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七将編(剛腕将軍グラドン)
第64話 巨体の暴走と勇者
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爆音が地下を揺らした。
拳と斧の応酬が続くたびに、祭壇跡の広間はさらに壊れ、崩れた壁の奥から地下通路へと連なる亀裂が走っていく。
そしてその亀裂は、ついに――“音を立てて”開いた。
地響きとともに岩盤が割れ、地下水が勢いよく吹き出した。
濁流のような水が通路を伝い、瞬く間に広間へと流れ込んでくる。
悠は眉をひそめ、ぼそりと呟いた。
「……おいおい、水没とかマジで嫌だっての。湿気で寝る気も失せるわ」
淡々とした口調に反して、頭上からは無数の水滴が降り注ぐ。
石柱の間を流れ込む水は次第に深さを増し、兵士の膝を越えた。
「勇者様! このままでは地下全体が――!」
リオネルの声が水音にかき消されそうになる。
だがその焦燥をよそに、悠は片手を軽く上げて制した。
「焦らすなよ。俺にも気分ってもんがあるんだよ」
そう言って、悠は水しぶきを浴びながらグラドンを睨む。
巨体のオーガは、怒りと狂気を混ぜたような咆哮を上げながら、血走った目でこちらを睨み返していた。
「この水すら我が力の一部よッ!!」
グラドンが地面を踏み抜くと、轟音が走り、地下全体が振動した。
水飛沫が吹き上がり、暗闇に赤黒い魔力の火花が散る。
その瞬間、グラドンの巨体がさらに膨れ上がった。
「まだデカくなるのかよ……どこの見栄張りだ」
悠が呆れたようにため息をつくと、グラドンは獣のように唸った。
「我が名は剛腕将軍グラドン! 力こそが世界を統べる理! この身が砕けようと、貴様だけはこの地に沈めるッ!」
叫びとともに、グラドンが濁流を掻き分けながら突進してきた。
その巨体がぶつかるたびに水が壁に叩きつけられ、波が広間を満たしていく。
もはや足元は完全に見えず、膝下まで水に沈んでいた。
リオネルが叫ぶ。
「勇者様、早く退いてください!」
悠はちらりと後ろを振り向き、緩く首を傾げた。
「退くのは嫌だな。後ろに行ったら、余計めんどくさいし」
彼はため息をひとつつくと、足元の岩盤を軽く蹴った。
その動作ひとつで、水面が弾ける。
次の瞬間――。
悠の体が一瞬でグラドンの眼前に現れた。
足元の水が爆ぜ、衝撃で波が後方へ押し流される。
拳が振るわれた瞬間、空気が裂け、爆音が響いた。
――ドガァァァァンッ!!
拳と斧が激突し、広間の水面が波打った。
激しい水圧が壁を叩きつけ、割れた石片が飛び散る。
グラドンの足元の岩が砕け、崩れ落ちた。
「ぬぅううううっ!! この程度の攻撃で……倒れるかぁぁっ!!」
グラドンが叫びながら斧を大きく振り回す。
その勢いで壁が砕け、水流がさらに激しくなる。
天井の裂け目からは滝のように地下水が流れ込み、広間はあっという間に水の海と化していった。
兵士たちが通路の奥から見守りながら悲鳴を上げる。
「地下が……沈むぞ!!」
「早く退避しろ! 天井が落ちる!」
リオネルはその声に頷き、部下たちを避難させる。
だが、彼自身は振り返らなかった。
その視線の先には――濁流の中、悠とグラドンが激しくぶつかり合う姿。
両者の衝突は、まるで地震のような規模だった。
拳と斧がぶつかるたび、空気が震え、水面が波打ち、崩れた岩壁が次々と落下していく。
天井から滴る水が、まるで血のように赤黒く染まっていた。
「……おいおい、これ以上揺らすと地下ごと崩れるぞ」
悠の皮肉を含んだ声が響くが、グラドンの耳には届かない。
彼はもはや理性を失っていた。
怒りと敗北の恐怖が混ざり合い、己の力を無理やり引き上げている。
「力だ! 力こそが全て! 我が拳に世界の理を刻むのだああああ!」
叫びと共に、全身の魔力が爆発的に膨れ上がる。
赤黒い光が水面を照らし、広間全体を血のように染めた。
グラドンの皮膚が裂け、筋肉が脈打ち、目の中から光が漏れる。
それは狂気そのものだった。
だが悠は、静かだった。
顔をしかめて、ため息混じりに髪をかき上げる。
「……はいはい。筋肉バカの末路、ここに極まれりって感じだな」
その目は冷たく、それでいてどこか達観していた。
拳を軽く握り直し、水面を踏み抜く。
――ドシュッ。
音もなく跳躍した悠の姿が、水飛沫の中に消える。
次の瞬間、グラドンの背後で青白い光が閃いた。
「なっ……!」
グラドンが反応するより早く、蒼い閃光が背中を打ち抜く。
衝撃で巨体が大きくのけぞり、広間に衝撃波が走った。
――バァァァァンッ!!
