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薔薇の香りと剣舞曲
21 さあ、魔法から始まるぜ
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「モフモフさんっ」
俺は声が出る事が嬉しくて、何かを話すって訳でもなくモフモフさんに声をかけた。既に吊り橋の真ん中を通り越してあと少しで外だ。外って言っても芋掘り会場の外れ辺りに飛び出すわけだから、何事かとそれなりに注目は浴びている。
(気持ちいい~、注目浴びてるわ。みんな~未来の国王様ですよ~!)
「なんだかみんな静かだね」
「だって喋れないんだし、何で話せるようになったんだ?」
モフモフさんが右にターンしながら疑問を口にする。
「後で考えよう! とりま後ろのNPC2人、どうする?」
「ぶっつけ本番、俺の※デフォの魔法ぶっ放すわ」
「たのしみ~!」
「ラヴィちゃんは?」
「俺のスキルは……」
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
※アクティブスキル
ヒールlv.1 (使用MP20 効果HP+40)
聖の衣lv.1(使用MP30 効果 防御力を一時的に+15上げる)
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
(※バフしか使えねぇ、聖の衣をモフモフさんと自分に掛けるしかないな)
吊り橋から少し距離をとった所でモフモフさんが、立ち止まって詠唱の構えになった。俺も同じく ⌘ 聖の衣 ⌘ の詠唱を始める……って、予想通りの展開になってしまった。
(やり方がわからんっ、どうするんだよ、モフモフさんに ⌘ 聖の衣 ⌘ をかけるのは?)
ラヴィアンローズの視界の中央に薄っすらと呪文が浮かび上がって来ていた。
(あっ、早く気づけやっ、俺!)
「我に流れし血潮の加護よ出でよフレアっ!」
ダークエルフのモフモフさん隣でが呪文を唱えた。
(カッコイイー! あれっあれっ、俺も俺もやりたかったやつ、ちょっと身体を斜に構えて右手を前に突き出し呪文を唱えてからの)
ブォンッ
吊り橋を渡り終えて、右に曲がろうとしたグヘヘが炎に包まれたっ。
「グヘーーー」
一瞬燃えたグヘヘは地面に転がりまくって火を消そうと、のたうちまわる。
(あれって本当に熱かったりしないよな……)
もう1人の方はその姿を見て、警戒して立ち止まってこちらに何か言おうとしていた。
「ラヴィちゃん、俺、あと1発しか打てない」
「いや、なんにせよ凄いよ。レベ1のデフォの魔法があれ? 普通なら火傷じゃ済まんよっ」
「ラヴィちゃんも頼む」
(えっと、何をかな?)
「攻撃魔法とか無いよ、俺が出来るのはっ」
(よっしゃー、今のモフモフさんの炎の魔法のお陰で、畑のみんなはこちらを注目してるはず。カッコイイ呪文を唱える所をみてくれっ、みんな!)
俺は目の前に浮かぶ呪文を重々しく読み上げた。
「光の守護の恩寵を…… ホーリークロス」
(決まったし。間の取り方が最高だったよね)
俺が呪文を唱えた瞬間、俺を中心に直径10mぐらいの青白い光の魔方陣が足元から浮かび上がり、残像を残して俺たちを包み込んだ。
(これって範囲魔法か! 魔法が顕現する時に、魔方陣の中に居れば魔法が掛かるってやつだ)
「わぉっ、ラヴィちゃん青白く光ってんで」
「モフモフさんもだよ、ダークエルフの雰囲気バッチリな感じ」
「これ何?」
「⌘ 聖の衣 ⌘ っていう、防御+15のバフだよ」
「了解っ」
「おいっこらーっ、いきなり火だるまとかやってくれるのー、10倍返しするで」
戦線に復帰したグヘヘが叫んだ。
モフモフさんは短剣を両手に構える。
俺は標準装備のショートソードを腰から抜いて、取り敢えず構えた。
「ラヴィちゃん、こんな時だけどメモの話」
「うん、何?」
「魔法はさ、今上手くいったから良かったけど、道具を使うって段階で問題があるんだよ。この身体、勝手に動いてくれないんだ…… つまり、普段の自分の動きの延長でしかない。ラヴィちゃん剣道とかやってる?」
(つまり、イメージでかっこよく剣を振るうって思っても、実際はど素人のチャンバラごっこ。そういう事かな?)
俺は、ショートソードを両手を握って袈裟斬りをしてみる。
「あたーっ、あぶねー、自分の足を切るとこだったぁ」
「ラヴィちゃん、足が逆。利き手側の足を前にしないと足切るで~、つーか、そういう事!」
「あのー、切られても痛く無いよね?」
「わからん、痛いかなぁ」
「もがき苦しめや、カマども」
グヘヘが呪文の詠唱の態勢に入った、隣のNPCも同じくだ。
「どうする? ここからじゃ間に合わないっ」
俺がそう言った時、モフモフさんは両手の短剣をグヘヘともう1人のNPCに放った。
目で追えない速さで短剣が突き刺さって、奴らの詠唱が止まる。
「今だっ、ラヴィちゃん突っ込めー!!」
(よくわからんけど、はいはいー)
「オラァ覚悟しろやぁぁ」
素人突撃兵は剣を構えて、人生初めての戦いに挑んで行くのだった。
※デフォ
デフォルトの略語。この場合の意味は、標準設定。
※アクティブスキル
魔法などを唱えて、発現させるスキル。ちなみに、常に発現しているスキルの事をパッシブスキルと言う。
※バフ
ゲームの中での能力を、魔法をかけることなどで向上させる事。
俺は声が出る事が嬉しくて、何かを話すって訳でもなくモフモフさんに声をかけた。既に吊り橋の真ん中を通り越してあと少しで外だ。外って言っても芋掘り会場の外れ辺りに飛び出すわけだから、何事かとそれなりに注目は浴びている。
(気持ちいい~、注目浴びてるわ。みんな~未来の国王様ですよ~!)
