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薔薇の香りと剣舞曲
31 これがスライムさんのデスペナですか?
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あっ、跳んだっ。まじかやべぇ。
そうは思ったものの、俺は予想していなかった動きに反応が出来なかった。とっさに突き出したショートソードに突き刺さるように巨大なスライムは俺に覆いかぶさってくる。
無理だっ、剣が刺さらないっ、押しつぶされるっ。完全に詰んだかも。
◇◆◇
ズチャッ
粘着音をさせて巨大なスライムはラヴィアンローズの上に乗っかった。ラヴィアンローズは仰向けに倒れ、スライムを押しのけようともがく。しかし、もがけばもがくほど手足はスライムの体内に入り込んで取り込まれていく。
C.Cにはスライムの中で手足を懸命に動かそうとしているラヴィアンローズの姿が、透けて見える。
あぁ、どうしてこんな事になったの……
何も手出しが出来なかった。C.Cにはわかっていた。今更ファイヤーボールを打ち込んだところで、大した威力でもない魔法では彼を救う事が出来ない事を。
ラヴィアンローズの死んでいく様子がリアルタイムで起きている。目の前で起こっている見たく無いものを見て、足が言う事をきかない。ラヴィアンローズを包み込む事に夢中でその場から動かなくなったスライムの前で、C.Cは足がすくんで動けなくなっていた。
半透明のスライムの体内のラヴィアンローズがC.Cの方に顔を動かした。多分ラヴィにはこちらが見えてはいないだろう。それでもまだ手足を動かして足掻いている。
息が出来ないよ。そこじゃラヴィ、駄目、あぁぁ。
ラヴィアンローズの手足の動きが次第に鈍くなり、ついに動かなくなった。
えぇ、そんなっ……
C.Cは目の前で、さっきまで話していたラヴィアンローズが死んでしまった。
これはゲームの世界よっ、現実では無いから。でもあんまりだよ。リアル過ぎてもう駄目、あたしもう無理、ごめんねラヴィさん。私逃げなきゃ、死にたく無いっ。
C.Cの姿が消えた。ラヴィを殺したスライムが動き出す前にC.Cはゲームからログアウトをしたのだった。
◇◆◇
息が出来ない、それがゲームの中でも体感出来るような経験だった。心配だったのはあまりにゲームと本当の肉体がシンクロをしてしまうと、こういったモンスターに殺されてしまう時に、本物の肉体の方に良くない影響が生じるんではないかと言うことだ。
スライムに呑み込まれて呼吸が出来なくなって、だんだん体が重くなった。目の前の視界が暗くなり、最後に見たのはスライムの透けた身体越しにボヤけて見えたC.Cの輪郭だった。もしかしたら奇跡でも起こらないかとちょっとだけ思ったけど、何も起こらず終わった。
[ゲームオーバー]
この文字が浮かんでいる。俺はログアウトしようと意識しているんだけど、ログアウトが出来ない。
なんで? 死んだら普通はリスポーンしますか? とかになるだろ。なんで何も変化が無いんだ?
俺の体は巨大スライムの体内で吸収されている、と思う。異物だと感じて吐き出してくれればいいんだが、そうではないらしい。さっき死んでから、画面が暗転したままだ。
[ゲームオーバー]の文字だけが視界の (今は画面のと言った方がいいかな) 中央に表示されているんだが、その文字の下に薄く横バーがあった。
よく見ると微妙にゆっくりだが、横バーが短くなってきている。ということは、この世界の中に俺の体が、スライムというこの世界の時間軸の中で生きている者に干渉している間は、俺が勝手にログアウトして消える事も出来ないって事なんだろうか。
なんだかな~、変な所がリアルだな。どうなんだろ、確かに腹のなかに居て死んでいるのは、スライムの餌と同じ扱いとなるわな。
ただそれは俺のこの世界の器なわけで、その器が器として機能しないぐらいに形が無くなるまでは、俺は勝手に消える事は出来ないってシバリが発生しているって事だな。
運営へのメール案件だよ。もっと消化の遅いモンスターに呑み込まれでもしたら、延々と消化されるの待ちになるじゃないか。これこそ本当のデスペナルティってもんだろ。
あっ、今俺上手いこと言った?