爆音とともに、岩壁が粉砕。
吹き飛ばされた水が波となり、通路を逆流していく。
地上の兵士たちは、その振動を感じ取り、息を呑んだ。
「ま、待て……今の音は……!?」
リオネルが目を見開き、崩れた通路の先を見つめる。
だがその視界の奥で、再び――低い唸り声が響いた。
「……まだ動くのかよ」
悠の呟きに、水面が大きく波打つ。
崩れ落ちた瓦礫の中から、グラドンの巨大な腕が突き上がり、再び立ち上がった。
その瞳は怒りと執念で濁り、もはや正気を失っている。
「貴様ァァァッ!! 沈めぇぇぇぇぇっ!!」
血を吐きながら咆哮を上げる。
その声に合わせ、地下水が一気に沸き立ち、波が襲い掛かった。
悠は濁流に足を取られながらも、静かに息を整える。
周囲が轟音に包まれる中、ぽつりと一言。
「風呂なら入りたいけど、これは嫌だな……」
水の底から光が漏れ、広間全体が青く染まる。
グラドンの魔力が暴走し、空気が震える。
それでも悠は一歩も退かず、次の拳を構えた。
暴れる濁流、崩れる天井、轟く咆哮。
そしてその中心に、静かに立つ勇者の影があった。
拳と斧の応酬が続くたびに、祭壇跡の広間はさらに壊れ、崩れた壁の奥から地下通路へと連なる亀裂が走っていく。
そしてその亀裂は、ついに――“音を立てて”開いた。
地響きとともに岩盤が割れ、地下水が勢いよく吹き出した。
濁流のような水が通路を伝い、瞬く間に広間へと流れ込んでくる。
悠は眉をひそめ、ぼそりと呟いた。
「……おいおい、水没とかマジで嫌だっての。湿気で寝る気も失せるわ」
淡々とした口調に反して、頭上からは無数の水滴が降り注ぐ。
石柱の間を流れ込む水は次第に深さを増し、兵士の膝を越えた。
「勇者様! このままでは地下全体が――!」
リオネルの声が水音にかき消されそうになる。
だがその焦燥をよそに、悠は片手を軽く上げて制した。
「焦らすなよ。俺にも気分ってもんがあるんだよ」
そう言って、悠は水しぶきを浴びながらグラドンを睨む。
巨体のオーガは、怒りと狂気を混ぜたような咆哮を上げながら、血走った目でこちらを睨み返していた。
「この水すら我が力の一部よッ!!」
グラドンが地面を踏み抜くと、轟音が走り、地下全体が振動した。
水飛沫が吹き上がり、暗闇に赤黒い魔力の火花が散る。
その瞬間、グラドンの巨体がさらに膨れ上がった。
「まだデカくなるのかよ……どこの見栄張りだ」
悠が呆れたようにため息をつくと、グラドンは獣のように唸った。
「我が名は剛腕将軍グラドン! 力こそが世界を統べる理! この身が砕けようと、貴様だけはこの地に沈めるッ!」
叫びとともに、グラドンが濁流を掻き分けながら突進してきた。
その巨体がぶつかるたびに水が壁に叩きつけられ、波が広間を満たしていく。
もはや足元は完全に見えず、膝下まで水に沈んでいた。
リオネルが叫ぶ。
「勇者様、早く退いてください!」
悠はちらりと後ろを振り向き、緩く首を傾げた。
「退くのは嫌だな。後ろに行ったら、余計めんどくさいし」
彼はため息をひとつつくと、足元の岩盤を軽く蹴った。
その動作ひとつで、水面が弾ける。
次の瞬間――。
悠の体が一瞬でグラドンの眼前に現れた。
足元の水が爆ぜ、衝撃で波が後方へ押し流される。
拳が振るわれた瞬間、空気が裂け、爆音が響いた。
――ドガァァァァンッ!!
