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トーリ達の過去
両親
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私の名前は、幸村 鶫(ゆきむらつぐみ)。中学校ではコミュ障、といじめられ、家に帰っても無視される。なぜなら頭が悪いから。姉の鶴(つる)に比べて、というか比べ物にならないくらい頭が悪い。
「あんた、なんでテストで100点取れないの?ほんとに私の妹なの?嫌なんだけど。」
「・・・仕方ないじゃん。」
「口答えすんな、クズが。」
そして、母もいう。
「鶫には甘えさせちゃったのよ、私たち親が。だから仕方ないの。もうこの子はどうにもならない。だから、さ、もう死んでいいのよ。」
いつものようにそう言って、私を蹴る。運動神経もない。痛くても、何も出来ない。
「うう、うぅ。」
うめき声だけあげ、私は家を出た。
★*゚
「お兄ちゃん、大好き。僕は将来お兄ちゃんと結婚する!」
「あはは、水鶏(くいな)、女の子なんだから私っていいなよ。」
髪型まで僕と同じにしちゃって。可愛いな、水鶏は。
「やだ!お兄ちゃんは僕って言ってるじゃん!」
「あはは、それに兄弟同士結婚はできないよ、でもね、きっと水鶏にも好きな人ができると思う。」
「・・・うーん、僕お兄ちゃんに好きな人できたらやっつけるから。」
「はは、ばーか。」
ぺしっ。頭を叩く。
「なんだよ、叩くな!」
ーーー僕は、目を開ける。
「・・・」
そこには、母、父、そして水鶏が、燃やされていた。残ったのは、骨だけだ。
「・・・」
「夜鷹(よたか)くんは大変ねぇ、まだ中学生なのに、家族がみーんないなくなっちゃって。」
親戚のおばさんの、無神経な声が聞こえる。
「・・・」
「声がでかいよ母さん。」
「あら、気を付けるわ。それにしてもみーんな強盗に殺されちゃうなんて。ほーんと気の毒に。」
「母さん!いい加減にしろよ。」
「・・・僕は大丈夫だよ、ゆき兄ちゃん。」
「夜鷹・・・」
「帰るね。」
「え、お前、帰るってどこに?」
「家に決まってるじゃん?どうしたの、ゆき兄ちゃん。」
「ま」
僕は全力で走って逃げた。何も考えずにただ走り続けた。
★*゚
疲れてきた頃、あたりは暗くなっていた。そんな時、見覚えのある子が目の前を通りずきた。
「あ、おい。」
反射的に話しかける。
「?」
彼女は振り向いた。
「君、同じクラスの幸村鶫ちゃん、だよね?」
「あ、う、うん。」
「僕知ってる?」
「えと、お、おなじくらす、の、ふじやま、よたか、くん。」
いつも通り、話し方がおかしい。
「こんな遅くに、どうしたの?」
てか僕、なんでこんな平常心で話してられるんだ。こんないじめられっ子と。
「かんけ、い、ないでしょ・・・」
なんなんだよ、大切な人が死んだ後に。こんなことがあるのか?
「関係あるよ。」
「へ?」
「好きだよ鶫、お前のことが。」
「・・・、夜鷹くん、なんで・・・。」
「覚えてないの?小一の初め、独りぼっちだった僕に話しかけてくれたのは鶫だったのにな。知ってるか?夜鷹って鳥の名前なんだぞ。そして、鶫も。あの時、運命だって思ったよ。」
「・・・」
「でもそれからだんだん元気なくなって、鶫は普通に喋ることすらできなくなって、気持ち悪がられていじめられてて。どんどん遠い存在になっちゃった。」
「夜鷹くん、じゃあ何で今、私に告白したの?」
「あれ?喋れるようになってる・・・。」
「いいから教えて。」
「僕、死ぬから。こんなこと言うもんじゃないよね、巻き込んでごめん、やっぱ全部、忘れてよ。」
「やだ。だって・・・、私も、私も自殺しようとしてたところだからね。」
「まじ、かよ・・・。」
「夜鷹くん、クラスでも人気あるのに、なんて私なんか・・・。」
「さっき言ったじゃん。」
「まだ信じられなくて・・・。」
「ねぇ、一緒に暮らさない?」
「へ!?!?」
「好きだから。多分今、お前より大切な人いないし。」
「私のことそんなふうに思ってくれてるの、夜鷹くんだけだし。」
鶫はすぐに返事を出してくれた。
★*゚
「とりあえず寝ようよ。」
「そうだね。」
私と夜鷹くんは、付き合うことになった。
「でも、どこで?」
「あ、僕いいとこ知ってる。桐山公園の、土管の中なら寝れると思う。」
「じゃあ、行こっか。」
そして私たちは異世界に来てしまった。
★*゚
「グミ、お腹大きくなってるな。」
「タカ、大好き。死ななくてよかった。」
「おま、いつの話してんだよ。」
「愛してるよ、タカ・・・。」
「泣くなよ。俺もだよ、グミ。ところでこの子の名前どうする?男の子だってよ。俺的には夜助とか、夜真とかどお?」
