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チキンソテー、レモンソース添え
チキンソテー、レモンソース添え4
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果汁を絞り終えたレモンから種を全部取り出すと、こちらは小さく切っておく。
お次にデザートとして洋ナシのコンポートを作るため、洋ナシの皮を向き始めた。
まだ剝いていない洋ナシを掴むとその形がさっきの女性のボディラインそっくりで再び偉そうに持ち上がる顎を思い出して嫌な気持ちになった。
(別に胸が突き出ているからってあんなに胸元を開けなくてもいいと思うわ)
アヴリルだって羨ましいくらい魅惑的な体つきだが、そういうのをひけらかすような雰囲気は一切ない。アリシャの胸はやや平らだから僻みがないと言えば嘘になる。それにしても、と猛烈なスピードで洋ナシの皮を剥いていった。
洋ナシを大量に半月型にしたら、てんさい糖を入れた鍋で半分透けるようになるまで煮て日から下ろした。これは食事の頃に再び温め、器に盛った後にハチミツをかけてシナモンを振る予定だ。
最近お馴染みの間引いた人参も皮だけ剝いて煮たら付け合わせにする為にテーブルへ置いておいた。
後は肉とパンを焼くだけになったが、先に翌日用のパンネタを作っておく。
「アリシャ」
アヴリルが少し膨らみがわかるようになったお腹を撫でながら料理部屋に入ってきた。
「アヴリル、食事はもうすぐよ」
「待てないわ。お腹の子が空腹を訴えるの」
「あら、それは大変! コンポートをちょっと食べてみる?」
自分でやるからと言うのでアリシャはハチミツを掛けてとだけ答えた。
「ねぇ、さっき来た女の人」
器に山盛りのコンポートを持ってアヴリルはアリシャに並んだ。ハチミツはやめておくとそのままナイフに刺して食べ始めた。
「アヴリルもお客さんに会ったの?」
「会ったというか見かけたわ。私のウィンに馴れ馴れしく触れてて正直腹が立ったわ」
顔を顰めたと思ったら大口を開けて洋ナシを放り込む。むしゃむしゃといつもより激しく口を動かしていた。
「そりゃ、ウィンは若いから結婚しているなんて思わないかもしれないけど!」
「アヴリル心配しなくてもウィンはアヴリルを愛しているわ。さっき話した時もはっきりそう言っていたもの」
アリシャが少し前の様子を思い出して言うと、明らかにアヴリルは表情を輝かせた。
「ウィンが言ったの? ああ、ウィンってば」
そこでちょっと伏し目になってアリシャには話すけれどと前置きして秘密を打ち明けた。
「私には夫が居たでしょう。なんの頼りもないし、亡くなったという話は聞いたからそうだと思っているの。でも、正式にはわからないじゃない? 見たわけではないし。それをウィンは心配しているの」
アリシャはパン生地を練るのを止めてアヴリルを見た。
「心配? ああ、アヴリルを迎えにくるかもって?」
アヴリルはコクンと頷いて洋ナシをナイフでゆっくり刺した。
「私達は誰にも告げずに逃げて来ているから夫には私がここに居ることはわからないはずなの。それに、ウィンと結婚した時に決めたのよ、もし夫が生きていようと私はウィンと共に生きようって」
それでもウィンはまだ信じられないみたいだと小さな声で続けてからアリシャをチラリと窺って力なく笑った。
「私達は夫婦だけどまだ体の関係がないのよ……。お腹に赤ちゃんがいるから。だからお互いに不安なの」
アリシャは言い難いが「体の関係がないのは重要なことなの?」と聞いてしまった。もちろん、エドとアリシャに照らし合わせてしまったのだがアヴリルには素朴な疑問として伝わったようだった。
「そうね、アリシャはまだそういう相手がいないものね。愛し合っていれば求め合うのは当然のことで、その当たり前のことが出来ないというのは不安なことなの。体を重ねるって全てを曝け出すことだし、偽りのない気持ちを伝える一番の方法なのよね。それが出来無いのはツライ」
エドとのことが頭の中で暴れ回って思考を乱すがアリシャは目の前で元気をなくしているアヴリルをどうにか元気づけなければと必死に考えた。
「あの……ウィンはそれでもちゃんとアヴリルを信じて愛してくれるわ」
アヴリルはため息をついて、まぁねと呟いた。
「あーあ、やだわ。ウィンを信じているのに艶っぽい女がウィンに触れてるだけで心配になるなんて!」
既に洋ナシが刺さっているナイフに、もう一つ思いっきり洋ナシを刺して口に押し込んで噛み砕いていく。
「アリシャのご飯は美味しいし、それじゃなくても食べ過ぎちゃうのに! ストレスで更に食べちゃうわ」
盛った分は確かにキレイになくなった。アリシャは「食べてくれるのは嬉しいけど」と、答えておく。アヴリルは使い終わったナイフを拭いてカバーに押し込んだ。
「聞いてくれてありがとね。ちょっと情緒不安定だわ。ボリスに八つ当たりしてこよう」
最後はおどけてみせて、アリシャに軽く感謝のハグをしてから広間に行ってしまった。その後ボリスの声が届いたから本当に八つ当たりしているのかもしれないとボリスをちょっぴり気の毒に思った。
