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プロローグ
今後のことを考える
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02
学院の女子トイレの中。
パトリシアはとまどっていた。
(昨日までふつうにしてたことなんだけどな…)
前世、男だった記憶が蘇っていささか混乱気味だった。どうも女の子の用足しの要領がうまく掴めないのだ。
ゲームや漫画であるように、女体化したり女の子と入れ替わったりしたらこんな感じだろうか。
(女の子って大変だな。したいのにできない感じだ…。
このまま力を緩めればいいのかな?)
呼吸を落ち着かせて、ゆっくりと下腹部から力を抜いていくと、溜まっていた尿意が解放されて洋式便器の水を叩く。
「ふー…やっとおしっこできた…」
安堵感と幸福感に包まれる。
前世の記憶が戻って、心が男のままになってしまってからこんなのばかりだ。
昨日までふつうにしていたことのやり方をいちいち思い出したり、改めて要領をつかんだりしなければならない。
(しかし、自分のこととはいえ、女の子がおしっこしてるんだよな…)
黄色い飛沫が便器の水を叩いている音を意識し始めると、なんだか変な気分になりそうだった。
(いっそここでオナニーしちゃおうかな…)
そんなことを思うが、懐中時計を取り出してみると、授業開始まで時間がない。
もやもやしてしまうが、後にした方が良さそうだ。
「おっと、念入りに後始末しないと…」
つい男だったころの癖で、すぐに便器から腰を上げてパンツを戻しそうになる。
それではいけない。
女の子の用足しの後始末は丁寧にしないと、パンツが汚れてしまう。やがて、パンツに恥ずかしいシミ、要するにマン筋ができてしまうのだ。
便器は一応水洗便所だが、さすがに洗浄便座やビデなどという便利なものはこちらの世界にはない。
トイレットペーパーを巻き取り、滴がつかなくなるまで拭き取らなければならないのだ。
(おしっこする程度でこれじゃ、先が思いやられるな)
パトリシアはそう思わずにはいられなかった。
女の子は男に比べていろいろ大変だと、昨日までふつうの女の子だった自分自身の経験から知っている。
月のもの、便秘、冷え性…。
「考えるのはあとだ」
想像すると気が滅入りそうだった。
とにかくパンツを上げて、トイレの個室を出る。
前世の記憶が蘇り、婚約破棄された令嬢に転生した自覚を持った。しかも心は男のままだ。
ともあれ、日常生活はこれまでと同じようにこなさなければならない。
生きている以上腹も減れば眠くもなるのだ。
そして、衣食住を満たすためにはきちんと勉強して、いずれは働かなければならない。
それだけは確かだった。
ともあれ、語学の授業は退屈だった。
自慢じゃないが、成績はいい方だ。予習もちゃんとしているから、黒板に書いてあることは手に取るようにわかる。
加えて、語学の教師はまるで生きたレコーダーだ。
教科書に書いてあることを淡々と説明していくばかりで、授業を面白くしようという意思は全くない。
まあ、それが彼の仕事の仕方なのだろう。
(さて…どうするか…)
男の心を保ったまま婚約破棄された令嬢に転生した。どうせなら、女の子を籠絡して百合百合しようと決めたのはいいが、具体的にどうするかだった。
(まあ、どうすればいいかはだいたいわかるが)
都合のいいことに、前世の記憶を取り戻す前はふつうの女の子だったから、女の子の感性はある程度自分のこととしてわかる。
これは貴重なことだった。
転生した自覚でもない限りは経験できないことだろう。
男のみでは決して女の感性など持ちようがないわけだから。
パトリシアは女の子の感性について、彼女なりに整理してみる。
転生してから今まで、前世で男であったことに無自覚なまま過ごしてきた記憶。
そして、女の友人知人と交わしてきた言葉。それを分析にかけてみたのだ。
かみ砕いて言えば、女の子とは複雑なようで単純だ。
まあ、男の視点から分析した結果だが。
思いの外警戒心は強いが、一度気を許したもの、あるいは、もともと近しかったものにはかなり無防備だ。
(問題は恋愛に関してだけど)
女の子は男という生き物に対してはそれなりに警戒心が強い。