拳と斧が激突し、広間の水面が波打った。
激しい水圧が壁を叩きつけ、割れた石片が飛び散る。
グラドンの足元の岩が砕け、崩れ落ちた。
「ぬぅううううっ!! この程度の攻撃で……倒れるかぁぁっ!!」
グラドンが叫びながら斧を大きく振り回す。
その勢いで壁が砕け、水流がさらに激しくなる。
天井の裂け目からは滝のように地下水が流れ込み、広間はあっという間に水の海と化していった。
兵士たちが通路の奥から見守りながら悲鳴を上げる。
「地下が……沈むぞ!!」
「早く退避しろ! 天井が落ちる!」
リオネルはその声に頷き、部下たちを避難させる。
だが、彼自身は振り返らなかった。
その視線の先には――濁流の中、悠とグラドンが激しくぶつかり合う姿。
両者の衝突は、まるで地震のような規模だった。
拳と斧がぶつかるたび、空気が震え、水面が波打ち、崩れた岩壁が次々と落下していく。
天井から滴る水が、まるで血のように赤黒く染まっていた。
「……おいおい、これ以上揺らすと地下ごと崩れるぞ」
悠の皮肉を含んだ声が響くが、グラドンの耳には届かない。
彼はもはや理性を失っていた。
怒りと敗北の恐怖が混ざり合い、己の力を無理やり引き上げている。
「力だ! 力こそが全て! 我が拳に世界の理を刻むのだああああ!」
叫びと共に、全身の魔力が爆発的に膨れ上がる。
赤黒い光が水面を照らし、広間全体を血のように染めた。
グラドンの皮膚が裂け、筋肉が脈打ち、目の中から光が漏れる。
それは狂気そのものだった。
だが悠は、静かだった。
顔をしかめて、ため息混じりに髪をかき上げる。
「……はいはい。筋肉バカの末路、ここに極まれりって感じだな」
その目は冷たく、それでいてどこか達観していた。
拳を軽く握り直し、水面を踏み抜く。
――ドシュッ。
音もなく跳躍した悠の姿が、水飛沫の中に消える。
次の瞬間、グラドンの背後で青白い光が閃いた。
「なっ……!」
グラドンが反応するより早く、蒼い閃光が背中を打ち抜く。
衝撃で巨体が大きくのけぞり、広間に衝撃波が走った。
――バァァァァンッ!!
爆音とともに、岩壁が粉砕。
吹き飛ばされた水が波となり、通路を逆流していく。
地上の兵士たちは、その振動を感じ取り、息を呑んだ。
「ま、待て……今の音は……!?」
リオネルが目を見開き、崩れた通路の先を見つめる。
だがその視界の奥で、再び――低い唸り声が響いた。
「……まだ動くのかよ」
悠の呟きに、水面が大きく波打つ。
崩れ落ちた瓦礫の中から、グラドンの巨大な腕が突き上がり、再び立ち上がった。
その瞳は怒りと執念で濁り、もはや正気を失っている。
「貴様ァァァッ!! 沈めぇぇぇぇぇっ!!」
血を吐きながら咆哮を上げる。
その声に合わせ、地下水が一気に沸き立ち、波が襲い掛かった。
悠は濁流に足を取られながらも、静かに息を整える。
周囲が轟音に包まれる中、ぽつりと一言。
「風呂なら入りたいけど、これは嫌だな……」
水の底から光が漏れ、広間全体が青く染まる。
グラドンの魔力が暴走し、空気が震える。
それでも悠は一歩も退かず、次の拳を構えた。
暴れる濁流、崩れる天井、轟く咆哮。
そしてその中心に、静かに立つ勇者の影があった。
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