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第七話 中途半端で眠れなかったんですね
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池を掘った僕たちは洞窟に戻るとどんな家を作るか話し合った。
リコス様は城に住みたいと言い出したが、そんなものが作れるはずもなく、揉めることになり結論は出ず、疲れた僕は結論を先送りにして寝させてもらうことにした。
寝ぼけたリコス様に潰されたくない僕は小部屋に、リコス様は自分の寝室ということにした。
添い寝というものにチャレンジしたそうだったが、疲れ果てた僕を見て大人しく寝室に行ってくれた。
僕は横になると意識を失うように眠りについた。
「あ、おやすみなさいくらい言ってあげればよかったな」
次の日の朝、固い床で寝たにもかかわらずスッキリと起きることができた。
リコス様が起きる時間もわからないので表に出て、用水路で顔を洗う。
「なんじゃ、ネリスはここじゃったか」
リコス様も起きたようだった。
しかし、ずいぶん眠そうな顔だし、目の下には薄っすらクマもある。
「あれ?眠れなかったんですか?」
「一睡もしておらんのじゃ」
「どうしてまた……」
その場に足を投げ出して座ると、ぼんやりしたまま話を続ける。
「ネリスのシャツを寝巻きにして寝たのじゃ。そうしたら、誰かの匂いと一緒に寝るのも素敵じゃと思えて……」
「あ、そういうの分かります」
「そしたら、だんだんドキドキして何もしなくてもトロトロになってしまったのじゃ」
眠くて意識が朦朧としてるのだろうか、昨日のリコス様なら走って逃げ出すような事を言っている。
「それで少しだけ触ってみたら気持ち良くなって、もう少しというとこで妾は気づいたのじゃ」
「何を?」
「イってしまったらシャツを破いてしまうことじゃ」
「ふむふむ」
「なので我慢したのじゃが、時間が経つとムラムラしてしまって」
「繰り返しているうちに朝になったんですね」
「ふぁーあ。そうじゃ、だから、眠くて……仕方ない……のじゃ?!」
どうやら少し目が覚めたのだろう、自分の発言を自覚したのか、全身真っ赤になっているのが分かる。
「全部忘れるのじゃー!!」
リコス様は洞窟へと消えていった。
僕はその場に座つて昨夜の話を考えることにした。
「国の復興だし、ここに城があるに越したことはないだけど、そんなもの作る技術はないよなあ」
「ネリス、朝ごはんなのじゃー」
今回は復帰が早いようだが、お腹が空いていたのか。
振り返ると、リコス様は昨日の猪の残りを持ってきてくれたようだが手の上に皿が二つ浮いているように見える。
「どうやってるんですか?それ」
「何度かネリスにかけた盾を手の上にかけてるのじゃ」
「そんなこともできるんですね。すごいなあ」
「そうじゃろ?いくらでも大きくできるから皿がいくつあっても平気じゃぞ!」
何かが引っ掛かった。
「例えばですが、100メートル四方なら?」
「大きさは平気じゃ。物によるがドラゴンの姿なら持ち上げることもできるじゃろ」
「城ってそのくらいサイズでありますよね?」
「持ってくるとは思いつかなんだわ。しかし、ゆっくり運ばぬと崩してしまいそうじゃ」
「そこは後で考えましょう。それより、どこからお借りするかです」
「確かに、いきなり城を持って行ったら揉めごとにしかならん」
二人で腕組みをして頭をひねる。
「奪っても恨まれないといえば、悪党あたりですかね」
「それなら、魔族側の麓に盗賊がおったような」
「じゃ、そこをいただいて持ってきましょう」
「とんでもない話じゃな」
「ホントですね」
僕たちは朝食を済ませ、リコス様にドラゴンに戻ってもらい飛んで向かう。
