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第30話 合格、そして呼び出し
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翌朝。
セシリアは、少し早く目を覚ました。
宿の窓から差し込む朝日が、
昨夜よりもどこか眩しく感じられる。
(……今日、だ)
合格発表。
結果がどうであれ、
ここまで来た事実は変わらない。
そう思ってはいるものの、
胸の鼓動は、どうしても早くなる。
*
王立魔法学園の正門前は、
朝から人で溢れていた。
昨日試験を受けた受験生たちが、
固唾を飲んで掲示板を見つめている。
セシリアも、人波の後ろから、
ゆっくりと近づいた。
(……あった)
視線が、自分の名前を捉えた瞬間。
胸の奥が、
すっと軽くなる。
合格。
「……よかった」
思わず、小さく呟いていた。
不安が、
一気に解けていく。
(……ルーク)
最初に浮かんだのは、
村にいるあの小さな背中だった。
(約束、守れたよ)
*
合格者は、そのまま学園の校舎へ案内された。
入学に関する説明書類、
寮や授業についての資料。
それらを受け取るためだ。
広い廊下を進んでいると――
ふいに、声をかけられる。
「……君」
振り向くと、
昨日、実技試験で後方に立っていた教官がいた。
落ち着いた雰囲気の男性。
「合格、おめでとう」
「……ありがとうございます」
セシリアは、少し緊張しながら頭を下げる。
「私は、アイン」
穏やかに微笑みながら、名乗った。
「この学園で教師をしている」
「……アイン先生」
そう呼ぶと、
アインは小さく頷いた。
「少し、話がある」
「学園長が、君に会いたいそうだ」
その言葉に、
セシリアの心臓が跳ねる。
「……学園長、ですか?」
「ああ」
アインは、視線を校舎の奥へ向ける。
「学園長室へ、来てくれるかな」
理由は、言われなかった。
だが――
昨日の実技試験が、頭をよぎる。
(……やっぱり)
胸の奥が、ざわつく。
「……はい」
セシリアは、しっかりと頷いた。
*
一方、その頃。
ハルネ村では、
いつもと変わらぬ朝が始まっていた。
村外れの訓練場。
ルークとミアは、向かい合って立っている。
「……じゃあ、いくよ」
「うん!」
魔力感知、
体内循環、
体外放出。
流れるような動きで、
ミアは風を起こした。
「……いい」
ルークが、短く評価する。
「えへへ」
褒められると、
やはり嬉しそうだ。
ひと通り訓練を終え、
二人は腰を下ろして休憩に入った。
ミアは、水筒を飲みながら、
ふと空を見上げる。
「……リアねぇ」
「大丈夫かな」
小さな声。
ルークは、即答した。
「……だいじょうぶ」
迷いのない声音だった。
「……ぜったい、うかる」
ミアは、少し驚いたようにルークを見る。
「そんなに?」
「……うん」
「おねえちゃん、つよい」
それは、
事実を述べているだけの口調だった。
だが――
ミアの胸には、ちくりとした感情が残る。
(……信じてるんだ)
(あんなふうに、迷いなく)
ほんの少しだけ。
ほんの、ほんの少しだけ――
胸の奥が、ざわついた。
「……ふーん」
拗ねたように、視線を逸らす。
「なに?」
「べつに」
ルークは、深く追及しなかった。
それもまた、
ミアには少し悔しかったが。
「……じゃあ、つづき」
ルークが立ち上がる。
「つぎは、ちゅうきゅう」
「うん!」
ミアも、すぐに立ち上がった。
セシリアがいない今、
ここで止まるわけにはいかない。
(……負けない)
ミアは、心の中でそう誓い、
再び魔力を巡らせた。
*
王都。
学園の校舎では、
セシリアが、アインの後について歩いていた。
これから向かう先は、
学園長室。
そこに待つのは、
合格以上の“何か”。
それを、まだ彼女は知らない。
だが――
確かなことが一つだけあった。
この合格は、
終わりではない。
始まりだ。
