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第1章:継承者
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――203X年・春。
東京地方裁判所、書記官室。
裁判記録をシュレッダーにかける手が、ほんのわずかに震えていた。
紙が裂かれていく音が、やけに生々しく響く。
それは“証拠”が“闇”に落ちていく音だった。
玖堂レンは、黙ってその作業を続けていた。
一枚、また一枚。
政治家と企業の癒着を示す供述書、検察の追及をかわす裏取引の記録、
そして、それらを「存在しなかったことにする」ための命令書。
全てが“合法的”に処分されていた。
レンは、もとは“信じていた”側の人間だった。
司法こそが、社会の最後の砦だと。
神楽坂カイの「再起動事件」も、当初は“危険な扇動”だと見ていた。
だが、ある日を境に、彼の世界は崩れ始めた。
⸻
■ 2年前の記憶
レンが担当していた案件――
ある政治家の違法献金事件。その裏に、特定の裁判官名が記されていた。
「この判事にすれば、有罪は消える」
そう書かれた匿名のメモと照合した実際の判決は、予想通りの“無罪”。
彼はそれを上司に報告しようとした。
だが、その瞬間、レンは異動を命じられた。
同時に、その案件のすべての記録が「押収済」として回収された。
そして渡されたのは、神楽坂カイの過去の供述録。
その付箋に、小さく手書きでこうあった。
「再起動の思想は、次の誰かに受け継がれる」
その言葉が、彼の中で静かに“点火”した。
⸻
■ 現在:東京近郊の廃モール地下
「これが、“継承者”ってわけか」
元自衛官の男が低く呟いた。
かつて神楽坂カイと共に戦ったメンバーの一人、真柴レンジ。
今は地下に潜り、腐敗政治の監視と再起動思想の拡散を続けていた。
レンは、かつてのカイの仲間から彼の記録を受け取り、
独自に「第二の再起動計画」の構築を進めていた。
「お前の狙いはなんだ。前と同じか? ビルを燃やし、世論を動かすか?」
「いいえ。今回は空からやります」
「空?」
「空港を押さえ、旅客機を奪取する。
その機内に、“処刑リスト”の対象者が一人搭乗予定です」
真柴は目を細めた。
「……それは神楽坂ですら踏み込まなかった領域だぞ。
民間人を乗せたまま突入すれば、お前は本物の“テロリスト”になる」
「わかってます」
レンは静かに言った。
「でも、もう“正しさ”なんて誰も見てない。
ショックがなきゃ、何も始まらない。
見せるんです、“壊れた国の真実”を、空から」
真柴はため息をつき、煙草に火をつけた。
「……じゃあ教えろ。突入の先に、お前は“何を望む”?」
レンは、はっきりと答えた。
「“見届ける目”が欲しい。
俺が何者であれ、この国の真実を、誰かに届けるために」
⸻
夜が明ける。
作戦コード名――**「再起動:205」**が、静かに点灯する。
空港に、もうひとつの朝が近づいていた。
東京地方裁判所、書記官室。
裁判記録をシュレッダーにかける手が、ほんのわずかに震えていた。
紙が裂かれていく音が、やけに生々しく響く。
それは“証拠”が“闇”に落ちていく音だった。
玖堂レンは、黙ってその作業を続けていた。
一枚、また一枚。
政治家と企業の癒着を示す供述書、検察の追及をかわす裏取引の記録、
そして、それらを「存在しなかったことにする」ための命令書。
全てが“合法的”に処分されていた。
レンは、もとは“信じていた”側の人間だった。
司法こそが、社会の最後の砦だと。
神楽坂カイの「再起動事件」も、当初は“危険な扇動”だと見ていた。
だが、ある日を境に、彼の世界は崩れ始めた。
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■ 2年前の記憶
レンが担当していた案件――
ある政治家の違法献金事件。その裏に、特定の裁判官名が記されていた。
「この判事にすれば、有罪は消える」
そう書かれた匿名のメモと照合した実際の判決は、予想通りの“無罪”。
彼はそれを上司に報告しようとした。
だが、その瞬間、レンは異動を命じられた。
同時に、その案件のすべての記録が「押収済」として回収された。
そして渡されたのは、神楽坂カイの過去の供述録。
その付箋に、小さく手書きでこうあった。
「再起動の思想は、次の誰かに受け継がれる」
その言葉が、彼の中で静かに“点火”した。
⸻
■ 現在:東京近郊の廃モール地下
「これが、“継承者”ってわけか」
元自衛官の男が低く呟いた。
かつて神楽坂カイと共に戦ったメンバーの一人、真柴レンジ。
今は地下に潜り、腐敗政治の監視と再起動思想の拡散を続けていた。
レンは、かつてのカイの仲間から彼の記録を受け取り、
独自に「第二の再起動計画」の構築を進めていた。
「お前の狙いはなんだ。前と同じか? ビルを燃やし、世論を動かすか?」
「いいえ。今回は空からやります」
「空?」
「空港を押さえ、旅客機を奪取する。
その機内に、“処刑リスト”の対象者が一人搭乗予定です」
真柴は目を細めた。
「……それは神楽坂ですら踏み込まなかった領域だぞ。
民間人を乗せたまま突入すれば、お前は本物の“テロリスト”になる」
「わかってます」
レンは静かに言った。
「でも、もう“正しさ”なんて誰も見てない。
ショックがなきゃ、何も始まらない。
見せるんです、“壊れた国の真実”を、空から」
真柴はため息をつき、煙草に火をつけた。
「……じゃあ教えろ。突入の先に、お前は“何を望む”?」
レンは、はっきりと答えた。
「“見届ける目”が欲しい。
俺が何者であれ、この国の真実を、誰かに届けるために」
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夜が明ける。
作戦コード名――**「再起動:205」**が、静かに点灯する。
空港に、もうひとつの朝が近づいていた。
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