「リコス様、風で飛ばされそうです。落ちたら死にますよね」
「なら、保護の魔法をかけてやろう」
僕の体が緑の光に包まれる。
「これは?」
「周囲を魔力で固めて防御する魔法じゃ。ただし自分ではほとんど動けなくなるが妾に乗っているなら問題あるまい」
「なるほど、これは使えそうですね」
それから山肌に沿ってぐんぐん降りていくと遠くに小さな城が見えてくる。
「あれでしょうか?」
「そうじゃ、目立たぬようにここらで降りて、そこからは歩きじゃな」
森の中に降り立ち、リコス様にローブを着てもらう。動きにくいがシャツを取られたので僕もローブ姿だ。
「ペアルックという奴じゃな」
何か違う気もするが口は挟むまい。
「それよりも見つかるとまずいですか?」
「妾はこの辺りの魔族には目の敵にされていてな、見つかると面倒なことになるかもしれんのじゃ」
「覗きでもばれましたか?」
「違うわ。五百年ほど前に卑劣な領主がいたのでひと暴れしたのじゃ」
「あー、下手するとリコス様が悪いドラゴンにされているかもですね」
「その通りなのじゃ、国を滅ぼしかけた悪竜ということにされておる」
「ひどい話ですね」
話をしているうちに城の近くまで来た。
ぐるりと石塀に囲まれ見張らしき人影がいくつか歩いている。
塀の内側には塔や館が見えるため大半はそちらにいるんだろう。
「さて、どうやっていただくかですね」
「あそこで妾が暴れたら城を壊しそうだしの」
「じゃあ、なんとか離れたところまで引き寄せて一網打尽にしましょうか」
「そうじゃな。じゃあ、城の中の奴らは魔法で追い出すからネリスは囮になって正門前の広いところにおびき寄せてまいれ」
リコス様が乗り込ませる訳にもいかない。
それは分かる。
他には僕しかいない。
分かるのだけど。
「ざっと三十人ほどじゃな」
「分かるんですか?」
「ドラゴンだから熱を視る技を身につけておるのじゃ」
「よくわかりませんが凄いですね」
「あれくらいならなんとかなるじゃろ、煙幕の魔法で燻しだすので行ってこい」
トンと背中を押される。
「あの、僕は農夫ですよ?」
「それは聞いたのじゃ。危なくなったら城なんて吹き飛ばすつもりで魔法を使うから宝船に乗った気でいるのじゃ」
「最後が意味分かりませんが、そうまで言うなら行ってきます。リコス様の片腕ですしね」
二人で正門近くまで行くと、二手に分かれる。
リコス様は暴れやすいように離れたところへ、僕は正門へ。
僕が門の近くへ行くと中から人が出てくる。
軽くて動きやすそうな革鎧に身を包んでいる。
魔族側のヴェンデ国領だから魔族が出てくると思っていたけど、人族ばかりだ。
きっと、カステロス王国で犯罪を冒して逃げてきたんだろう。
「なんだテメェは」
「用がないなら身ぐるみ全部おいてけ」
「用があっても身ぐるみ剥いでやるけどな」
「違いねえ」
男たちの下品な笑いが響く。
奥から更に男が出てくる。
「おい!向こうに見えるローブのやつは、テメェの女か。チラッと見えただけだが、かなりの上物じゃねえか」
急に男たちが色めき立つ。
「魔法使いが二人か。他の奴らも呼べ!」
僕はすぐにでも動けるように身構える。
誰かが動いたとき。
煙幕
真っ黒な煙が城を包む。
リコス様の魔法だ。僕は息を大きく吸い込んで力の限り叫んだ。
「敵襲だ!正門からだぞ!」
館からも人が出てくるのを確認して脱兎の如くリコス様の方へ走る。
「舐めやがって」
武器を手にして男たちが追いかけてくる。
死ぬ気で走った。
しかし、ロープでは走りにくいし追いつかれそうになってしまう。
「魔術師なんて離れてないと何もできねぇよな。くたばれやぁっ!」
後ろからの声に振り返ると、一直線に槍が向かってくる。
