【R-18】騎乗位でイケないドラゴンの片腕やってます

やみくもに

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第十五話 町での買い物ですね

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 翌日、僕は早起きして開墾を始めた。
 国とまではいえないけど、リコス様が怖がられることのない村くらいなら手助けできるかもしれない。

 とはいえ、ゴールが何であれ僕にできるのは農業だけ。
 出来ることを出来る限りやるしかない。

 農業は時間がかかる。今からやっておかないといけない。

「あ、ネリスがいたのじゃ」

 振り向くとリコス様とキシャーラさんがこっちに向かって歩いてきた。

「服がなくなりそうなので町に買い物に行くのじゃ」
「そういや、ここに住むにも必要なものが足りていないですね」
「なら、早速行くのじゃ」

 リコス様はさっさとドラゴンに戻ると、僕たちを頭に乗せて飛び上がった。

「ここから遠いんですか?」
「上から見ればすぐ見えてくるのじゃ」
「お、あれじゃないのか」

 キシャーラさんが森の中に町を見つけて指差す。

「あれじゃ、早速行くのじゃ」

 翼を広げると、一気に降下する。

「リコス様、速すぎですよー!」

 あっという間に町の上までやってくる。

「こんな近くまで来て平気なんですか?」
「この町だけは平気なのじゃ。以前の約束もあるしな」
「さて」

 リコス様が空中に止まり息を大きく吸い込むと。

 吠えた。
 生半可なものでなく、ドラゴンにふさわしい咆哮だった。

「また来たぞ」
「ひぃぃぃい」
「急げ、扉を閉めろ!」
「きゃあー」

 大騒ぎになっている。

「リコス様、いつも何をやらかしているんですか」
「何もしとらんのじゃ」

 そのまま着地すると
煙幕スモーク

 町中が煙で覆われる。

「こんな町中で使う魔法じゃないな」
「うるさいのじゃ、こうしないと丸見えになるのじゃ、ローブを早く出すのじゃ」

 煙が晴れ笑顔で歩き出す一行に近づいてくる五十代くらいの男性がいた。

「リコス様、えらくご機嫌な様子ですな。お連れ様がいるのも珍しい」
「服がなくなってしまったのじゃ。そして、こっちは妾の片腕のネリス。こっちはキシャーラじゃ」
「左様ですか。私は町長のラースです。まあ、ゆっくりしていってください」

 なんか笑顔が硬い気もするけど歓迎してくれるようだし、いろいろ見させてもらおう。

「さあ、早速服屋に行くのじゃ」

 改めて三人で歩き出す。

 僕も自分の村の外を見るのは初めてで何もかもが興味深い。

「ネリス、こんな町でお上りさん状態なのは恥ずかしいぞ」
「そりゃキシャーラさんは大きな街に住んでいたのかもしれませんど、僕は村から出たことないんですよ」

 珍しい景色を楽しみながら歩くが、町の人たちの様子が気になった。
 こっちの様子を伺っている感じだ。
 人の多い町だとこうなるのかな。

「ここからは服屋だらけじゃ」

 通りの左右が全て服屋だった。

「さすがですね」
「オレのいた街よりも多いかもな」

 ドレスにワンピース、シャツにスカート。
 選り取り見取りって奴だ。

 しかし、どの店に行ってもお代は後で結構だと言われる。町ってのはそういうシステムなのかな?

 山ほどの服を仕入れた後は食材や調理器具、生活用品なんかを買い込む。

「ずいぶん買い込みましたね」
「ああ、ちょっと買い込みすぎたかもな」
「オレたちは下着を買ってくるので広場で待っててくれ」
「分かりました」
「リコスには脱がせ甲斐のある奴を選ばなきゃな」
「な、な、何を言っておるのじゃ」

 騒がしいまま二人は離れて行った。

 僕が広場に戻ると町長さんがいた。

「ネリスと言ったかな?なぜ、あのドラゴンと一緒に?」
「いろいろありましたがリコス様の片腕ですから」
「よくやるもんだ」

 何かさっきとは雰囲気が違うな。

「それより、騒ぎになっていましたが、やはりリコス様が怖いですか?」
「あの騒ぎは違う。単に煙が洗濯物や食糧なんかが大変なことになるからだ」
「そういうことでしたか」

 案外拍子抜けだったけど、引っかかることを聞いた。

「それでも町中を歩いていたら、皆さんおっかなびっくりな感じでしたが?」

 ラーズ町長は何を言ってるんだという顔でこちらを見る。

「ドラゴンだぞ?怖くないはずがない」
「友好的に降りてきてませんか?」
「突然攻撃してこないと言い切れるのか?そもそも、我々人と同じ理屈で行動しているかも分からない」

 大丈夫だろうとは思えても、恐怖感は拭い切れていない感じですか。

「リコス様は善悪の基準も含めて、我々と非常に近いです。過去には悪徳領主を滅ぼしています」
「そういえば、そんな物語もあったな」

 僕はここに来た時のリコス様の言葉を思い出した。

「さきほど上空に来た時、この町だけはドラゴンの姿で平気だと言っていました」
「そわなことを……」
「それに、約束したと言ってましたよ」

 ラーズ町長は何のことだという顔をしていたが、突然、ハッと何かを思いついたした顔をする。

「ずいぶん昔の話だが、この町にドラゴンが来始めた頃の話だ」

「ある少年が生まれて初めて巨大な伝説と思っていたドラゴンを見た」

 町長は遠くの空を見た。

「幼く恐れを知らぬ少年は感動し、格好いいからこれからも飛んできて欲しいと頼んだ」
「ドラゴンはそれからも同じように来たが、少年は歳を重ね己の力を知ると、強大な力の持ち主に畏怖するようになっていった」

 僕は確信があったので続きを引き継いだ。

「そして、その少年はその町の町長になりましたとさ、ですね?」

 ラース町長はうなづいた。

「知っていたはずがないのに、なぜ?」
「やけに克明に話されていたので、そうではないかと思っただけです」

 少し沈黙が続いた。

「ネリス君は服屋を見たかね?」
「ええ。さすが町ですよね」
「いや、一度の買い物で町の収入数年分の宝石をこっそり置いて行ってくれるんだ、リコス様の服を作るのはこの町の最優先事項になっている」
「そのためにあんなに沢山の店があったのですね」
「今の町は、おそらく大丈夫だが怖いドラゴンが来て買い物をして行ってくれるから、ビクビクしながら愛想よくする感じだったと思う」

 ラース町長が年季の入った責任感ある目で僕を真っ直ぐにみる。

「これからは、リコス様が楽しく買い物をし、皆が心から歓迎できる町を目指すとするよ」
「なら、提案があります」
「何かな?」
「これからは訪れることが増えそうなので、町の入り口に高い塀で囲まれた着地場を作ってください。あの煙幕は変身ごの着替えを見られないためですから」

 予想外だったのか、町長は驚いてみせた。

「そんなことだったのか、早くに聞いてみればよかったよ」
「なら、ついでに『歓迎、リコス様』と書いた横断幕でも掲げておいてください。単純な人だから喜んでくれますよ」

 それはいいとラース町長も笑ってくれた。

「おーい、買い物は終わったのじゃー」

「お話はここまでですね。荷物が多くなったようなので、馬車を頼んでもいいですか。お代はたっぷり払っていますよね?」
「分かりました。手配してみます。では」

 僕たちは握手をして別れた。

「道を確認したいので、僕は馬車で帰ろうと思いますので、お二人は先に帰って、新しい服でも楽しんでください」
「分かったのじゃ」

 ウキウキしたリコス様とキシャーラさんは大量の服と共に飛び去って行った。
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