シたい彼女と寝てたい彼女

とちのとき

文字の大きさ
37 / 41
♡♀ 最終章 シたい彼女と寝てたい彼女 ♀♡

最終話

しおりを挟む
 その存在から発せられる威圧感に押され、エルテはシホの体により強く抱き着く。怯える彼女をかばうようにシホはその者に話しかける。
 「神に仕える者?という事は、あなたは大天使?」
 「人の子はそう呼ぶ」
 「私達に何の用?」
 「名を伏せし者の一部を滅ぼした新たな神、死神の誕生は看過できない。よって推量のため降臨した。その答えによっては汝を抹消しなければならない」
 「大天使様っていうのは随分物騒なのね」
 「汝に問う。その力、如何様に使うつもりか?」
 「どうもこうも、私達はただ静かに暮らしたいだけ。それにあの邪神、倒せなかったから封印したんでしょ?今の私も倒せないんじゃない?また封印でもする?」
 「如何にも。無用な争いは望まぬ。して、若き死神よ。ならば、その力を以って名を伏せし者の完全抹消を託したい」
 「世界各地に散らばってる邪神を討伐しろって事⁉・・・・んー、気が向いたらでいいかな?何て言うか、今は一刻も早く落ち着ける場所で二人きりになりたいというか」
 「・・・・。混沌の種は既に撒かれているという事だけ伝えておく」
 それだけ言うと大天使は天高く去って行った。シホは少し不満げに口を尖らせる。
 「だったら傍観してないで手伝うくらいしたらいいのに。まったく」
 「シホ、神様にまで目つけられて大丈夫?」
 「別に悪い事しようって訳でもないし、邪神の件も急ぎじゃないみたいだし、大丈夫でしょ。とりあえず帰ろっか」
 再び馬を走らせると、エルテの母の待つミジール村への帰路へと就く。


 長旅を終え、日暮れ近くにエルテの家に戻ると彼女の母が出迎える。
 「おかえり。どうだった?シホちゃん」
 「やっぱりだめでした。親友以外はうちの両親も、村の人達も・・・・」
 「そうかい。なら、ここでの居場所は何が何でも守ってやらないとね」
 「ありがとうございます、お義母さん」

 三人で団欒とした夕餉を済ませると、夜が更けていく。
 エルテの部屋で二人きりになると、寝間着姿のシホはベッドの端に腰かけ分かりやすくモジモジしていた。その隣で横になるエルテに話しかける。
 「ねぇエルテ?そろそろ・・・・」
 「私寝るから」
 「そんなぁ、エルテぇ・・・・」
 「好きにしていいって事」
 「・・・・エルテ!」

◆「そうして私達は結ばれた。」と言えば聞こえがいい。
 そう、激しめにイチャついて、甘い言葉も沢山交わしたって事。ずっと触れたいと思っていたエルテの素肌と匂い、そして切ない表情にもう夢中だった。
 気付けば空が赤く染まり始めていた。窓から差し込むその朝の光は、裸で抱き合う私達を祝福している様だった。

 エルテは悪戯っぽくシホの目を見ながら囁く。
 「メリランダと違った?」
 「もう、そんな事言わないでよ。エルテこそどうだったの?その・・・・、男の人と違う?」
 「違う、全然」
 シホの眉尻が下がり目が泳ぐ。
 「もしかして、無理して合わせてくれてた?」
 「それも違う。シホはね、沢山満たしてくれた」
 それを聞きパァっと明るい顔に戻るシホ。
 「私もだよ。いっぱい満たされた」
 二人は再び優しく唇を重ねると、ふとシホは縫い糸が残るはずの首を確かめる様に撫でた。

◆あれ?首の糸が・・・・。そっか、頭以外が再生したから無くなっちゃったのか。メリランダまた泣いてないかな?


 熱い夜を二人が過ごしていた頃、大カタコンベの最下層でメリランダは服を脱ぎ捨て、美少女アンデッド達と戯れていた。
 「むほぉぉぉ!やはりシホさんはスケベな子ですねぇ!普段はあんなエルテさんを、あんな表情にしてしまうとは。イケナイと思いながらも覗いてしまいましたが、やはりこの能力は最っ高ぅですぅ!」


 満たされ目を閉じるエルテの横でシホは思っていた。

◆メリランダのあの魔物を把握する能力って、絶対見えてるよね?いや、やっぱり泣いているはずがない。それどころか・・・・。
 友達の初夜を覗くなんて最低と言いたいとこだけど。ま、ささやかな恩返しという事で黙っててあげるか・・・・。

 朝日が昇りきるとシホは服を着て部屋を出た。すると朝早くからエルテの母がどこかに行く準備をしている。
 「おはようございます。どこか行くんですか?」
 「おはよう。村にある空き家が使えないか交渉しに行くんだよ」
 「空き家ですか?またどうして?」
 「新婚さんには家が必要だろう?情熱的なシホちゃんでも気兼ねなく暮らせるようにさ。ふふっ」

◆早々にやらかした!夜の営みが聞こえてた⁉これは死ぬほど恥ずかしい。

 「健全なこった。それじゃあちょっと留守を頼むよ」
 「は、はい、いってらっしゃい・・・・」

 シホは部屋に戻るとエルテの寝顔を見ながら彼女の髪を撫でた。窓の外では鳥たちが自由に空を舞っていた。





 魔物や化け物。理解する事を諦めた人々は彼女達の様な存在をそう呼ぶだろう。それでも彼らや彼女達は生きている。
 人間の皮を被った魔物もいる。一方で仕方なく魔物と呼ばれる存在の皮を被る事になった人間もいる。




 これは死ぬほど誰かを好きになった少女の物語。自分らしく生きる事を諦めなかった少女達の物語。彼女達が末永く幸せに暮らす村が今でもあるのだとか・・・・。



 ・・・・・え?邪神討伐?彼女達ならやり遂げるでしょう。世界だって救えるはずです。だって、自分を愛し、誰かを愛せる人は、強いですから。






      『シたい彼女と寝てたい彼女』おしまい・・・・・?
       エクストラストーリーもあるよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

台風のよる、君ひそやかに、魔女高らかに

にしのくみすた
ファンタジー
【空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!】 台風の夜、魔女はホウキで空を翔け――嵐と戦う! この街で台風と戦うのは、ホウキで飛ぶ魔女の仕事だ。 空を飛ぶ魔女に憧れながらも、魔法が使えない体質のため夢を諦めたモチコ。 台風の夜、嵐に襲われて絶体絶命のピンチに陥ったモチコを救ったのは、 誰よりも速く夜空を飛ぶ“疾風迅雷の魔女”ミライアだった。 ひょんな事からミライアの相方として飛ぶことになったモチコは、 先輩のミライアとともに何度も台風へ挑み、だんだんと成長していく。 ふたりの距離が少しずつ近づいていくなか、 ミライアがあやしい『実験』をしようと言い出して……? 史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べない地味メガネの後輩。 ふたりは夜空に浮かんだホウキの上で、今夜も秘密の『実験』を続けていく――。 空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...