まあ、生来のビッチやヤリマンというのもいるのだろうが、少なくともパトリシアや周辺の女の子たちはそうではない。
ナンパされて誰ともわからない男にホイホイついていくほど軽くはない。
また男に対しては、友人知人では良くとも、恋人、伴侶になるとなればとたんに門は狭くなる。
まあ当然の話だ。
前世の記憶が蘇ってわかったことだが、女という生き物は根っこのところでリアリストだ。
いい加減な男、経済力のない男、働く気のない男とくっついて苦労するのは誰しも避けたいだろう。
だが一方で、一度心と体を許した男とは簡単には離れられないものらしい。
前世、何かで読んだことがある。
(女は処女を捧げた男を愛するようになる。そして、執着するようになる…か)
それはある意味で女の悲しい防衛本能だ。
自分の純潔を捧げた男を愛することで、自分を肯定しようとする。
それによって、その男に初めてを捧げたことは間違いではなかったと思い込むのだ。
(まあ、それが原因でDVやら不倫の泥沼化やらが起きるというわけだ)
自分の中で思考を巡らせているだけなのに、パトリシアはげんなりとしてしまう。
DVがなかなか刑事事件にならず、最悪の場合殺人にまで発展する理由の一つに、暴力を振るう男に対して女が恐怖すると同時に精神的に依存していることが多い。
と前世ネットで見たことがある。
どんなろくでなしのDV男だろうと、別れることはその男を選んだ自分を否定することになる。それが怖くてなかなか別れを切り出すことも助けを求めることもできないのだ。
不倫に関しても同じ。
まかり間違って、妻子持ちの男に処女を捧げようものなら、火曜サスペンス劇場を地で行く展開は不可避だろう。
たとえ男の家庭を壊すことになろうと、初めての男を諦めるのは容易ではないはずだ。
まあ、妻子がありながら他の女を抱く男が一番悪いのだが。
(まとめると、門は狭いが、一度深い関係になってしまうと心までも惚れ込んでしまう。時に依存と呼べる次元で)
パトリシアは思考をそう締めくくる。
(さて、女の子の男に対する感性の分析はここまで。
次は女の子の女の子に対する感性だな)
パトリシアは頭を切り換える。
まわりを見回してみても、友だちを越えたレベルで仲のいい女の子はちらほら散見される。
これも前世でなにかで読んだ知識だが、恋愛感情には成長段階があるという。
おおざっぱにまとめると、まず幼少期は親に対して家族愛とともに恋愛感情の前段階と言える感情を持つ。
一般に女の子は父親を見て男性のイメージを形成するという。
第二段階として、思春期の前半は同性愛と言っていい感情を持つ。まあ、本人たちはそれを恋愛感情とは思わないだろうが。
言わば、まずは同性に対して好意を抱くことで、恋愛の練習をする。他者との距離感やつき合い形を身につけるのだ。パトリシア自身、10代になる前は女の子とばかり遊んでいたのを思い出す。
第三段階として、ようやく異性を恋愛対象として意識し始めるのだ。
これがけっこう難しい。恋心を抱いても怖くて言い出せなかったり、望みが高すぎて恋愛対象が見つけられなかったりする方が多いのだから。
(まあそれは置いておいてだ…)
パトリシアは分析する。
自分の見える範囲にも、同性カップルと言っていい女の子がいるのを見ても、女の子はみんなどこかで百合願望を秘めている可能性が高い。
ただ、自分でしてみる気にまではなれなかったり、みんなからレズだと思われるのが恥ずかしいだけだ。
(なら、その鍵を開けて枷を外してさし上げればいい)
パトリシアは分析する。
きっかけは色々あるだろうが、それはおっつけ探していけばいい。
(とりあえずは…)
パトリシアは左隣の席のメリーアン・ハインリヒを見やる。
見事な金髪碧眼に、やや童顔だが整った顔立ち。
ターゲットにしない手はない。
(まずは観察と分析ね。
そこ、ストーキングとか言わない)
誰ともなく心の中で突っ込んで、パトリシアはメリーアン攻略に向けて計画を練るのだった。
学院の女子トイレの中。
パトリシアはとまどっていた。
(昨日までふつうにしてたことなんだけどな…)
前世、男だった記憶が蘇っていささか混乱気味だった。どうも女の子の用足しの要領がうまく掴めないのだ。
ゲームや漫画であるように、女体化したり女の子と入れ替わったりしたらこんな感じだろうか。
(女の子って大変だな。したいのにできない感じだ…。
このまま力を緩めればいいのかな?)