(偽りのない気持ちを伝える一番の方法かぁ)
すっかり止まっていたパン生地作りを再開させながら、顔を赤らめていく。
確かにキスされただけで求められていると思うし、エドをこれまでで一番近くに感じた。もしそれ以上のことをすれば──と考えれば考えるほど顔に体中の熱が集まっていくみたいになって、アリシャは顔をプルプルと振った。
この後食事でエドと顔を合わせたら間違いなく顔に出てしまう。恥ずかしさに再び顔が赤らんでいくのを感じていた。
お次にデザートとして洋ナシのコンポートを作るため、洋ナシの皮を向き始めた。
まだ剝いていない洋ナシを掴むとその形がさっきの女性のボディラインそっくりで再び偉そうに持ち上がる顎を思い出して嫌な気持ちになった。
(別に胸が突き出ているからってあんなに胸元を開けなくてもいいと思うわ)
アヴリルだって羨ましいくらい魅惑的な体つきだが、そういうのをひけらかすような雰囲気は一切ない。アリシャの胸はやや平らだから僻みがないと言えば嘘になる。それにしても、と猛烈なスピードで洋ナシの皮を剥いていった。
洋ナシを大量に半月型にしたら、てんさい糖を入れた鍋で半分透けるようになるまで煮て日から下ろした。これは食事の頃に再び温め、器に盛った後にハチミツをかけてシナモンを振る予定だ。
最近お馴染みの間引いた人参も皮だけ剝いて煮たら付け合わせにする為にテーブルへ置いておいた。
後は肉とパンを焼くだけになったが、先に翌日用のパンネタを作っておく。
「アリシャ」
アヴリルが少し膨らみがわかるようになったお腹を撫でながら料理部屋に入ってきた。
「アヴリル、食事はもうすぐよ」
「待てないわ。お腹の子が空腹を訴えるの」
「あら、それは大変! コンポートをちょっと食べてみる?」
自分でやるからと言うのでアリシャはハチミツを掛けてとだけ答えた。
「ねぇ、さっき来た女の人」
器に山盛りのコンポートを持ってアヴリルはアリシャに並んだ。ハチミツはやめておくとそのままナイフに刺して食べ始めた。
「アヴリルもお客さんに会ったの?」
「会ったというか見かけたわ。私のウィンに馴れ馴れしく触れてて正直腹が立ったわ」
顔を顰めたと思ったら大口を開けて洋ナシを放り込む。むしゃむしゃといつもより激しく口を動かしていた。
「そりゃ、ウィンは若いから結婚しているなんて思わないかもしれないけど!」
「アヴリル心配しなくてもウィンはアヴリルを愛しているわ。さっき話した時もはっきりそう言っていたもの」
アリシャが少し前の様子を思い出して言うと、明らかにアヴリルは表情を輝かせた。
「ウィンが言ったの? ああ、ウィンってば」
そこでちょっと伏し目になってアリシャには話すけれどと前置きして秘密を打ち明けた。
「私には夫が居たでしょう。なんの頼りもないし、亡くなったという話は聞いたからそうだと思っているの。でも、正式にはわからないじゃない? 見たわけではないし。それをウィンは心配しているの」
アリシャはパン生地を練るのを止めてアヴリルを見た。
「心配? ああ、アヴリルを迎えにくるかもって?」
アヴリルはコクンと頷いて洋ナシをナイフでゆっくり刺した。
「私達は誰にも告げずに逃げて来ているから夫には私がここに居ることはわからないはずなの。それに、ウィンと結婚した時に決めたのよ、もし夫が生きていようと私はウィンと共に生きようって」
それでもウィンはまだ信じられないみたいだと小さな声で続けてからアリシャをチラリと窺って力なく笑った。
「私達は夫婦だけどまだ体の関係がないのよ……。お腹に赤ちゃんがいるから。だからお互いに不安なの」
アリシャは言い難いが「体の関係がないのは重要なことなの?」と聞いてしまった。もちろん、エドとアリシャに照らし合わせてしまったのだがアヴリルには素朴な疑問として伝わったようだった。
「そうね、アリシャはまだそういう相手がいないものね。愛し合っていれば求め合うのは当然のことで、その当たり前のことが出来ないというのは不安なことなの。体を重ねるって全てを曝け出すことだし、偽りのない気持ちを伝える一番の方法なのよね。それが出来無いのはツライ」
エドとのことが頭の中で暴れ回って思考を乱すがアリシャは目の前で元気をなくしているアヴリルをどうにか元気づけなければと必死に考えた。
「あの……ウィンはそれでもちゃんとアヴリルを信じて愛してくれるわ」
アヴリルはため息をついて、まぁねと呟いた。
「あーあ、やだわ。ウィンを信じているのに艶っぽい女がウィンに触れてるだけで心配になるなんて!」
既に洋ナシが刺さっているナイフに、もう一つ思いっきり洋ナシを刺して口に押し込んで噛み砕いていく。
「アリシャのご飯は美味しいし、それじゃなくても食べ過ぎちゃうのに! ストレスで更に食べちゃうわ」
盛った分は確かにキレイになくなった。アリシャは「食べてくれるのは嬉しいけど」と、答えておく。アヴリルは使い終わったナイフを拭いてカバーに押し込んだ。
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