貫かれて殺されると覚悟したとき。
「させんのじゃあああ」
リコス様の飛び横蹴りが相手の顎を捉える。
男の首があらぬ方向に曲がったまま崩れ落ちる。
「ここからは妾が相手なのじゃ」
リコス様は城に住みたいと言い出したが、そんなものが作れるはずもなく、揉めることになり結論は出ず、疲れた僕は結論を先送りにして寝させてもらうことにした。
寝ぼけたリコス様に潰されたくない僕は小部屋に、リコス様は自分の寝室ということにした。
添い寝というものにチャレンジしたそうだったが、疲れ果てた僕を見て大人しく寝室に行ってくれた。
僕は横になると意識を失うように眠りについた。
「あ、おやすみなさいくらい言ってあげればよかったな」
次の日の朝、固い床で寝たにもかかわらずスッキリと起きることができた。
リコス様が起きる時間もわからないので表に出て、用水路で顔を洗う。
「なんじゃ、ネリスはここじゃったか」
リコス様も起きたようだった。
しかし、ずいぶん眠そうな顔だし、目の下には薄っすらクマもある。
「あれ?眠れなかったんですか?」
「一睡もしておらんのじゃ」
「どうしてまた……」
その場に足を投げ出して座ると、ぼんやりしたまま話を続ける。
「ネリスのシャツを寝巻きにして寝たのじゃ。そうしたら、誰かの匂いと一緒に寝るのも素敵じゃと思えて……」
「あ、そういうの分かります」
「そしたら、だんだんドキドキして何もしなくてもトロトロになってしまったのじゃ」
眠くて意識が朦朧としてるのだろうか、昨日のリコス様なら走って逃げ出すような事を言っている。
「それで少しだけ触ってみたら気持ち良くなって、もう少しというとこで妾は気づいたのじゃ」
「何を?」
「イってしまったらシャツを破いてしまうことじゃ」
「ふむふむ」
「なので我慢したのじゃが、時間が経つとムラムラしてしまって」
「繰り返しているうちに朝になったんですね」
「ふぁーあ。そうじゃ、だから、眠くて……仕方ない……のじゃ?!」
どうやら少し目が覚めたのだろう、自分の発言を自覚したのか、全身真っ赤になっているのが分かる。
「全部忘れるのじゃー!!」
リコス様は洞窟へと消えていった。
僕はその場に座つて昨夜の話を考えることにした。
「国の復興だし、ここに城があるに越したことはないだけど、そんなもの作る技術はないよなあ」
「ネリス、朝ごはんなのじゃー」
今回は復帰が早いようだが、お腹が空いていたのか。
振り返ると、リコス様は昨日の猪の残りを持ってきてくれたようだが手の上に皿が二つ浮いているように見える。
「どうやってるんですか?それ」
「何度かネリスにかけた盾を手の上にかけてるのじゃ」
「そんなこともできるんですね。すごいなあ」
「そうじゃろ?いくらでも大きくできるから皿がいくつあっても平気じゃぞ!」
何かが引っ掛かった。
「例えばですが、100メートル四方なら?」
「大きさは平気じゃ。物によるがドラゴンの姿なら持ち上げることもできるじゃろ」
「城ってそのくらいサイズでありますよね?」
「持ってくるとは思いつかなんだわ。しかし、ゆっくり運ばぬと崩してしまいそうじゃ」
「そこは後で考えましょう。それより、どこからお借りするかです」
「確かに、いきなり城を持って行ったら揉めごとにしかならん」
二人で腕組みをして頭をひねる。
「奪っても恨まれないといえば、悪党あたりですかね」
「それなら、魔族側の麓に盗賊がおったような」
「じゃ、そこをいただいて持ってきましょう」
「とんでもない話じゃな」
「ホントですね」
僕たちは朝食を済ませ、リコス様にドラゴンに戻ってもらい飛んで向かう。
「リコス様、風で飛ばされそうです。落ちたら死にますよね」
「なら、保護の魔法をかけてやろう」
僕の体が緑の光に包まれる。
