『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI

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異世界の異変

第12話「常連騎士の影」

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カラン――。
深夜の静けさを破る扉の音に、レンは思わず顔を上げた。

そこに立っていたのは、よく見慣れた姿。
鎧の隙間から覗く顔に、以前より深い影が差している。常連の騎士だ。

「お久しぶりです」
レンが声を掛けると、騎士はかすかに笑みを浮かべた。
「……ああ、しばらくだな。少しの間、国境警備に出ていてね。なかなか来られなかったんだ」

その声は、疲れを隠しきれない低さを帯びていた。肩の鎧には砂埃がこびりつき、剣の柄には使い込んだ跡が新しく刻まれている。

彼は慣れた手つきでいつもの鮭おにぎりとお茶、チキンをかごに入れる。
それはまるで、日常に戻ろうとするかのような仕草に見えた。

会計を済ませながら、レンはそっと言葉を添える。
「……お疲れ様です」

短い言葉だったが、騎士の肩が一瞬だけ緩んだ。
「ありがとう。この店の飯を食べると、また頑張れる気がするよ」

そう呟いた彼は袋を手に取り、扉の方へと歩いていく。背中はいつもより少し重く、沈んで見えた。

カラン、と扉が閉まる。
静けさが戻った店内に、ほんのり漂うチキンの匂いと、レンの胸に残る小さなざわめき。

――国境は、本当に今どうなっているのだろう。
問いは声にはならず、レジ横に置かれた手帳に指先で触れるだけ。

「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
レンの言葉は静かに夜へと溶けていった。
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