シたい彼女と寝てたい彼女

とちのとき

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エクストラストーリーズ 全四話

Ex1 ノドガロス王国前王 ノマーク・ルーベンサリオ

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 ノドガロス王国の城のとある部屋。豪華な家具の引き出しの中に、一冊の古びた日記帳が残る。



 あの侍女と子を儲けてから、側近たちによる私への抑圧がより強くなった。
 血筋というものがそんなに重要だろうか。
 最近はこの絢爛豪華な部屋の窓枠も、いつにも増してただの堅牢な檻に見える。
 おそらく生まれてくる子は、私の様な調教動物にはならないで済むだろう。しかし、私が側近達の望む王に成れば成るほど、あの侍女と子供には不憫な生活をさせるに違いない。


 子供が生まれた事は聞いていた。まだ一度も顔は見たことは無い。
 しかしながら、会いたいという気持ちも起きない。それほど私の自我というものが他者に染められているのだろうか。


 公務に追われながら、私は周囲が望む形の家族を作る事を決意する。
 そこにあの子だと思われる子供が駆け寄ってきた。決意は過去への拒絶と言う形をとったらしい。
 部屋の端へ転がっていく幼い子供を見て、初めて知った。女の子だった。私の初めての子は娘であった。
 横たわる娘を見ても何とも感じなくなった自分が心底怖くなった。あのような幼子を蹴り飛ばすとはなんと恐ろしい。


 正式な世継ぎに男の子が生まれた。この子は間違いなく、私以上に檻の中で過ごしていくのだろう。
 我が子が祝福される中、私に不治の病が見つかった。


 弱っていく私に一つの指環が届けられた。今更こんなもので軍事力を持ってどうするのか。功績なんてものに今更興味は湧かない。私は私としての道を歩めなかったのだから。


 とうとう寝床で動けなくなった。これが書けるのも最後だろう。
 世話をしてくれる侍女に、あの侍女がどうなったか聞いたが、その後の事は分からなかった。口止めもあるのだろう。
 無理を言って一つだけ質問に答えてほしいと頼んだ。
 娘の名。エルテ。エルテと言うらしい。
 この地方の古い言葉で自由という意味だったと思う。
 最後にもう一つ頼みごとをした。父の代から生きている鳥籠の中の鳥を外に放ってほしいと。
 彼女は言うとおりにしてくれた。窓からの景色が美しいと感じたのは生まれて初めてだった。
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