呼吸を落ち着かせて、ゆっくりと下腹部から力を抜いていくと、溜まっていた尿意が解放されて洋式便器の水を叩く。
「ふー…やっとおしっこできた…」
安堵感と幸福感に包まれる。
前世の記憶が戻って、心が男のままになってしまってからこんなのばかりだ。
昨日までふつうにしていたことのやり方をいちいち思い出したり、改めて要領をつかんだりしなければならない。
(しかし、自分のこととはいえ、女の子がおしっこしてるんだよな…)
黄色い飛沫が便器の水を叩いている音を意識し始めると、なんだか変な気分になりそうだった。
(いっそここでオナニーしちゃおうかな…)
そんなことを思うが、懐中時計を取り出してみると、授業開始まで時間がない。
もやもやしてしまうが、後にした方が良さそうだ。
「おっと、念入りに後始末しないと…」
つい男だったころの癖で、すぐに便器から腰を上げてパンツを戻しそうになる。
それではいけない。
女の子の用足しの後始末は丁寧にしないと、パンツが汚れてしまう。やがて、パンツに恥ずかしいシミ、要するにマン筋ができてしまうのだ。
便器は一応水洗便所だが、さすがに洗浄便座やビデなどという便利なものはこちらの世界にはない。
トイレットペーパーを巻き取り、滴がつかなくなるまで拭き取らなければならないのだ。
(おしっこする程度でこれじゃ、先が思いやられるな)
パトリシアはそう思わずにはいられなかった。
女の子は男に比べていろいろ大変だと、昨日までふつうの女の子だった自分自身の経験から知っている。
月のもの、便秘、冷え性…。
「考えるのはあとだ」
想像すると気が滅入りそうだった。
とにかくパンツを上げて、トイレの個室を出る。
前世の記憶が蘇り、婚約破棄された令嬢に転生した自覚を持った。しかも心は男のままだ。
ともあれ、日常生活はこれまでと同じようにこなさなければならない。
生きている以上腹も減れば眠くもなるのだ。
そして、衣食住を満たすためにはきちんと勉強して、いずれは働かなければならない。
それだけは確かだった。
ともあれ、語学の授業は退屈だった。
自慢じゃないが、成績はいい方だ。予習もちゃんとしているから、黒板に書いてあることは手に取るようにわかる。
加えて、語学の教師はまるで生きたレコーダーだ。
教科書に書いてあることを淡々と説明していくばかりで、授業を面白くしようという意思は全くない。
まあ、それが彼の仕事の仕方なのだろう。
(さて…どうするか…)
男の心を保ったまま婚約破棄された令嬢に転生した。どうせなら、女の子を籠絡して百合百合しようと決めたのはいいが、具体的にどうするかだった。
(まあ、どうすればいいかはだいたいわかるが)
都合のいいことに、前世の記憶を取り戻す前はふつうの女の子だったから、女の子の感性はある程度自分のこととしてわかる。
これは貴重なことだった。
転生した自覚でもない限りは経験できないことだろう。
男のみでは決して女の感性など持ちようがないわけだから。
パトリシアは女の子の感性について、彼女なりに整理してみる。
転生してから今まで、前世で男であったことに無自覚なまま過ごしてきた記憶。
そして、女の友人知人と交わしてきた言葉。それを分析にかけてみたのだ。
かみ砕いて言えば、女の子とは複雑なようで単純だ。
まあ、男の視点から分析した結果だが。
思いの外警戒心は強いが、一度気を許したもの、あるいは、もともと近しかったものにはかなり無防備だ。
(問題は恋愛に関してだけど)
女の子は男という生き物に対してはそれなりに警戒心が強い。
まあ、生来のビッチやヤリマンというのもいるのだろうが、少なくともパトリシアや周辺の女の子たちはそうではない。
ナンパされて誰ともわからない男にホイホイついていくほど軽くはない。
