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初めての世界
おかしい。
しおりを挟む「ふぁ・・・」
目が覚めた。
「家出したんだった・・・。」
だいぶ熟睡したため、状況の把握に時間がかかった。しかしすぐに思い出した僕は、土管の中から出ようとした。
「んしょ・・・。」
・・・!?
おかしい。僕はおそらく隣町の公園にいたはずなのに。公園でも何でもない、何なんだここは。
あたりに見えるのは森?なのかわからないけれど、木が沢山生えていた。それも妙に綺麗な。少し水が流れているところもあった。
「どういう、こと・・・?」
よくわからないどころの騒ぎではない。夢?そう思うことしか出来ないが、夢にしてはリアルすぎる。
ピーチク、シャアシャア、チョロロロ、フォロロ。
ピーチク、シャアシャア、チョロロロ、フォロロ。
いくつかの音が僕の周りを回る。鳥のような生物の鳴き声。
「ま、まってよ・・・。」
途方に暮れるどころの話ではない。なぜこんなところにいるのかがわからない。
「・・・だ、誰か、誰がいませんか?」
人の気配はしない。
「誰か!だれかいませんかーっ!」
精一杯叫んでみる。すると。
「フォロフォロ、なんじゃぁきさまぁ。」
「・・・へ?」
なにかが現れたと思ったら人間ではないじゃないじゃないか!それは人間と同じ体格だがまるでクマのような動物だ。それが言葉を喋った。
「もしやおまぇさん、われわれのてきか!」
「ち、ちちちちがいますっ、ちが、ちがうっ。」
僕は完全にパニクってしまった。
「ああああ、わかったわ、わかった。わしにはわかってしまったぁよ。」
殺されるのか?死ぬのか?いきなり?家出した時ある程度の覚悟はあったがこれは想定外すぎる。なぜ?
「ルルア様のところへ、いきたくはぁないかぁ?」
「ぼっ、僕はて、敵じゃありませんっ。」
「フォロ・・・、わしはフォロ。ほれぼうず、ついてこいといいとるのじゃ。」
「・・・は、はい。僕は優人です。」
素直にいうことを聞くことしか、今の僕の選択肢にはなさそうだ。
「フォロ?おまえさんすなおじゃなぁ、ルルア様もよろこぶことだろう」
「あ、はは・・・。」
これは夢だ。それしかない。
★*゚
「ルルア様ぁー、人間様がまいりぃましたぁ!」
小さな、木で出来た小屋の中にフォロは声をかける。すると、
「あ!フォロ!おかーえりっ!ルルアは、フォロが帰ってくると嬉しいわ。あ、そうだ、人間がまた迷い込んできたんだってね?どこにいるの?」
「ここでぇございまぁす。」
「あ、ど、どーも。青山優人です。」
小屋から出てきたのは人間だった。それも小学1年生ほどの女の子だ。僕は軽く挨拶をする。すると、
「私はルルアってふ、フォロ!お、男の子じゃない!それに服を着てないわ!どうしましょ!あ、あの、すみません!み、見てないですっ!」
「・・・へ?何言ってるの?僕は服きてるじゃん?」
自分の体をよく見てみる。すると・・・、服を着ていた。何を言っているのだろうか、この女の子は。
「ち、ちがうっ!そ、それ服じゃないよ。あっ、あなたの世界ではそれは服だけどここじゃダメ!全然ダメ!はしたない!フォロ!服を持ってきてちょうだい!」
「かしこまりましたぁ。」
スっと、フォロが消えた。と思ったら僕の背後にいて、フォロロロと、にっこり笑うと・・・。
綺麗な光が僕の全身を包み込んだ。そしてその光は、冒険服へと化した。
「わぁ、カッコイイ・・・!」
思わず声に出してしまうようなほど、僕の体にあっていた。
「もお、それくらいの常識は身につけ目置いて欲しいのよ。」
「あ、はい。」
「お、男の子ってす、素直なのねっ。つ、ついてきて。わからないことがあるでしょ?」
「え、教えてくれるんですか?」
「教えてあげるのが、私の仕事なの。」
「は、はい!ありがとうございます。」
そうはいうものの、一つ疑問があった。それは、この小さな小さな木の家に、一体人が入れるのかということだ。と思った矢先だった。家が大きくなったのだ。
「わ、大きくなった!すご!」
「こ、これくらいあたり前だよ!」
「あ、はい。」
それじゃあついてきなさい、とルルアは言った。
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