村でも、王都でも。
それぞれの場所で、
次の一歩が、静かに踏み出されていた。
セシリアは、少し早く目を覚ました。
宿の窓から差し込む朝日が、
昨夜よりもどこか眩しく感じられる。
(……今日、だ)
合格発表。
結果がどうであれ、
ここまで来た事実は変わらない。
そう思ってはいるものの、
胸の鼓動は、どうしても早くなる。
*
王立魔法学園の正門前は、
朝から人で溢れていた。
昨日試験を受けた受験生たちが、
固唾を飲んで掲示板を見つめている。
セシリアも、人波の後ろから、
ゆっくりと近づいた。
(……あった)
視線が、自分の名前を捉えた瞬間。
胸の奥が、
すっと軽くなる。
合格。
「……よかった」
思わず、小さく呟いていた。
不安が、
一気に解けていく。
(……ルーク)
最初に浮かんだのは、
村にいるあの小さな背中だった。
(約束、守れたよ)
*
合格者は、そのまま学園の校舎へ案内された。
入学に関する説明書類、
寮や授業についての資料。
それらを受け取るためだ。
広い廊下を進んでいると――
ふいに、声をかけられる。
「……君」
振り向くと、
昨日、実技試験で後方に立っていた教官がいた。
落ち着いた雰囲気の男性。
「合格、おめでとう」
「……ありがとうございます」
セシリアは、少し緊張しながら頭を下げる。
「私は、アイン」
穏やかに微笑みながら、名乗った。
「この学園で教師をしている」
「……アイン先生」
そう呼ぶと、
アインは小さく頷いた。
「少し、話がある」
「学園長が、君に会いたいそうだ」
その言葉に、
セシリアの心臓が跳ねる。
「……学園長、ですか?」
「ああ」
アインは、視線を校舎の奥へ向ける。
「学園長室へ、来てくれるかな」
理由は、言われなかった。
だが――
昨日の実技試験が、頭をよぎる。
(……やっぱり)
胸の奥が、ざわつく。
「……はい」
セシリアは、しっかりと頷いた。
*
一方、その頃。
ハルネ村では、
いつもと変わらぬ朝が始まっていた。
村外れの訓練場。
ルークとミアは、向かい合って立っている。
「……じゃあ、いくよ」
「うん!」
魔力感知、
体内循環、
体外放出。
流れるような動きで、
ミアは風を起こした。
「……いい」
ルークが、短く評価する。
「えへへ」
褒められると、
やはり嬉しそうだ。
ひと通り訓練を終え、
二人は腰を下ろして休憩に入った。
ミアは、水筒を飲みながら、
ふと空を見上げる。
「……リアねぇ」
「大丈夫かな」
小さな声。
ルークは、即答した。
「……だいじょうぶ」
迷いのない声音だった。
「……ぜったい、うかる」
ミアは、少し驚いたようにルークを見る。
「そんなに?」
「……うん」
「おねえちゃん、つよい」
それは、
事実を述べているだけの口調だった。
だが――
ミアの胸には、ちくりとした感情が残る。
(……信じてるんだ)
(あんなふうに、迷いなく)
ほんの少しだけ。
ほんの、ほんの少しだけ――
胸の奥が、ざわついた。
「……ふーん」
拗ねたように、視線を逸らす。
「なに?」
「べつに」
ルークは、深く追及しなかった。
それもまた、
ミアには少し悔しかったが。
「……じゃあ、つづき」
ルークが立ち上がる。
「つぎは、ちゅうきゅう」
「うん!」
ミアも、すぐに立ち上がった。
セシリアがいない今、
ここで止まるわけにはいかない。
(……負けない)
ミアは、心の中でそう誓い、
再び魔力を巡らせた。
*
王都。
学園の校舎では、
セシリアが、アインの後について歩いていた。
これから向かう先は、
学園長室。
そこに待つのは、
合格以上の“何か”。
それを、まだ彼女は知らない。
だが――
確かなことが一つだけあった。
この合格は、
終わりではない。
始まりだ。
村でも、王都でも。
それぞれの場所で、
次の一歩が、静かに踏み出されていた。
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