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薔薇の香りと剣舞曲
30 巨大スライムとの戦い
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粘性状の単細胞なのか、複細胞の集まりなのかなんてわからないが、幅約4メートル、高さ3メートルぐらいの地下水路を塞ぐサイズのスライムが、足を止めた俺達の10メートルぐらい先に現れた。
青白い光を受けて半透明の体が青く見える、動いているようには見えないが、なにぶん図体がデカイので明らかに俺のショートソードではダメージが入らないだろう。
定番ならここは魔法でぶっ倒すところだけど、C.Cのファイヤーボールの威力を俺達はまだ知らない。下手なことをしてゲームオーバーになることは避けなければ。
ちょっとデカイ、普通にゲームの序盤で会うならせめて10分の1ぐらいの大きさでいいんじゃないか。
「これは戦う必要あるかな?」
「動いてるの?」
「ゼリーみたいだな。動いて無いけど油断は出来ないよ」
C.Cが手に持った木の枝をスライムの方に向けた。
「えっ、やるの?」
俺はショートソードを持つ手に力が入る。
「私が知ってるスライムは、物理攻撃が効かなくって魔法に弱かったはず、取り敢えずファイヤーボールなら相性的に効くんじゃない?」
確かに他のゲームでもスライムは大概同じ扱いだ。ただ巨大なスライムは厄介だった気がする。
「撃って効かなかったら、逃げでいいかな? 取り敢えず先にホーリークロスを掛け直しとくよ。途中で切れたら何も見えなくてマズイからね」
「うんっ、お願い」
「じゃいくよ」
俺は魔法 ⌘ 聖の衣 ⌘ をイメージする。視界の中に薄っすらと呪文が浮かび上がる。
「光の守護の恩寵を、ホーリークロス」
呪文を唱えた瞬間、俺を中心に直径10mぐらいの青白い光の魔方陣が足元から浮かび上がり、残像を残して俺たちを包み込んだ。
「凄い演出よね、魔方陣が足元から現れるなんてちょっとカッコイイ」
「そうか? まっとにかくバフは上書きされたはずだから、次はC.C、お願いします!」
スライムに動きは無い。そもそもこのネバネバゼリーみたいな物体が、重力を無視して跳ねるような事は考えられない。
怖いのはあの体の中に取り込まれてしまう事だ。息が出来なくて多分死ぬし、俺は窒息死なんてしたくない
俺がC.Cを見ると、C.Cは頷いた。準備は出来たようだ。魔法の邪魔にならないように少し後ろにさがった。
「古の炎 火炎 魔炎 焼き尽くせ!! ファイヤー」
声は小さいがC.Cの蕩々とした詠唱が地下水路に響いた。
呪文を唱え終えると同時に、C.Cがスライムに向けた木の枝の周りにソフトボールぐらいの大きさの炎の玉が5、6個現れて、勢いよくスライムに連続で飛んで行った。
ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ
炎の玉は合計6個だった。そいつがスライムに穴を開けながらぶち当たる。当たった所にはバスケットボール台の穴が出来てスライムの体が削れた。でもこの巨大スライムはそのくらいでは倒せる感じではなかった。
体の体積が微妙に減りはしたが、いかんせん元々の体がデカイ。
C.Cが放ったファイヤーボールでは、あと10回ぐらい、つまり炎の玉を60個ぐらいをぶち当てないと倒せそうにない。
ヤバイ事に、ファイヤーボールを食らったスライムの色が変わった。青白いかったのが白く濁り始めて、まるで海のクラゲのような色になる。やっぱり生きている、ただの巨大ゼリーじゃなかった。
ズルリッ
スライムの体高が一瞬低くなって体が広がり地面に着いた部分が押し拡げられた。拡がった部分に一瞬鮮やかな燐光が放たれて、スライムの体が元の形に戻った時には俺達の方に3メートル程近づいて来ている。その間約2秒、そしてまたスライムの体高が低くなる。
「げっ、速ぇ。C.C魔法あと何回行ける?」
「MP少なっ、あと1回しか無理っ! 逃げよっ」
そう言っている間にも巨大スライムは俺達に近づいていた。もたもたしてたら飲み込まれてしまう、俺とC.Cはスライムの様子を振り返って見ながら、元来た方向へ走り出した。
「アイツ止まる気無いね」
後ろを振り返ってC.Cが言った。
「拡がって、戻るってリズムで動いている。止まったタイミングで斬りつけて、離れての繰り返しで行けるかも」
動きが一定のモンスターとの立ち回りで良く使われる、バックステップ&ヒット&バックステップ&ヒットの繰り返し。
俺が前にやってたMMOでボスモンスターの範囲攻撃を喰らわずに倒す方法だ。
「無理しなくてもいいけど、アイツ止まらないね」
「このまま追いかけられて、その先にアイツと同じ奴が居たらどのみち終了じゃん、やってみるよ足留め出来たらファイヤーボールぶち込んでっ」
俺はそう言ってから、スライムの動くタイミングを計る。
(縮む、拡がる、元に戻る、縮む、拡がる、元に戻る。よしっ、縮む、拡がる、行けぇっ!)
元に戻る瞬間に俺は飛び込みショートソードでスライムの身体を斬りつけた。
燕返し……確か宮本武蔵と戦った佐々木小次郎の技だったけど、今俺がやったのはまさにそれと同じ動き。虎切り、虎切刀とも言う剣技で上から地面近くまで斬りおろし、そこから切っ尖を反転させて斬りあげる動作。
よくわからんが、勝手に体が動いた。昨日と同じだ、戦いになると俺は凄腕の剣士になれてる。斬りあげたあと素早くバックステップで3メートル以上退がる。
スライムが俺に斬られて動きが一瞬止まった。
グンッ
またスライムの体高が低くなった。そして奴は俺の方に飛び跳ねたんだっ!
