悪役令嬢を見守る王子の執事になった

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私は悪役です(マリアンヌ視点)

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皆様、御機嫌よう。私の名はマリアンヌと申します。

私はアンネット公爵家の一人娘として生まれ、幼い頃から王太子殿下の婚約者としての教育を施されて来ました。 マナーやダンス、器楽、経済学や法学、魔法学や魔法実践学等、様々な事を学んできました。王太子殿下はこれに加えて更に学ぶことがあるというのですから、凄いと思うと同時にお体を大切にしてもらいたいと思っております。

……と、今回話したい事はその事ではないのです。

私が8歳の頃、私は突然の高熱に魘されることになりました。そして思い出したのです。


『この世界は、乙女ゲームの世界である』と。


回復した私には、とある女性の記憶がありました。その記憶の中の彼女は、地球の日本という国で高等学校なる教育機関に通っていました。そして、彼女にはとある趣味がありました。それは、「乙女ゲーム」なるものをすることです。

何故かは分かりませんが、その乙女ゲームの内容も、私が実際にやったかのように把握しています。その乙女ゲームには王太子殿下と同姓同名、見た目も同じ人が登場し、そして、私に似た女性も登場していました。

そのゲームの中で私(仮)は「悪役令嬢」と呼ばれる位置にいました。公爵家の令嬢、そして王太子殿下の婚約者という地位に胡座をかき、平民を人間と思わないような所業を遂行せんとするのが私……マリアンヌ・アンネットでした。

そんな私と対立するのが、「ヒロイン」という位置についている一人の女性でした。彼女の名は乙女ゲームを操作する人間───プレイヤーが自分の望んだ名前にできる仕様のため、これと言ったものがありません。ただ、そのゲームでは男爵家の御令嬢として登場しておりました。

その乙女ゲームは、彼女が様々な殿方と恋愛することを目的としていたのです。そして、その殿方の中には私の婚約者であるアラン・ナイトハルト様も含まれておりました。

アラン様は悪役令嬢である私(仮)のことを良く思っておりませんでした。平民を虐げ、己より階級の低い貴族を見下し、上の者に媚びへつらうような私(仮)を良く思わないのは当たり前だ、と私も思います。………私はそんなことしませんからね?

そんな婚約者と王太子の責任に板挟みにされ、頭を悩ませていたところにやってくるのがヒロインでした。

ヒロインはアラン様に会う度に柔らかな笑みを浮かべて、励ましの言葉を送るのです。この世界では、王家の方に男爵令嬢から話しかける機会は学園を除いてほぼ無いと言ってもいいでしょう。しかし、その物語が繰り広げられる場所がその学園だったのです。

周囲の目からは不敬と思われるかもしれませんが、学園の規律には「王族貴族平民は須らく対等な存在であり、例え上位の位を持つものでも下位の位の者に対しての暴言、暴行、恐喝及びそれに類するものを禁じる」と言うものがあるため、規律上は無問題なのです。………ただ、この規律はあまりにも影が薄いため、教師でさえも把握しているのか怪しいところです。

そんな細かい話は置いといて。

そんなこんなでアラン様はヒロインの笑顔に惹かれ、遂には両思いになってしまうのです!!!そして私は要らない婚約者として婚約破棄されてしまいます。更に、数々の悪事の証拠と先程の規律を提示され、私は学園からも追い出されてしまいます。

その後、我が家に帰る………こともできずに公爵家からも破門とされ、頼る所もなくさまよい、その先にまちかまえているのは………。というわけで私に焦点を当てればいずれにせよバッドエンドを迎えざるを得ない話になってしまうのです。はい。

いくら私のことではないにせよ、私と性格が違うだけの人がそんな目にあうことに面白いと思うわけがございません。

…………いえ、違うのは性格だけではございません。

ゲームの世界の私(仮)は幼少期からアラン様から煙たがられていました。初めてあった時からアラン様は私(仮)を訝しげに見つめ、私(仮)はアラン様と接触をするべく図々しい行いばかりしておりました。

しかし、この世界の私はアラン様とは良好な関係を築かせていただいております。といいますか、アラン様がとてつもなく甘いのです。この私に。甘い生クリームたっぷりのケーキに砂糖菓子をこれまたたっぷり付けたモノ以上に甘いのです。

乙女ゲームの事がある私は、そのギャップに一時は何か企んでいるのでは、と思いもしたのですが、あまりのアラン様の溺愛っぷりに、私はまたもやアラン様に陥落してしまいました。前世を思い出した時には既にこの上なくアラン様をお慕いしておりましたがなにか?

といっても、私とアラン様のファーストコンタクトはなんというか………失敗してしまいまして。凄くマジマジと見られていて、私はずっと俯いてしまっていたのです。あんな綺麗なご尊顔に見つめられて赤くならない女がこの世にいるのなら是非ともお会いしたいと思います。それを良く思わなかったのでしょう、アラン様は不機嫌なご様子でいらっしゃったので、やらかした、と帰路に着いた私は青ざめた表情をしていました。

しかし、次にあった時、出迎えたアラン様は物凄く笑顔で私に仰ったのです。

『マリアンヌ、どうやら私は君に恋してしまったようだ。政略結婚などと堅苦しい事はなしに、伴侶として愛し合いたい。どうか私の手を取ってくれないだろうか?』

当時十歳のことでした。私は勿論了承の意を込めてその手を取らせていただきました。その時のことは今でも鮮明に残っております。

今年で十三歳となる私たちですが、愛しいという思いはお互いますます膨らんでいるように思います。月に1度しかお会い出来ませんが、だからこそお会い出来る一日一日が大切に思えてきます。

そして、13歳になった翌年には、遂に学園に通うことになるのです!!毎日アラン様にお会い出来るのです!!!こんなに喜ばしいことがあるでしょうか!?

不安としてはヒロインの存在がありますが、それも今の私たちには小石以下の障害物と言えましょう。何故なら…



私達は、あっ、あ………愛し合っているのですから!!!
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