「これは?」
「周囲を魔力で固めて防御する魔法じゃ。ただし自分ではほとんど動けなくなるが妾に乗っているなら問題あるまい」
「なるほど、これは使えそうですね」
それから山肌に沿ってぐんぐん降りていくと遠くに小さな城が見えてくる。
「あれでしょうか?」
「そうじゃ、目立たぬようにここらで降りて、そこからは歩きじゃな」
森の中に降り立ち、リコス様にローブを着てもらう。動きにくいがシャツを取られたので僕もローブ姿だ。
「ペアルックという奴じゃな」
何か違う気もするが口は挟むまい。
「それよりも見つかるとまずいですか?」
「妾はこの辺りの魔族には目の敵にされていてな、見つかると面倒なことになるかもしれんのじゃ」
「覗きでもばれましたか?」
「違うわ。五百年ほど前に卑劣な領主がいたのでひと暴れしたのじゃ」
「あー、下手するとリコス様が悪いドラゴンにされているかもですね」
「その通りなのじゃ、国を滅ぼしかけた悪竜ということにされておる」
「ひどい話ですね」
話をしているうちに城の近くまで来た。
ぐるりと石塀に囲まれ見張らしき人影がいくつか歩いている。
塀の内側には塔や館が見えるため大半はそちらにいるんだろう。
「さて、どうやっていただくかですね」
「あそこで妾が暴れたら城を壊しそうだしの」
「じゃあ、なんとか離れたところまで引き寄せて一網打尽にしましょうか」
「そうじゃな。じゃあ、城の中の奴らは魔法で追い出すからネリスは囮になって正門前の広いところにおびき寄せてまいれ」
リコス様が乗り込ませる訳にもいかない。
それは分かる。
他には僕しかいない。
分かるのだけど。
「ざっと三十人ほどじゃな」
「分かるんですか?」
「ドラゴンだから熱を視る技を身につけておるのじゃ」
「よくわかりませんが凄いですね」
「あれくらいならなんとかなるじゃろ、煙幕の魔法で燻しだすので行ってこい」
トンと背中を押される。
「あの、僕は農夫ですよ?」
「それは聞いたのじゃ。危なくなったら城なんて吹き飛ばすつもりで魔法を使うから宝船に乗った気でいるのじゃ」
「最後が意味分かりませんが、そうまで言うなら行ってきます。リコス様の片腕ですしね」
二人で正門近くまで行くと、二手に分かれる。
リコス様は暴れやすいように離れたところへ、僕は正門へ。
僕が門の近くへ行くと中から人が出てくる。
軽くて動きやすそうな革鎧に身を包んでいる。
魔族側のヴェンデ国領だから魔族が出てくると思っていたけど、人族ばかりだ。
きっと、カステロス王国で犯罪を冒して逃げてきたんだろう。
「なんだテメェは」
「用がないなら身ぐるみ全部おいてけ」
「用があっても身ぐるみ剥いでやるけどな」
「違いねえ」
男たちの下品な笑いが響く。
奥から更に男が出てくる。
「おい!向こうに見えるローブのやつは、テメェの女か。チラッと見えただけだが、かなりの上物じゃねえか」
急に男たちが色めき立つ。
「魔法使いが二人か。他の奴らも呼べ!」
僕はすぐにでも動けるように身構える。
誰かが動いたとき。
煙幕
真っ黒な煙が城を包む。
リコス様の魔法だ。僕は息を大きく吸い込んで力の限り叫んだ。
「敵襲だ!正門からだぞ!」
館からも人が出てくるのを確認して脱兎の如くリコス様の方へ走る。
「舐めやがって」
武器を手にして男たちが追いかけてくる。
死ぬ気で走った。
しかし、ロープでは走りにくいし追いつかれそうになってしまう。
「魔術師なんて離れてないと何もできねぇよな。くたばれやぁっ!」
後ろからの声に振り返ると、一直線に槍が向かってくる。
貫かれて殺されると覚悟したとき。
「させんのじゃあああ」
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