まじかっ、やべぇ……
青白い光を受けて半透明の体が青く見える、動いているようには見えないが、なにぶん図体がデカイので明らかに俺のショートソードではダメージが入らないだろう。
定番ならここは魔法でぶっ倒すところだけど、C.Cのファイヤーボールの威力を俺達はまだ知らない。下手なことをしてゲームオーバーになることは避けなければ。
ちょっとデカイ、普通にゲームの序盤で会うならせめて10分の1ぐらいの大きさでいいんじゃないか。
「これは戦う必要あるかな?」
「動いてるの?」
「ゼリーみたいだな。動いて無いけど油断は出来ないよ」
C.Cが手に持った木の枝をスライムの方に向けた。
「えっ、やるの?」
俺はショートソードを持つ手に力が入る。
「私が知ってるスライムは、物理攻撃が効かなくって魔法に弱かったはず、取り敢えずファイヤーボールなら相性的に効くんじゃない?」
確かに他のゲームでもスライムは大概同じ扱いだ。ただ巨大なスライムは厄介だった気がする。
「撃って効かなかったら、逃げでいいかな? 取り敢えず先にホーリークロスを掛け直しとくよ。途中で切れたら何も見えなくてマズイからね」
「うんっ、お願い」
「じゃいくよ」
俺は魔法 ⌘ 聖の衣 ⌘ をイメージする。視界の中に薄っすらと呪文が浮かび上がる。
「光の守護の恩寵を、ホーリークロス」
呪文を唱えた瞬間、俺を中心に直径10mぐらいの青白い光の魔方陣が足元から浮かび上がり、残像を残して俺たちを包み込んだ。
「凄い演出よね、魔方陣が足元から現れるなんてちょっとカッコイイ」
「そうか? まっとにかくバフは上書きされたはずだから、次はC.C、お願いします!」
スライムに動きは無い。そもそもこのネバネバゼリーみたいな物体が、重力を無視して跳ねるような事は考えられない。
怖いのはあの体の中に取り込まれてしまう事だ。息が出来なくて多分死ぬし、俺は窒息死なんてしたくない
俺がC.Cを見ると、C.Cは頷いた。準備は出来たようだ。魔法の邪魔にならないように少し後ろにさがった。
「古の炎 火炎 魔炎 焼き尽くせ!! ファイヤー」
声は小さいがC.Cの蕩々とした詠唱が地下水路に響いた。
呪文を唱え終えると同時に、C.Cがスライムに向けた木の枝の周りにソフトボールぐらいの大きさの炎の玉が5、6個現れて、勢いよくスライムに連続で飛んで行った。
ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ
炎の玉は合計6個だった。そいつがスライムに穴を開けながらぶち当たる。当たった所にはバスケットボール台の穴が出来てスライムの体が削れた。でもこの巨大スライムはそのくらいでは倒せる感じではなかった。
体の体積が微妙に減りはしたが、いかんせん元々の体がデカイ。
C.Cが放ったファイヤーボールでは、あと10回ぐらい、つまり炎の玉を60個ぐらいをぶち当てないと倒せそうにない。
ヤバイ事に、ファイヤーボールを食らったスライムの色が変わった。青白いかったのが白く濁り始めて、まるで海のクラゲのような色になる。やっぱり生きている、ただの巨大ゼリーじゃなかった。
ズルリッ
スライムの体高が一瞬低くなって体が広がり地面に着いた部分が押し拡げられた。拡がった部分に一瞬鮮やかな燐光が放たれて、スライムの体が元の形に戻った時には俺達の方に3メートル程近づいて来ている。その間約2秒、そしてまたスライムの体高が低くなる。
「げっ、速ぇ。C.C魔法あと何回行ける?」
「MP少なっ、あと1回しか無理っ! 逃げよっ」
そう言っている間にも巨大スライムは俺達に近づいていた。もたもたしてたら飲み込まれてしまう、俺とC.Cはスライムの様子を振り返って見ながら、元来た方向へ走り出した。
「アイツ止まる気無いね」
後ろを振り返ってC.Cが言った。
「拡がって、戻るってリズムで動いている。止まったタイミングで斬りつけて、離れての繰り返しで行けるかも」
動きが一定のモンスターとの立ち回りで良く使われる、バックステップ&ヒット&バックステップ&ヒットの繰り返し。
俺が前にやってたMMOでボスモンスターの範囲攻撃を喰らわずに倒す方法だ。
「無理しなくてもいいけど、アイツ止まらないね」
「このまま追いかけられて、その先にアイツと同じ奴が居たらどのみち終了じゃん、やってみるよ足留め出来たらファイヤーボールぶち込んでっ」
俺はそう言ってから、スライムの動くタイミングを計る。
(縮む、拡がる、元に戻る、縮む、拡がる、元に戻る。よしっ、縮む、拡がる、行けぇっ!)
元に戻る瞬間に俺は飛び込みショートソードでスライムの身体を斬りつけた。
燕返し……確か宮本武蔵と戦った佐々木小次郎の技だったけど、今俺がやったのはまさにそれと同じ動き。虎切り、虎切刀とも言う剣技で上から地面近くまで斬りおろし、そこから切っ尖を反転させて斬りあげる動作。
よくわからんが、勝手に体が動いた。昨日と同じだ、戦いになると俺は凄腕の剣士になれてる。斬りあげたあと素早くバックステップで3メートル以上退がる。
スライムが俺に斬られて動きが一瞬止まった。
グンッ
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