あー、長ぇ。ヘッドギア外してトイレ行こっ。
そうは思ったものの、俺は予想していなかった動きに反応が出来なかった。とっさに突き出したショートソードに突き刺さるように巨大なスライムは俺に覆いかぶさってくる。
無理だっ、剣が刺さらないっ、押しつぶされるっ。完全に詰んだかも。
◇◆◇
ズチャッ
粘着音をさせて巨大なスライムはラヴィアンローズの上に乗っかった。ラヴィアンローズは仰向けに倒れ、スライムを押しのけようともがく。しかし、もがけばもがくほど手足はスライムの体内に入り込んで取り込まれていく。
C.Cにはスライムの中で手足を懸命に動かそうとしているラヴィアンローズの姿が、透けて見える。
あぁ、どうしてこんな事になったの……
何も手出しが出来なかった。C.Cにはわかっていた。今更ファイヤーボールを打ち込んだところで、大した威力でもない魔法では彼を救う事が出来ない事を。
ラヴィアンローズの死んでいく様子がリアルタイムで起きている。目の前で起こっている見たく無いものを見て、足が言う事をきかない。ラヴィアンローズを包み込む事に夢中でその場から動かなくなったスライムの前で、C.Cは足がすくんで動けなくなっていた。
半透明のスライムの体内のラヴィアンローズがC.Cの方に顔を動かした。多分ラヴィにはこちらが見えてはいないだろう。それでもまだ手足を動かして足掻いている。
息が出来ないよ。そこじゃラヴィ、駄目、あぁぁ。
ラヴィアンローズの手足の動きが次第に鈍くなり、ついに動かなくなった。
えぇ、そんなっ……
C.Cは目の前で、さっきまで話していたラヴィアンローズが死んでしまった。
これはゲームの世界よっ、現実では無いから。でもあんまりだよ。リアル過ぎてもう駄目、あたしもう無理、ごめんねラヴィさん。私逃げなきゃ、死にたく無いっ。
C.Cの姿が消えた。ラヴィを殺したスライムが動き出す前にC.Cはゲームからログアウトをしたのだった。
◇◆◇
息が出来ない、それがゲームの中でも体感出来るような経験だった。心配だったのはあまりにゲームと本当の肉体がシンクロをしてしまうと、こういったモンスターに殺されてしまう時に、本物の肉体の方に良くない影響が生じるんではないかと言うことだ。
スライムに呑み込まれて呼吸が出来なくなって、だんだん体が重くなった。目の前の視界が暗くなり、最後に見たのはスライムの透けた身体越しにボヤけて見えたC.Cの輪郭だった。もしかしたら奇跡でも起こらないかとちょっとだけ思ったけど、何も起こらず終わった。
[ゲームオーバー]
この文字が浮かんでいる。俺はログアウトしようと意識しているんだけど、ログアウトが出来ない。
なんで? 死んだら普通はリスポーンしますか? とかになるだろ。なんで何も変化が無いんだ?
俺の体は巨大スライムの体内で吸収されている、と思う。異物だと感じて吐き出してくれればいいんだが、そうではないらしい。さっき死んでから、画面が暗転したままだ。
[ゲームオーバー]の文字だけが視界の (今は画面のと言った方がいいかな) 中央に表示されているんだが、その文字の下に薄く横バーがあった。
よく見ると微妙にゆっくりだが、横バーが短くなってきている。ということは、この世界の中に俺の体が、スライムというこの世界の時間軸の中で生きている者に干渉している間は、俺が勝手にログアウトして消える事も出来ないって事なんだろうか。
なんだかな~、変な所がリアルだな。どうなんだろ、確かに腹のなかに居て死んでいるのは、スライムの餌と同じ扱いとなるわな。
ただそれは俺のこの世界の器なわけで、その器が器として機能しないぐらいに形が無くなるまでは、俺は勝手に消える事は出来ないってシバリが発生しているって事だな。
運営へのメール案件だよ。もっと消化の遅いモンスターに呑み込まれでもしたら、延々と消化されるの待ちになるじゃないか。これこそ本当のデスペナルティってもんだろ。
あっ、今俺上手いこと言った?
あー、長ぇ。ヘッドギア外してトイレ行こっ。
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