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第24話 背中を押す手
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夕方。
セシリアとルークと別れ、
ミアは自宅への道を一人で歩いていた。
村の道は、いつもと同じはずなのに、
どこか少し広く感じる。
(……リアねぇ、行っちゃうんだ)
頭では分かっている。
学園に行くことは、良いことだ。
セシリアは強い。
そして、もっと強くなる。
それでも――
胸の奥に、ぽっかりと穴が空いたような感覚があった。
*
「ただいま……」
扉を開けると、
家の中から、慣れ親しんだ匂いが流れてくる。
「おかえり、ミア」
母のシアが、台所から顔を出した。
「お腹、空いてる?」
「……うん」
短く答えながら、
ミアは椅子に腰を下ろした。
少し迷ってから、
意を決したように口を開く。
「……お母さん」
「なあに?」
「リアねぇ……学園に行くんだって」
シアの手が、一瞬止まる。
「……そう」
だが、驚いた様子はなかった。
「リリアから、もう聞いてるわ」
ミアは、少し驚く。
「……もう?」
「ええ」
「あなたたち、最近すごく頑張ってるもの」
その言葉に、
ミアの胸が少しだけ軽くなる。
その時、
外から足音が聞こえた。
「ただいま」
父のドルンだった。
仕事帰りの、
少し疲れた声。
「おかえりなさい」
シアが返す。
ミアは、父の顔を見ると、
ぐっと唇を噛んだ。
(……今、言わなきゃ)
「……お父さん」
ドルンは、ミアの前に座り、
優しく目を細めた。
「どうした?」
「……わたし」
一度、深呼吸をして。
「わたしも……学園に行きたい」
ドルンの眉が、少しだけ動く。
ミアは、続けた。
「今はまだ、年が足りないけど」
「十歳になったら……」
「王立魔法学園に、入りたい」
一瞬の沈黙。
ミアは、思わず俯く。
「……でも」
声が、少し小さくなる。
「お金、かかるよね」
「ルークの家みたいに、
畑がたくさんあるわけじゃないし……」
それは、
ずっと心の奥にあった不安だった。
ドルンは、黙ってミアを見つめ――
やがて、静かに笑った。
「……そんな顔するな」
大きな手が、
ミアの頭に乗せられる。
優しく、ぽんぽんと撫でる。
「お金の心配なんて、
子供がすることじゃない」
「でも……」
「いいから」
ドルンは、はっきりと言った。
「お前のやりたいことを、やりなさい」
ミアの目が、見開かれる。
「……いいの?」
「ああ」
ドルンは、頷く。
「お前が本気で学びたいなら」
「俺と母さんで、どうにかする」
シアも、ミアの隣に来て、
そっと肩に手を置いた。
「あなたの魔法が、
すごく成長してるってこと」
「リリアから、ちゃんと聞いてるわ」
ミアの胸が、じんわりと熱くなる。
「……わたし」
「リアねぇみたいに、
すごくはないけど……」
「そんなこと、ない」
シアは、きっぱりと言った。
「あなたは、あなたのやり方で伸びてる」
「それに……」
少しだけ、微笑む。
「ルークのそばで、
ちゃんと学んできたでしょ?」
その言葉に、
ミアは思わず笑ってしまった。
「……うん」
涙が、少し滲む。
ドルンは、ミアの頭をもう一度撫でながら言った。
「学園に行くなら」
「今まで以上に、大変になるぞ」
「それでも、いいか?」
ミアは、迷わず頷いた。
「うん!」
「頑張る!」
その声は、
不安よりも、希望の方が大きかった。
*
その夜。
ミアは、布団の中で目を閉じながら、
今日のことを思い返していた。
(……行けるんだ)
(……学園)
まだ少し先の未来。
でも、確かに、
そこへ続く道が見えた。
リアねぇは、先に行く。
自分は、後から追いかける。
そして――
ルークは、そのもっと先で待っている。
ミアは、胸の前で小さく拳を握った。
(……負けない)
(……置いていかれない)
背中を押してくれる人がいる。
だから、前に進める。
