【R-18】騎乗位でイケないドラゴンの片腕やってます

やみくもに

文字の大きさ
7 / 51

第七話 中途半端で眠れなかったんですね

しおりを挟む
 池を掘った僕たちは洞窟に戻るとどんな家を作るか話し合った。
 リコス様は城に住みたいと言い出したが、そんなものが作れるはずもなく、揉めることになり結論は出ず、疲れた僕は結論を先送りにして寝させてもらうことにした。

 寝ぼけたリコス様に潰されたくない僕は小部屋に、リコス様は自分の寝室ということにした。

 添い寝というものにチャレンジしたそうだったが、疲れ果てた僕を見て大人しく寝室に行ってくれた。

 僕は横になると意識を失うように眠りについた。

「あ、おやすみなさいくらい言ってあげればよかったな」


 次の日の朝、固い床で寝たにもかかわらずスッキリと起きることができた。
 リコス様が起きる時間もわからないので表に出て、用水路で顔を洗う。

「なんじゃ、ネリスはここじゃったか」

 リコス様も起きたようだった。
 しかし、ずいぶん眠そうな顔だし、目の下には薄っすらクマもある。

「あれ?眠れなかったんですか?」
「一睡もしておらんのじゃ」
「どうしてまた……」

 その場に足を投げ出して座ると、ぼんやりしたまま話を続ける。

「ネリスのシャツを寝巻きにして寝たのじゃ。そうしたら、誰かの匂いと一緒に寝るのも素敵じゃと思えて……」
「あ、そういうの分かります」
「そしたら、だんだんドキドキして何もしなくてもトロトロになってしまったのじゃ」

 眠くて意識が朦朧としてるのだろうか、昨日のリコス様なら走って逃げ出すような事を言っている。

「それで少しだけ触ってみたら気持ち良くなって、もう少しというとこで妾は気づいたのじゃ」
「何を?」
「イってしまったらシャツを破いてしまうことじゃ」
「ふむふむ」
「なので我慢したのじゃが、時間が経つとムラムラしてしまって」
「繰り返しているうちに朝になったんですね」
「ふぁーあ。そうじゃ、だから、眠くて……仕方ない……のじゃ?!」

 どうやら少し目が覚めたのだろう、自分の発言を自覚したのか、全身真っ赤になっているのが分かる。

「全部忘れるのじゃー!!」

 リコス様は洞窟へと消えていった。

 僕はその場に座つて昨夜の話を考えることにした。

「国の復興だし、ここに城があるに越したことはないだけど、そんなもの作る技術はないよなあ」

「ネリス、朝ごはんなのじゃー」

 今回は復帰が早いようだが、お腹が空いていたのか。

 振り返ると、リコス様は昨日の猪の残りを持ってきてくれたようだが手の上に皿が二つ浮いているように見える。

「どうやってるんですか?それ」
「何度かネリスにかけた盾を手の上にかけてるのじゃ」
「そんなこともできるんですね。すごいなあ」
「そうじゃろ?いくらでも大きくできるから皿がいくつあっても平気じゃぞ!」

 何かが引っ掛かった。

「例えばですが、100メートル四方なら?」
「大きさは平気じゃ。物によるがドラゴンの姿なら持ち上げることもできるじゃろ」
「城ってそのくらいサイズでありますよね?」
「持ってくるとは思いつかなんだわ。しかし、ゆっくり運ばぬと崩してしまいそうじゃ」
「そこは後で考えましょう。それより、どこからお借りするかです」
「確かに、いきなり城を持って行ったら揉めごとにしかならん」

 二人で腕組みをして頭をひねる。

「奪っても恨まれないといえば、悪党あたりですかね」
「それなら、魔族側の麓に盗賊がおったような」
「じゃ、そこをいただいて持ってきましょう」
「とんでもない話じゃな」
「ホントですね」