また男に対しては、友人知人では良くとも、恋人、伴侶になるとなればとたんに門は狭くなる。
まあ当然の話だ。
前世の記憶が蘇ってわかったことだが、女という生き物は根っこのところでリアリストだ。
いい加減な男、経済力のない男、働く気のない男とくっついて苦労するのは誰しも避けたいだろう。
だが一方で、一度心と体を許した男とは簡単には離れられないものらしい。
前世、何かで読んだことがある。
(女は処女を捧げた男を愛するようになる。そして、執着するようになる…か)
それはある意味で女の悲しい防衛本能だ。
自分の純潔を捧げた男を愛することで、自分を肯定しようとする。
それによって、その男に初めてを捧げたことは間違いではなかったと思い込むのだ。
(まあ、それが原因でDVやら不倫の泥沼化やらが起きるというわけだ)
自分の中で思考を巡らせているだけなのに、パトリシアはげんなりとしてしまう。
DVがなかなか刑事事件にならず、最悪の場合殺人にまで発展する理由の一つに、暴力を振るう男に対して女が恐怖すると同時に精神的に依存していることが多い。
と前世ネットで見たことがある。
どんなろくでなしのDV男だろうと、別れることはその男を選んだ自分を否定することになる。それが怖くてなかなか別れを切り出すことも助けを求めることもできないのだ。
不倫に関しても同じ。
まかり間違って、妻子持ちの男に処女を捧げようものなら、火曜サスペンス劇場を地で行く展開は不可避だろう。
たとえ男の家庭を壊すことになろうと、初めての男を諦めるのは容易ではないはずだ。
まあ、妻子がありながら他の女を抱く男が一番悪いのだが。
(まとめると、門は狭いが、一度深い関係になってしまうと心までも惚れ込んでしまう。時に依存と呼べる次元で)
パトリシアは思考をそう締めくくる。
(さて、女の子の男に対する感性の分析はここまで。
次は女の子の女の子に対する感性だな)
パトリシアは頭を切り換える。
まわりを見回してみても、友だちを越えたレベルで仲のいい女の子はちらほら散見される。
これも前世でなにかで読んだ知識だが、恋愛感情には成長段階があるという。
おおざっぱにまとめると、まず幼少期は親に対して家族愛とともに恋愛感情の前段階と言える感情を持つ。
一般に女の子は父親を見て男性のイメージを形成するという。
第二段階として、思春期の前半は同性愛と言っていい感情を持つ。まあ、本人たちはそれを恋愛感情とは思わないだろうが。
言わば、まずは同性に対して好意を抱くことで、恋愛の練習をする。他者との距離感やつき合い形を身につけるのだ。パトリシア自身、10代になる前は女の子とばかり遊んでいたのを思い出す。
第三段階として、ようやく異性を恋愛対象として意識し始めるのだ。
これがけっこう難しい。恋心を抱いても怖くて言い出せなかったり、望みが高すぎて恋愛対象が見つけられなかったりする方が多いのだから。
(まあそれは置いておいてだ…)
パトリシアは分析する。
自分の見える範囲にも、同性カップルと言っていい女の子がいるのを見ても、女の子はみんなどこかで百合願望を秘めている可能性が高い。
ただ、自分でしてみる気にまではなれなかったり、みんなからレズだと思われるのが恥ずかしいだけだ。
(なら、その鍵を開けて枷を外してさし上げればいい)
パトリシアは分析する。
きっかけは色々あるだろうが、それはおっつけ探していけばいい。
(とりあえずは…)
パトリシアは左隣の席のメリーアン・ハインリヒを見やる。
見事な金髪碧眼に、やや童顔だが整った顔立ち。
ターゲットにしない手はない。
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