れェェェッ!! 人間風情がッ!!」
斧を握る腕にさらなる力を込め、グラドンが突進する。
地響きが広間全体を揺らし、天井から砂が雨のように降った。
広間の入口付近では、リオネルが剣を握りしめたまま戦場を見つめていた。
しかし近づくことはできない。
彼の隣で兵士のひとりが震えた声で呟く。
「あれが……あれが本当に人間同士の戦いなのか……」
リオネルは黙って首を横に振り、祈るように唇を引き結ぶ。
(勇者様……どうかご無事で……)
爆音と振動は止むことなく続き、そのたびに地下の天井から瓦礫が落ちた。
地上で祈る人々も、ここで戦いを見守る兵士たちも、誰一人としてその死闘に介入することはできなかった。
拳と斧が交差し続ける。
爆音が響くたびに砂煙が渦巻き、視界はほとんど効かない。
それでも悠の表情は相変わらず冷めていた。
「……はぁ、まだ終わらないのかよ。寝不足になるだろうが」
グラドンの額に汗がにじみ、その目にわずかな焦りが宿る。
(この俺が、追い詰められている……!?)
余裕の消えない悠の姿は、グラドンにとって最大の恐怖だった。
かつて荘厳であったはずの祭壇は崩れ落ち、今では瓦礫とひび割れた床が戦場と化していた。
その中に二つの巨影が向かい合っていた。
ひとつは、全身に瓦礫の欠片と血をまといながらも、なお凶暴な光を宿した巨躯――剛腕将軍グラドン。
もうひとつは、外套の裾をはためかせ、どこか退屈そうに肩を回す黒髪の青年――勇者・悠。
赤黒い瘴気をまとったグラドンは、ゆらりと斧を持ち上げる。
天井すれすれまで振り上げられたその大斧は、刃にこびりついた血と岩屑を滴らせ、不気味な鈍い光を放っていた。
「うおおおおおぉぉぉっ!! 人間どもを、この斧でまとめて潰してくれるわあああ!」
獣じみた咆哮。
それは広間の空気を震わせ、崩れかけた柱をさらにひび割らせる。
対する悠は、肩をすくめてふわりと息を吐いた。
「……やれやれ、また派手にぶん回す気か。
もう街壊すのやめとけって……修理が面倒だろうが」
その声は戦場には似つかわしくないほど淡々としていたが、目だけは静かに相手を見据えていた。
次の瞬間、グラドンの両腕がしなり、大斧が雷鳴のような音を立てて振り下ろされた。
――ドゴォォォンッ!!
床石が一瞬で砕け散り、爆発的な衝撃波が四方に走る。
その衝撃に広間全体が揺れ、天井から瓦礫がどさりと降ってきた。
「っ――!」
入り口付近で見守っていた兵士たちが悲鳴を上げ、崩れた壁の影に身を潜める。
だが戦場の中心でその一撃を受け止めた悠は、片腕を軽く上げただけだった。
握られた拳が刃を支え、双方の力がぶつかり合った瞬間、空気が弾けるような轟音が響く。
拳と斧が押し合い、火花が散った。
足元の床石はその圧力に耐え切れず、ひび割れが蜘蛛の巣のように広がっていく。
「はぁ……また修理代が増えるな……」
呆れたように漏らした悠の言葉に、グラドンの赤い目が怒りでギラついた。
「人間の街など、修理も再建も不要だ!
この俺がすべてを破壊してやる!」
「おいおい、壊したら後片付けが増えるだけだぞ。
お前、ほんとに考えなしだな」
言葉を交わすたびに、拳と斧が再び激突する。
――ガァァァンッ!!
衝突のたびに広間が震え、柱がきしみ、砂煙が舞う。
地上では、王城の前の広場で待機していた市民たちがその揺れに驚き、不安そうに空を見上げていた。
地上の広場。
避難してきた市民たちが膝を抱え、ざわつく人々を領主が必死に落ち着かせていた。
「大丈夫だ。勇者殿がいる。
あのお方が負けるはずがない」
しかし誰もがその言葉を信じながらも、握りしめた手は震えていた。
「どうか……勇者様が無事で……」
子どもがそう呟き、母親の腕にしがみつく。
その視線の先には、揺れる地面と遠くの鉱山。
そこでは今もなお、勇者と剛腕の怪物が激突を続けている。
一方、戦場の中央。
砂煙の向こうで悠は相変わらず落ち着いた顔をしていたが、拳を交わすごとにグラドンの表情は険しさを増していた。
(この俺の全力が……通じぬ……!?)
グラドンの巨体を揺らす咆哮が広間に響き渡る。
彼はさらに力を込め、斧を大きく振り上げると、横薙ぎに吹き抜けた。
――ブォォォンッ!!
斬撃の風圧が空気を裂き、壁際に積もっていた瓦礫の山を一瞬で吹き飛ばす。
巻き上がった砂埃が舞い、視界が一瞬霞んだ。
その刹那、悠が軽く前に踏み込み、拳を突き出した。
――ガギィィンッ!!
またも拳と斧が激突し、爆発的な衝撃が広間を揺るがした。
足元の瓦礫が宙に跳ね上がり、崩れかけの壁がさらに崩落する。
「ほら、また壊した。
後で片付けるこっちの身にもなれよ」
悠が皮肉めいた口調で言うと、グラドンは怒りで顔を歪めた。
「黙れェェェッ!! 人間風情がッ!!」
斧を握る腕にさらなる力を込め、グラドンが突進する。
地響きが広間全体を揺らし、天井から砂が雨のように降った。
広間の入口付近では、リオネルが剣を握りしめたまま戦場を見つめていた。
しかし近づくことはできない。
彼の隣で兵士のひとりが震えた声で呟く。
「あれが……あれが本当に人間同士の戦いなのか……」
リオネルは黙って首を横に振り、祈るように唇を引き結ぶ。
(勇者様……どうかご無事で……)
爆音と振動は止むことなく続き、そのたびに地下の天井から瓦礫が落ちた。
地上で祈る人々も、ここで戦いを見守る兵士たちも、誰一人としてその死闘に介入することはできなかった。
拳と斧が交差し続ける。
爆音が響くたびに砂煙が渦巻き、視界はほとんど効かない。
それでも悠の表情は相変わらず冷めていた。
「……はぁ、まだ終わらないのかよ。寝不足になるだろうが」
グラドンの額に汗がにじみ、その目にわずかな焦りが宿る。
(この俺が、追い詰められている……!?)
余裕の消えない悠の姿は、グラドンにとって最大の恐怖だった。
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