 僕たちは朝食を済ませ、リコス様にドラゴンに戻ってもらい飛んで向かう。

「リコス様、風で飛ばされそうです。落ちたら死にますよね」
「なら、保護ガードの魔法をかけてやろう」

 僕の体が緑の光に包まれる。

「これは?」
「周囲を魔力で固めて防御する魔法じゃ。ただし自分ではほとんど動けなくなるが妾に乗っているなら問題あるまい」
「なるほど、これは使えそうですね」

 それから山肌に沿ってぐんぐん降りていくと遠くに小さな城が見えてくる。

「あれでしょうか?」
「そうじゃ、目立たぬようにここらで降りて、そこからは歩きじゃな」

 森の中に降り立ち、リコス様にローブを着てもらう。動きにくいがシャツを取られたので僕もローブ姿だ。

「ペアルックという奴じゃな」

 何か違う気もするが口は挟むまい。

「それよりも見つかるとまずいですか?」
「妾はこの辺りの魔族には目の敵にされていてな、見つかると面倒なことになるかもしれんのじゃ」
「覗きでもばれましたか?」
「違うわ。五百年ほど前に卑劣な領主がいたのでひと暴れしたのじゃ」
「あー、下手するとリコス様が悪いドラゴンにされているかもですね」
「その通りなのじゃ、国を滅ぼしかけた悪竜ということにされておる」
「ひどい話ですね」

 話をしているうちに城の近くまで来た。

 ぐるりと石塀に囲まれ見張らしき人影がいくつか歩いている。
 塀の内側には塔や館が見えるため大半はそちらにいるんだろう。

「さて、どうやっていただくかですね」
「あそこで妾が暴れたら城を壊しそうだしの」
「じゃあ、なんとか離れたところまで引き寄せて一網打尽にしましょうか」
「そうじゃな。じゃあ、城の中の奴らは魔法で追い出すからネリスは囮になって正門前の広いところにおびき寄せてまいれ」

 リコス様が乗り込ませる訳にもいかない。
 それは分かる。
 他には僕しかいない。
 分かるのだけど。

「ざっと三十人ほどじゃな」
「分かるんですか?」
「ドラゴンだから熱を視る技を身につけておるのじゃ」
「よくわかりませんが凄いですね」
「あれくらいならなんとかなるじゃろ、煙幕スモークの魔法で燻しだすので行ってこい」

 トンと背中を押される。

「あの、僕は農夫ですよ?」
「それは聞いたのじゃ。危なくなったら城なんて吹き飛ばすつもりで魔法を使うから宝船に乗った気でいるのじゃ」
「最後が意味分かりませんが、そうまで言うなら行ってきます。リコス様の片腕ですしね」

 二人で正門近くまで行くと、二手に分かれる。
 リコス様は暴れやすいように離れたところへ、僕は正門へ。

 僕が門の近くへ行くと中から人が出てくる。
 軽くて動きやすそうな革鎧に身を包んでいる。
 魔族側のヴェンデ国領だから魔族が出てくると思っていたけど、人族ばかりだ。
 きっと、カステロス王国で犯罪を冒して逃げてきたんだろう。

「なんだテメェは」
「用がないなら身ぐるみ全部おいてけ」
「用があっても身ぐるみ剥いでやるけどな」
「違いねえ」

 男たちの下品な笑いが響く。

 奥から更に男が出てくる。

「おい!向こうに見えるローブのやつは、テメェの女か。チラッと見えただけだが、かなりの上物じゃねえか」

 急に男たちが色めき立つ。

「魔法使いが二人か。他の奴らも呼べ!」

 僕はすぐにでも動けるように身構える。
 誰かが動いたとき。

 煙幕スモーク
 真っ黒な煙が城を包む。

 リコス様の魔法だ。僕は息を大きく吸い込んで力の限り叫んだ。

「敵襲だ!正門からだぞ!」

 館からも人が出てくるのを確認して脱兎の如くリコス様の方へ走る。

「舐めやがって」

 武器を手にして男たちが追いかけてくる。

 死ぬ気で走った。

 しかし、ロープでは走りにくいし追いつかれそうになってしまう。

「魔術師なんて離れてないと何もできねぇよな。くたばれやぁっ!」

 後ろからの声に振り返ると、一直線に槍が向かってくる。
 貫かれて殺されると覚悟したとき。

「させんのじゃあああ」

 リコス様の飛び横蹴りが相手の顎を捉える。
 男の首があらぬ方向に曲がったまま崩れ落ちる。

「ここからは妾が相手なのじゃ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【完結】体目的でもいいですか?

ユユ
恋愛
王太子殿下の婚約者候補だったルーナは 冤罪をかけられて断罪された。 顔に火傷を負った狂乱の戦士に 嫁がされることになった。 ルーナは内向的な令嬢だった。 冤罪という声も届かず罪人のように嫁ぎ先へ。 だが、護送中に巨大な熊に襲われ 馬車が暴走。 ルーナは瀕死の重症を負った。 というか一度死んだ。 神の悪戯か、日本で死んだ私がルーナとなって蘇った。 * 作り話です * 完結保証付きです * R18

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...