僕がこうなった理由

愛色紫街

文字の大きさ
22 / 28
トーリ達の過去

両親

しおりを挟む
 私の名前は、幸村 鶫(ゆきむらつぐみ)。中学校ではコミュ障、といじめられ、家に帰っても無視される。なぜなら頭が悪いから。姉の鶴(つる)に比べて、というか比べ物にならないくらい頭が悪い。

「あんた、なんでテストで100点取れないの?ほんとに私の妹なの?嫌なんだけど。」

「・・・仕方ないじゃん。」

「口答えすんな、クズが。」

そして、母もいう。

「鶫には甘えさせちゃったのよ、私たち親が。だから仕方ないの。もうこの子はどうにもならない。だから、さ、もう死んでいいのよ。」

いつものようにそう言って、私を蹴る。運動神経もない。痛くても、何も出来ない。

「うう、うぅ。」

うめき声だけあげ、私は家を出た。


           ★*゚


 「お兄ちゃん、大好き。僕は将来お兄ちゃんと結婚する!」

「あはは、水鶏(くいな)、女の子なんだから私っていいなよ。」

髪型まで僕と同じにしちゃって。可愛いな、水鶏は。

「やだ!お兄ちゃんは僕って言ってるじゃん!」

「あはは、それに兄弟同士結婚はできないよ、でもね、きっと水鶏にも好きな人ができると思う。」

「・・・うーん、僕お兄ちゃんに好きな人できたらやっつけるから。」

「はは、ばーか。」

ぺしっ。頭を叩く。

「なんだよ、叩くな!」

ーーー僕は、目を開ける。

「・・・」

そこには、母、父、そして水鶏が、燃やされていた。残ったのは、骨だけだ。

「・・・」

「夜鷹(よたか)くんは大変ねぇ、まだ中学生なのに、家族がみーんないなくなっちゃって。」

親戚のおばさんの、無神経な声が聞こえる。

「・・・」

「声がでかいよ母さん。」

「あら、気を付けるわ。それにしてもみーんな強盗に殺されちゃうなんて。ほーんと気の毒に。」

「母さん!いい加減にしろよ。」

「・・・僕は大丈夫だよ、ゆき兄ちゃん。」

「夜鷹・・・」

「帰るね。」

「え、お前、帰るってどこに?」

「家に決まってるじゃん?どうしたの、ゆき兄ちゃん。」

「ま」

僕は全力で走って逃げた。何も考えずにただ走り続けた。


           ★*゚


 疲れてきた頃、あたりは暗くなっていた。そんな時、見覚えのある子が目の前を通りずきた。

「あ、おい。」

反射的に話しかける。

「?」

彼女は振り向いた。

「君、同じクラスの幸村鶫ちゃん、だよね?」

「あ、う、うん。」

「僕知ってる?」

「えと、お、おなじくらす、の、ふじやま、よたか、くん。」

いつも通り、話し方がおかしい。

「こんな遅くに、どうしたの?」

てか僕、なんでこんな平常心で話してられるんだ。こんないじめられっ子と。

「かんけ、い、ないでしょ・・・」

なんなんだよ、大切な人が死んだ後に。こんなことがあるのか?

「関係あるよ。」

「へ?」

「好きだよ鶫、お前のことが。」

「・・・、夜鷹くん、なんで・・・。」

「覚えてないの?小一の初め、独りぼっちだった僕に話しかけてくれたのは鶫だったのにな。知ってるか?夜鷹って鳥の名前なんだぞ。そして、鶫も。あの時、運命だって思ったよ。」

「・・・」

「でもそれからだんだん元気なくなって、鶫は普通に喋ることすらできなくなって、気持ち悪がられていじめられてて。どんどん遠い存在になっちゃった。」

「夜鷹くん、じゃあ何で今、私に告白したの?」

「あれ?喋れるようになってる・・・。」

「いいから教えて。」

「僕、死ぬから。こんなこと言うもんじゃないよね、巻き込んでごめん、やっぱ全部、忘れてよ。」

「やだ。だって・・・、私も、私も自殺しようとしてたところだからね。」

「まじ、かよ・・・。」

「夜鷹くん、クラスでも人気あるのに、なんて私なんか・・・。」

「さっき言ったじゃん。」

「まだ信じられなくて・・・。」

「ねぇ、一緒に暮らさない?」

「へ!?!?」

「好きだから。多分今、お前より大切な人いないし。」

「私のことそんなふうに思ってくれてるの、夜鷹くんだけだし。」

鶫はすぐに返事を出してくれた。 

 
           ★*゚


 「とりあえず寝ようよ。」

「そうだね。」

私と夜鷹くんは、付き合うことになった。

「でも、どこで?」

「あ、僕いいとこ知ってる。桐山公園の、土管の中なら寝れると思う。」

「じゃあ、行こっか。」

そして私たちは異世界に来てしまった。


           ★*゚

「グミ、お腹大きくなってるな。」

「タカ、大好き。死ななくてよかった。」

「おま、いつの話してんだよ。」

「愛してるよ、タカ・・・。」

「泣くなよ。俺もだよ、グミ。ところでこの子の名前どうする?男の子だってよ。俺的には夜助とか、夜真とかどお?」

「えー、私的には晴男とか、幸男とか?」

「お、おう・・・。お前決めていいぞ・・・。」

「ほんと!?じゃあ・・・」

鳥男(とりお)。

トーリのお兄ちゃんの名前だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

合成師

あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...