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第39話 五年越しの再会
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翌朝。
王都の空は澄み渡り、
学園の正門前には、すでに多くの人影があった。
受験生たち。
付き添いの家族。
そして、合格発表を待つ緊張と期待。
ルークとミアも、その中にいた。
「……いよいよ、だね」
「……うん」
掲示板の方へ向かおうとした、その時だった。
「……あれ?」
視界の端に、
見覚えのある姿が映る。
反射的に、ルークは声を上げた。
「……お姉ちゃん?」
その瞬間――
「ルーク!!」
聞き慣れた声が響き、
次の瞬間には、セシリアが駆け出してきた。
「ルークー!!」
勢いそのままに、
ぎゅっと抱きついてくる。
「会いたかったぞ!!」
五年分の想いが、その腕に込められていた。
「……うん」
ルークも、少し照れながら答える。
「……僕も」
「……お姉ちゃんに、会うの」
「……楽しみに、してた」
その言葉を聞いた瞬間、
セシリアの頬が、わずかに赤くなる。
「……そ、そっか」
「……へへ」
照れ隠しのように笑う姿は、
村にいた頃と、何一つ変わっていなかった。
*
「……ちょっと」
そこへ、
横から割って入る声。
「……近くない?」
ミアだった。
腕を組み、
じっとセシリアを見上げている。
「久しぶりなんだから、いいでしょ?」
セシリアは、悪びれもせず言う。
「それは……そうだけど……」
ミアはむくれたように口を尖らせた。
その様子に、
ルークは小さく苦笑する。
三人の距離感は、
村にいた頃と、何も変わっていない。
*
だが――
その空気は、周囲から見ると異質だった。
「……あれって……」
「無詠唱の才女……」
「セシリア様じゃない?」
ひそひそと、声が聞こえてくる。
「本物だ……」
「やっぱり、噂通り……」
受験生たちの視線が、
一斉にセシリアへ向く。
だが、当の本人は、
まったく気にしていない様子だった。
「それでな、ルーク」
「学園はな――」
話しかけようとした、その時。
「会長」
凛とした声が、割り込む。
振り向くと、
そこにはエミリが立っていた。
「ここにいらしたんですか」
「会議の時間です」
「……え?」
セシリアは、きょとんとする。
「まだ、ルークと……」
「ダメです」
即答だった。
エミリは、セシリアの腕を掴む。
「行きますよ」
「ちょ、ちょっと……!」
「まだ話したいことが……!」
「後にしてください」
ずるずると引きずられながら、
セシリアは必死に振り返る。
「ルークー!!」
「あとで絶対行くからな!!」
そのまま、
会長は連行されていった。
その光景を見送りながら、
ルークは呆然と呟く。
「……忙しそう」
「……そうだね」
ミアが、少し寂しげに言った。
*
「……じゃあ、先に発表、見よ」
気を取り直し、
二人は掲示板の前へ向かう。
合格者一覧。
上から、順に名前を追っていく。
――あった。
「……ルーク」
「……ミア」
「……あった……!」
ミアは、一瞬固まり、
次の瞬間――
「……あった!!」
勢いよく、ルークに抱きついた。
「合格してる!!」
「ルークのおかげだよ!!」
「教えてくれたから……!」
喜びを隠しきれない。
「……おめでとう」
ルークは、穏やかに言った。
「……ミア、頑張ったね」
「うん……!」
*
合格者は、そのまま案内され、
入学に関する説明を受ける。
寮。
授業。
規則。
分厚い資料を受け取り、
二人は席を立った。
その時――
「合格おめでとう」
声をかけられた。
振り向くと、
そこにはアインが立っていた。
「ルーク君」
「ミアさん」
「……ありがとうございます」
二人は、揃って頭を下げる。
アインは、少し微笑み、
続けた。
「……少し、時間はあるかな?」
「はい」
ルークは、即答した。
「学園長がね」
「君に……いや」
一瞬、言葉を選び直す。
「君たちに、会いたがっている」
ルークは、わずかに首を傾げた。
「……僕たちに?」
「そうだ」
「案内しよう」
アインは、踵を返す。
ルークとミアは、顔を見合わせ、
静かに頷いた。
こうして――
二人は、学園の奥へと足を踏み入れる。
まだ知らない。
この先で待つのが、
“ただの面談”ではないことを。
そして、