「えー、私的には晴男とか、幸男とか?」
「お、おう・・・。お前決めていいぞ・・・。」
「ほんと!?じゃあ・・・」
鳥男(とりお)。
トーリのお兄ちゃんの名前だ。
「あんた、なんでテストで100点取れないの?ほんとに私の妹なの?嫌なんだけど。」
「・・・仕方ないじゃん。」
「口答えすんな、クズが。」
そして、母もいう。
「鶫には甘えさせちゃったのよ、私たち親が。だから仕方ないの。もうこの子はどうにもならない。だから、さ、もう死んでいいのよ。」
いつものようにそう言って、私を蹴る。運動神経もない。痛くても、何も出来ない。
「うう、うぅ。」
うめき声だけあげ、私は家を出た。
★*゚
「お兄ちゃん、大好き。僕は将来お兄ちゃんと結婚する!」
「あはは、水鶏(くいな)、女の子なんだから私っていいなよ。」
髪型まで僕と同じにしちゃって。可愛いな、水鶏は。
「やだ!お兄ちゃんは僕って言ってるじゃん!」
「あはは、それに兄弟同士結婚はできないよ、でもね、きっと水鶏にも好きな人ができると思う。」
「・・・うーん、僕お兄ちゃんに好きな人できたらやっつけるから。」
「はは、ばーか。」
ぺしっ。頭を叩く。
「なんだよ、叩くな!」
ーーー僕は、目を開ける。
「・・・」
そこには、母、父、そして水鶏が、燃やされていた。残ったのは、骨だけだ。
「・・・」
「夜鷹(よたか)くんは大変ねぇ、まだ中学生なのに、家族がみーんないなくなっちゃって。」
親戚のおばさんの、無神経な声が聞こえる。
「・・・」
「声がでかいよ母さん。」
「あら、気を付けるわ。それにしてもみーんな強盗に殺されちゃうなんて。ほーんと気の毒に。」
「母さん!いい加減にしろよ。」
「・・・僕は大丈夫だよ、ゆき兄ちゃん。」
「夜鷹・・・」
「帰るね。」
「え、お前、帰るってどこに?」
「家に決まってるじゃん?どうしたの、ゆき兄ちゃん。」
「ま」
僕は全力で走って逃げた。何も考えずにただ走り続けた。
★*゚
疲れてきた頃、あたりは暗くなっていた。そんな時、見覚えのある子が目の前を通りずきた。
「あ、おい。」
反射的に話しかける。
「?」
彼女は振り向いた。
「君、同じクラスの幸村鶫ちゃん、だよね?」
「あ、う、うん。」
「僕知ってる?」
「えと、お、おなじくらす、の、ふじやま、よたか、くん。」
いつも通り、話し方がおかしい。
「こんな遅くに、どうしたの?」
てか僕、なんでこんな平常心で話してられるんだ。こんないじめられっ子と。
「かんけ、い、ないでしょ・・・」
なんなんだよ、大切な人が死んだ後に。こんなことがあるのか?
「関係あるよ。」
「へ?」
「好きだよ鶫、お前のことが。」
「・・・、夜鷹くん、なんで・・・。」
「覚えてないの?小一の初め、独りぼっちだった僕に話しかけてくれたのは鶫だったのにな。知ってるか?夜鷹って鳥の名前なんだぞ。そして、鶫も。あの時、運命だって思ったよ。」
「・・・」
「でもそれからだんだん元気なくなって、鶫は普通に喋ることすらできなくなって、気持ち悪がられていじめられてて。どんどん遠い存在になっちゃった。」
「夜鷹くん、じゃあ何で今、私に告白したの?」
「あれ?喋れるようになってる・・・。」
「いいから教えて。」
「僕、死ぬから。こんなこと言うもんじゃないよね、巻き込んでごめん、やっぱ全部、忘れてよ。」
「やだ。だって・・・、私も、私も自殺しようとしてたところだからね。」
「まじ、かよ・・・。」
「夜鷹くん、クラスでも人気あるのに、なんて私なんか・・・。」
「さっき言ったじゃん。」
「まだ信じられなくて・・・。」
「ねぇ、一緒に暮らさない?」
「へ!?!?」
「好きだから。多分今、お前より大切な人いないし。」
「私のことそんなふうに思ってくれてるの、夜鷹くんだけだし。」
鶫はすぐに返事を出してくれた。
★*゚
「とりあえず寝ようよ。」
「そうだね。」
私と夜鷹くんは、付き合うことになった。
「でも、どこで?」
「あ、僕いいとこ知ってる。桐山公園の、土管の中なら寝れると思う。」
「じゃあ、行こっか。」
そして私たちは異世界に来てしまった。
★*゚
「グミ、お腹大きくなってるな。」
「タカ、大好き。死ななくてよかった。」
「おま、いつの話してんだよ。」
「愛してるよ、タカ・・・。」
「泣くなよ。俺もだよ、グミ。ところでこの子の名前どうする?男の子だってよ。俺的には夜助とか、夜真とかどお?」
「えー、私的には晴男とか、幸男とか?」
「お、おう・・・。お前決めていいぞ・・・。」
「ほんと!?じゃあ・・・」
鳥男(とりお)。
トーリのお兄ちゃんの名前だ。
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