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第一章 ゲイホストが異世界に飛ばされたので
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「里実。聞いての通りだ。お前さんは明日からペントハウスに入ってもらう。おめでとう。高級男妾の仲間入りだ」
支配人が冷静に言う。決定事項だと言外ににじませて。
「はい。光栄です。今まで以上に頑張ります」
里実は笑顔で背筋を伸ばし、一礼する。せっかくの栄誉だ。ありがたく頂戴しておこう。確かに自分はこの店では新入りだ。だが、元の世界でゲイホストとして常に指名数2位を確保してきた実績だってあるのだ。
「辞退する気遣いもなしかよ……」
絹のような褐色肌が美しい男妾が聞こえよがしに言う。
「なんならどっちが上か、ベッドの上で決めます?僕は大歓迎ですよ。みなさんのこと好きですし」
褐色肌の男に顔を寄せ、ほおを撫でながら不敵な表情で挑発してやる。男妾たちが顔を見合わせる。審議中。審議中。審議中。すぐに結論は出た。
「やめとくよ。どっかの誰かさんみてえに、身体でたぶらかされちゃかなわねえ」
リーダー格の赤毛がため息交じりに言う。支配人に嫌みな視線を向けながら。ジェンダーレスな青年はむっとするが、反論を呑込む。ここで情実人事ではないと怒っても、何も始まらない。
「わかったわかった。支配人の決めたことだ。文句言うのはやめ。おめでとう里実。ペントハウスは快適だぜ。明日からお隣同士、よろしくな。お前らもそれでいいな」
赤毛の言葉に、他の男たちも渋々同意する。納得したわけではない。これ以上揉めても仕方ないと諦めただけだ。
「忠告しといてやる。お前にはホモとして決定的に欠けてるものがある。それに気づかない限り、いつまでもやってることはだだのオナニーだ」
赤毛がすれ違いざまに言う。
(決定的に欠けてるもの……?)
頭を叩かれた気分になる。言い返すことができず、男妾たちがその場を辞するのを呆然と見送る。あちらの世界で万年2位だった記憶が蘇る。1位になれたやつらにあって自分になかったもの。それがない限り決してトップに立てないもの。それを言い当てられたのだ。
(どうすれば……見つかる……?)
いくら自問しても答えは出ない。里実はとても、ペントハウス入りできたことを喜べる状態ではなかった。
…………………………………………………………………
ペントハウスの高級男妾に就任してから数日後。
「実は貴君に、折り入ってお願いしたいことがあるのだ」
事後のベッドの上。本日最後の客である40がらみの貴族が切り出す。彼はジェームス・オーガスタ侯爵。この国の王族とも縁戚にある、由緒正しい上級貴族だ。
「王子殿下の男色指南役……ですか……?」
余りの大役に、一瞬言われた意味がわからなかった。
王国第一王子のアレクサンドルが、高貴な者の嗜みであるホモに興味を示さなくて困っている。ホモセックスを教授して、男同士の悦びを教えて差し上げて欲しいのだという。
「しかし、私は男妾街の人間です。王子様を教え導くのは不相応かと……」
「いえいえ。性の教育係に求められるのは、人格と性技なのだよ」
侯爵は語り始める。
自分の家の若い使用人見習が、最近ホモとして成長著しい。初めて抱いたときはつたなさにがっかりした。なのに、ここに通い始めてから信じられないほど心地いい手管を身につけた。彼の尻の穴は出す以外に入れる場所に変わった。肉茎は、目に見えて以前より大きくなっている。一昨日などは、ついにバックから挿入されてトコロテン射精をさせられてしまった。なぜこれほど素晴らしくなったのかとたずねたところ、男妾館のある男の指導のおかげだと打ち明けた。
手管は今夜、己の身体を持って確かめた。王子の指南は他にいないと確信したという。
熱心な押しと多額の報酬に、里実は依頼を受けてしまうのだった。他の男妾たちからさらにやっかまれたのは言うまでもない。
支配人が冷静に言う。決定事項だと言外ににじませて。
「はい。光栄です。今まで以上に頑張ります」
里実は笑顔で背筋を伸ばし、一礼する。せっかくの栄誉だ。ありがたく頂戴しておこう。確かに自分はこの店では新入りだ。だが、元の世界でゲイホストとして常に指名数2位を確保してきた実績だってあるのだ。
「辞退する気遣いもなしかよ……」
絹のような褐色肌が美しい男妾が聞こえよがしに言う。
「なんならどっちが上か、ベッドの上で決めます?僕は大歓迎ですよ。みなさんのこと好きですし」
褐色肌の男に顔を寄せ、ほおを撫でながら不敵な表情で挑発してやる。男妾たちが顔を見合わせる。審議中。審議中。審議中。すぐに結論は出た。
「やめとくよ。どっかの誰かさんみてえに、身体でたぶらかされちゃかなわねえ」
リーダー格の赤毛がため息交じりに言う。支配人に嫌みな視線を向けながら。ジェンダーレスな青年はむっとするが、反論を呑込む。ここで情実人事ではないと怒っても、何も始まらない。
「わかったわかった。支配人の決めたことだ。文句言うのはやめ。おめでとう里実。ペントハウスは快適だぜ。明日からお隣同士、よろしくな。お前らもそれでいいな」
赤毛の言葉に、他の男たちも渋々同意する。納得したわけではない。これ以上揉めても仕方ないと諦めただけだ。
「忠告しといてやる。お前にはホモとして決定的に欠けてるものがある。それに気づかない限り、いつまでもやってることはだだのオナニーだ」
赤毛がすれ違いざまに言う。
(決定的に欠けてるもの……?)
頭を叩かれた気分になる。言い返すことができず、男妾たちがその場を辞するのを呆然と見送る。あちらの世界で万年2位だった記憶が蘇る。1位になれたやつらにあって自分になかったもの。それがない限り決してトップに立てないもの。それを言い当てられたのだ。
(どうすれば……見つかる……?)
いくら自問しても答えは出ない。里実はとても、ペントハウス入りできたことを喜べる状態ではなかった。
…………………………………………………………………
ペントハウスの高級男妾に就任してから数日後。
「実は貴君に、折り入ってお願いしたいことがあるのだ」
事後のベッドの上。本日最後の客である40がらみの貴族が切り出す。彼はジェームス・オーガスタ侯爵。この国の王族とも縁戚にある、由緒正しい上級貴族だ。
「王子殿下の男色指南役……ですか……?」
余りの大役に、一瞬言われた意味がわからなかった。
王国第一王子のアレクサンドルが、高貴な者の嗜みであるホモに興味を示さなくて困っている。ホモセックスを教授して、男同士の悦びを教えて差し上げて欲しいのだという。
「しかし、私は男妾街の人間です。王子様を教え導くのは不相応かと……」
「いえいえ。性の教育係に求められるのは、人格と性技なのだよ」
侯爵は語り始める。
自分の家の若い使用人見習が、最近ホモとして成長著しい。初めて抱いたときはつたなさにがっかりした。なのに、ここに通い始めてから信じられないほど心地いい手管を身につけた。彼の尻の穴は出す以外に入れる場所に変わった。肉茎は、目に見えて以前より大きくなっている。一昨日などは、ついにバックから挿入されてトコロテン射精をさせられてしまった。なぜこれほど素晴らしくなったのかとたずねたところ、男妾館のある男の指導のおかげだと打ち明けた。
手管は今夜、己の身体を持って確かめた。王子の指南は他にいないと確信したという。
熱心な押しと多額の報酬に、里実は依頼を受けてしまうのだった。他の男妾たちからさらにやっかまれたのは言うまでもない。
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