「なんだかみんな静かだね」
「だって喋れないんだし、何で話せるようになったんだ?」
モフモフさんが右にターンしながら疑問を口にする。
「後で考えよう! とりま後ろのNPC2人、どうする?」
「ぶっつけ本番、俺の※デフォの魔法ぶっ放すわ」
「たのしみ~!」
「ラヴィちゃんは?」
「俺のスキルは……」
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
※アクティブスキル
ヒールlv.1 (使用MP20 効果HP+40)
聖の衣lv.1(使用MP30 効果 防御力を一時的に+15上げる)
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(※バフしか使えねぇ、聖の衣をモフモフさんと自分に掛けるしかないな)
吊り橋から少し距離をとった所でモフモフさんが、立ち止まって詠唱の構えになった。俺も同じく ⌘ 聖の衣 ⌘ の詠唱を始める……って、予想通りの展開になってしまった。
(やり方がわからんっ、どうするんだよ、モフモフさんに ⌘ 聖の衣 ⌘ をかけるのは?)
ラヴィアンローズの視界の中央に薄っすらと呪文が浮かび上がって来ていた。
(あっ、早く気づけやっ、俺!)
「我に流れし血潮の加護よ出でよフレアっ!」
ダークエルフのモフモフさん隣でが呪文を唱えた。
(カッコイイー! あれっあれっ、俺も俺もやりたかったやつ、ちょっと身体を斜に構えて右手を前に突き出し呪文を唱えてからの)
ブォンッ
吊り橋を渡り終えて、右に曲がろうとしたグヘヘが炎に包まれたっ。
「グヘーーー」
一瞬燃えたグヘヘは地面に転がりまくって火を消そうと、のたうちまわる。
(あれって本当に熱かったりしないよな……)
もう1人の方はその姿を見て、警戒して立ち止まってこちらに何か言おうとしていた。
「ラヴィちゃん、俺、あと1発しか打てない」
「いや、なんにせよ凄いよ。レベ1のデフォの魔法があれ? 普通なら火傷じゃ済まんよっ」
「ラヴィちゃんも頼む」
(えっと、何をかな?)
「攻撃魔法とか無いよ、俺が出来るのはっ」
(よっしゃー、今のモフモフさんの炎の魔法のお陰で、畑のみんなはこちらを注目してるはず。カッコイイ呪文を唱える所をみてくれっ、みんな!)
俺は目の前に浮かぶ呪文を重々しく読み上げた。
「光の守護の恩寵を…… ホーリークロス」
(決まったし。間の取り方が最高だったよね)
俺が呪文を唱えた瞬間、俺を中心に直径10mぐらいの青白い光の魔方陣が足元から浮かび上がり、残像を残して俺たちを包み込んだ。
(これって範囲魔法か! 魔法が顕現する時に、魔方陣の中に居れば魔法が掛かるってやつだ)
「わぉっ、ラヴィちゃん青白く光ってんで」
「モフモフさんもだよ、ダークエルフの雰囲気バッチリな感じ」
「これ何?」
「⌘ 聖の衣 ⌘ っていう、防御+15のバフだよ」
「了解っ」
「おいっこらーっ、いきなり火だるまとかやってくれるのー、10倍返しするで」
戦線に復帰したグヘヘが叫んだ。
モフモフさんは短剣を両手に構える。
俺は標準装備のショートソードを腰から抜いて、取り敢えず構えた。
「ラヴィちゃん、こんな時だけどメモの話」
「うん、何?」
「魔法はさ、今上手くいったから良かったけど、道具を使うって段階で問題があるんだよ。この身体、勝手に動いてくれないんだ…… つまり、普段の自分の動きの延長でしかない。ラヴィちゃん剣道とかやってる?」
(つまり、イメージでかっこよく剣を振るうって思っても、実際はど素人のチャンバラごっこ。そういう事かな?)
俺は、ショートソードを両手を握って袈裟斬りをしてみる。
「あたーっ、あぶねー、自分の足を切るとこだったぁ」
「ラヴィちゃん、足が逆。利き手側の足を前にしないと足切るで~、つーか、そういう事!」
「あのー、切られても痛く無いよね?」
「わからん、痛いかなぁ」
「もがき苦しめや、カマども」
グヘヘが呪文の詠唱の態勢に入った、隣のNPCも同じくだ。
「どうする? ここからじゃ間に合わないっ」
俺がそう言った時、モフモフさんは両手の短剣をグヘヘともう1人のNPCに放った。
目で追えない速さで短剣が突き刺さって、奴らの詠唱が止まる。
「今だっ、ラヴィちゃん突っ込めー!!」
(よくわからんけど、はいはいー)
「オラァ覚悟しろやぁぁ」
素人突撃兵は剣を構えて、人生初めての戦いに挑んで行くのだった。
※デフォ
デフォルトの略語。この場合の意味は、標準設定。
※アクティブスキル
魔法などを唱えて、発現させるスキル。ちなみに、常に発現しているスキルの事をパッシブスキルと言う。
※バフ
ゲームの中での能力を、魔法をかけることなどで向上させる事。
応援ありがとうございます!
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