最強共を率いてるからといって俺が最強という訳ではない。

中華料理

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死亡

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「うわっ、もうこんな時間…」
  

残業してたら既に深夜12時に差し掛かるところだった。

俺が勤めている会社は典型的なブラックだ。それはもう見事な程に。残業は当たり前、上司は部下に仕事を押し付け、それなのに給料はろくに貰えず、ただただ神経をすり減らす毎日。

そんな日々の中、俺が唯一楽しみにしているのが「ゲーム」だ。そのなかでも俺がずっとやり続けているゲームが「キングオブメタレイア」というMMORPGである。

このゲームは個人プレイか協力プレイというプレイ形態やアバターの性別・年齢・人種・見た目・職業・装備などなど、幾千ものパターンが可能な自由度の高いものとなっている。

このゲームの主軸となる物語を簡単に説明すると、世界の動脈的役割を担う八つの希少石レアメタルが悪の組織的なのに汚染され、その八つの希少石を浄化するために旅に出るというものだ。ラスボス登場して倒したと思ったらまさかの黒幕いましたーっていうあるある展開が待ち受けてる系の、やり込み要素満載のゲームである。

俺はこのゲームをブラック会社に通いながらも合間合間の時間でやり込んだ強者である。自分で言うのもなんだが。

勿論、俺は個人プレイしかやったことない。しかし、ぼっちプレイヤーではあったものの、ランキングTOP10入りは当たり前田のランカーなのはちょっと自慢したい。

そんな俺のアバターの設定は【男】【18歳】【人族】【王】という、まぁ、見てわかる通りリアルの俺のストレスを発散したいがために作られたような設定となっている。俺だってあれやこれや命令してふんぞり返ってみたかったんだよ!悪いか!あと、18歳で王っていうのも無理やりな設定かもしれないが、ゲームの中でくらい若人として生き生きと暮らしたかったんだよ!

だがここで1つ問題が発生する。

このゲームにはいくつか特殊ジョブがあり、【王】もそのひとつなのである。特殊と言われる所以は各々異なるのだが、【王】の場合は、最初から【王】としてプレイする訳では無いというところに特殊性がでている。言い換えれば、二週目以降から選択可能となる特殊ジョブといえなくもない。

まぁ、物語の流れ的に、王の命令で希少石の浄化をする旅に出るのが序章の話であるため、王が王に命令するというなんとも笑えない展開になってしまうからな。

【王】を選んだ場合、最初のジョブはまさかのランダムで決定される。その代わり、希少石の浄化が完了し、ボスを倒した後の世界では王となることが決定し、その後の物語を楽しむことができる。この時、なんと、自分の国を自分で建国できるのだ!すごいだろ。俺の国の名前は…ふっ、お楽しみは後に取っておくか。

さらにこのゲーム、全クリアするとそのままのステータスで最初から遊ぶことが出来るという所謂「強くてニューゲーム」を楽しむことが出来るのだ!この場合もちろんアバター自身が王であるので、自国とはまた別の、隣国の王からの要請に答え、希少石の浄化に乗り込むという形になる。俺は何周もしているので、ゲームの中では何回も【王】として過ごしているのだ。

そんな俺であるが、最初のジョブはまさかの【孤児】だった。んなあほな。最弱ジョブじゃないですか。

その時はぶちぎって最初から始めようとした。しかし、最弱から最強に成り上がるのも悪くないなと思い、そのまま進めることにした。

設定が【孤児】となっているから劣悪な環境からのスタートなのかなと思っていたら、思ってた以上にそうでもなかった。というのも、設定を【18歳】ということにしていたため、劣悪期は過去の話となっていたのだ。一応【孤児】として扱われていたものの、それなりに自立しており、冒険者としての登録も可能であったため、そこまで悪い状況ではなかった。

まぁ、細かい話はおいおい話すとして。

【王】というジョブには初期ジョブのランダム化と引き換えに、【王】となってからはとてつもない強さを発揮する。それこそ、全ジョブの中で上位を誇る総合値SSランク級のジョブなのだ。

【王】の強みは、なんといっても【王】の固有ジョブである〈絶対王政〉と〈配下統率〉であろう。

〈絶対王政〉はその名の通り、王である俺が絶対的な存在であると民が認識し、王としての絶対的権力を行使できるようになるものである。
〈配下統制〉は自分で配下を配置でき、それらを統率することができるようになるものである。
基本的にジョブの固有スキルの強さはジョブレベルに比例する。例えば、〈絶対王政〉の場合、ジョブレベル1の王の命令は簡単に振り切られてしまうが、ジョブレベル99の王の命令はどんな命令でも、またどんな配下でも喜々として遂行しようとするようになる。いやぁ、ジョブレベル99までの道のりは長かったなあ…。物語が終わった後でないと上げられないからなおさらである。

そんなこんなでやりこみまくって自国を繁栄させていたわけだが。ここで突然だが悲しいお知らせが。






俺、現実世界にて、過労+栄養失調で死んでしまいました。





「ってなに悠長にゲームのこと語ってたんだよ俺えええええ!?」

これはもう自分の間抜けさにツッコミを入れる他ないだろう。………………。





え?





何故俺はつったって、しゃべって、セルフツッコミしているんだ?

いやいやいや、俺は確かに家に帰ったとたんぶっ倒れたはずで。

幽体離脱したかのような第三者の視点で自分の死を目の当たりにし。

会社の人が誰一人いない小規模な自身の葬式をこれまた他人事のように傍観し。

あっけなく死んでしまったはずなのに。



「ここ……どこだ?」



気付いたら、王座のようにしか見えない椅子に我が物顔で座っていたのだった。




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