五年前に失われたはずの「賢者の系譜」が、
再び動き出そうとしていることを。
王都の空は澄み渡り、
学園の正門前には、すでに多くの人影があった。
受験生たち。
付き添いの家族。
そして、合格発表を待つ緊張と期待。
ルークとミアも、その中にいた。
「……いよいよ、だね」
「……うん」
掲示板の方へ向かおうとした、その時だった。
「……あれ?」
視界の端に、
見覚えのある姿が映る。
反射的に、ルークは声を上げた。
「……お姉ちゃん?」
その瞬間――
「ルーク!!」
聞き慣れた声が響き、
次の瞬間には、セシリアが駆け出してきた。
「ルークー!!」
勢いそのままに、
ぎゅっと抱きついてくる。
「会いたかったぞ!!」
五年分の想いが、その腕に込められていた。
「……うん」
ルークも、少し照れながら答える。
「……僕も」
「……お姉ちゃんに、会うの」
「……楽しみに、してた」
その言葉を聞いた瞬間、
セシリアの頬が、わずかに赤くなる。
「……そ、そっか」
「……へへ」
照れ隠しのように笑う姿は、
村にいた頃と、何一つ変わっていなかった。
*
「……ちょっと」
そこへ、
横から割って入る声。
「……近くない?」
ミアだった。
腕を組み、
じっとセシリアを見上げている。
「久しぶりなんだから、いいでしょ?」
セシリアは、悪びれもせず言う。
「それは……そうだけど……」
ミアはむくれたように口を尖らせた。
その様子に、
ルークは小さく苦笑する。
三人の距離感は、
村にいた頃と、何も変わっていない。
*
だが――
その空気は、周囲から見ると異質だった。
「……あれって……」
「無詠唱の才女……」
「セシリア様じゃない?」
ひそひそと、声が聞こえてくる。
「本物だ……」
「やっぱり、噂通り……」
受験生たちの視線が、
一斉にセシリアへ向く。
だが、当の本人は、
まったく気にしていない様子だった。
「それでな、ルーク」
「学園はな――」
話しかけようとした、その時。
「会長」
凛とした声が、割り込む。
振り向くと、
そこにはエミリが立っていた。
「ここにいらしたんですか」
「会議の時間です」
「……え?」
セシリアは、きょとんとする。
「まだ、ルークと……」
「ダメです」
即答だった。
エミリは、セシリアの腕を掴む。
「行きますよ」
「ちょ、ちょっと……!」
「まだ話したいことが……!」
「後にしてください」
ずるずると引きずられながら、
セシリアは必死に振り返る。
「ルークー!!」
「あとで絶対行くからな!!」
そのまま、
会長は連行されていった。
その光景を見送りながら、
ルークは呆然と呟く。
「……忙しそう」
「……そうだね」
ミアが、少し寂しげに言った。
*
「……じゃあ、先に発表、見よ」
気を取り直し、
二人は掲示板の前へ向かう。
合格者一覧。
上から、順に名前を追っていく。
――あった。
「……ルーク」
「……ミア」
「……あった……!」
ミアは、一瞬固まり、
次の瞬間――
「……あった!!」
勢いよく、ルークに抱きついた。
「合格してる!!」
「ルークのおかげだよ!!」
「教えてくれたから……!」
喜びを隠しきれない。
「……おめでとう」
ルークは、穏やかに言った。
「……ミア、頑張ったね」
「うん……!」
*
合格者は、そのまま案内され、
入学に関する説明を受ける。
寮。
授業。
規則。
分厚い資料を受け取り、
二人は席を立った。
その時――
「合格おめでとう」
声をかけられた。
振り向くと、
そこにはアインが立っていた。
「ルーク君」
「ミアさん」
「……ありがとうございます」
二人は、揃って頭を下げる。
アインは、少し微笑み、
続けた。
「……少し、時間はあるかな?」
「はい」
ルークは、即答した。
「学園長がね」
「君に……いや」
一瞬、言葉を選び直す。
「君たちに、会いたがっている」
ルークは、わずかに首を傾げた。
「……僕たちに?」
「そうだ」
「案内しよう」
アインは、踵を返す。
ルークとミアは、顔を見合わせ、
静かに頷いた。
こうして――
二人は、学園の奥へと足を踏み入れる。
まだ知らない。
この先で待つのが、
“ただの面談”ではないことを。
そして、
五年前に失われたはずの「賢者の系譜」が、
再び動き出そうとしていることを。
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