静かな夜の中で、
ミアは、確かな一歩を踏み出した気がしていた。
セシリアとルークと別れ、
ミアは自宅への道を一人で歩いていた。
村の道は、いつもと同じはずなのに、
どこか少し広く感じる。
(……リアねぇ、行っちゃうんだ)
頭では分かっている。
学園に行くことは、良いことだ。
セシリアは強い。
そして、もっと強くなる。
それでも――
胸の奥に、ぽっかりと穴が空いたような感覚があった。
*
「ただいま……」
扉を開けると、
家の中から、慣れ親しんだ匂いが流れてくる。
「おかえり、ミア」
母のシアが、台所から顔を出した。
「お腹、空いてる?」
「……うん」
短く答えながら、
ミアは椅子に腰を下ろした。
少し迷ってから、
意を決したように口を開く。
「……お母さん」
「なあに?」
「リアねぇ……学園に行くんだって」
シアの手が、一瞬止まる。
「……そう」
だが、驚いた様子はなかった。
「リリアから、もう聞いてるわ」
ミアは、少し驚く。
「……もう?」
「ええ」
「あなたたち、最近すごく頑張ってるもの」
その言葉に、
ミアの胸が少しだけ軽くなる。
その時、
外から足音が聞こえた。
「ただいま」
父のドルンだった。
仕事帰りの、
少し疲れた声。
「おかえりなさい」
シアが返す。
ミアは、父の顔を見ると、
ぐっと唇を噛んだ。
(……今、言わなきゃ)
「……お父さん」
ドルンは、ミアの前に座り、
優しく目を細めた。
「どうした?」
「……わたし」
一度、深呼吸をして。
「わたしも……学園に行きたい」
ドルンの眉が、少しだけ動く。
ミアは、続けた。
「今はまだ、年が足りないけど」
「十歳になったら……」
「王立魔法学園に、入りたい」
一瞬の沈黙。
ミアは、思わず俯く。
「……でも」
声が、少し小さくなる。
「お金、かかるよね」
「ルークの家みたいに、
畑がたくさんあるわけじゃないし……」
それは、
ずっと心の奥にあった不安だった。
ドルンは、黙ってミアを見つめ――
やがて、静かに笑った。
「……そんな顔するな」
大きな手が、
ミアの頭に乗せられる。
優しく、ぽんぽんと撫でる。
「お金の心配なんて、
子供がすることじゃない」
「でも……」
「いいから」
ドルンは、はっきりと言った。
「お前のやりたいことを、やりなさい」
ミアの目が、見開かれる。
「……いいの?」
「ああ」
ドルンは、頷く。
「お前が本気で学びたいなら」
「俺と母さんで、どうにかする」
シアも、ミアの隣に来て、
そっと肩に手を置いた。
「あなたの魔法が、
すごく成長してるってこと」
「リリアから、ちゃんと聞いてるわ」
ミアの胸が、じんわりと熱くなる。
「……わたし」
「リアねぇみたいに、
すごくはないけど……」
「そんなこと、ない」
シアは、きっぱりと言った。
「あなたは、あなたのやり方で伸びてる」
「それに……」
少しだけ、微笑む。
「ルークのそばで、
ちゃんと学んできたでしょ?」
その言葉に、
ミアは思わず笑ってしまった。
「……うん」
涙が、少し滲む。
ドルンは、ミアの頭をもう一度撫でながら言った。
「学園に行くなら」
「今まで以上に、大変になるぞ」
「それでも、いいか?」
ミアは、迷わず頷いた。
「うん!」
「頑張る!」
その声は、
不安よりも、希望の方が大きかった。
*
その夜。
ミアは、布団の中で目を閉じながら、
今日のことを思い返していた。
(……行けるんだ)
(……学園)
まだ少し先の未来。
でも、確かに、
そこへ続く道が見えた。
リアねぇは、先に行く。
自分は、後から追いかける。
そして――
ルークは、そのもっと先で待っている。
ミアは、胸の前で小さく拳を握った。
(……負けない)
(……置いていかれない)
背中を押してくれる人がいる。
だから、前に進める。
静かな夜の中で、
ミアは、確かな一歩を踏み出した気がしていた。
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