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第二章
第二話 バックアップサイト
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「みんな集まったか。
それじゃあ、ブリーフィングを始めるぞ。」
トウゴウさんが言った。
ブリーフィングはイチガヤにいる全員で行うルールになっている。
私たち星屑拾い7人、警備班5人、支援班3人、そして司令官のトウゴウさんと副司令官のキリュウさん。
指令補佐のクロダさんは、居住区に行っているらしく欠席だった。
「まず、昨日の報告をしてくれるか?」
「ああ、では俺から報告する。
結論を言うと、サンシャインシティの通信施設が使用されている可能性は低い。
それはロボットを一切見かけなかったことと、電気が通っている気配がなかったからだ。」
ジンが報告を始めた。
その後も、ジンの報告は朗報ばかりで、その場のほとんどが喜びや期待の気持ちで溢れている。
サンシャインシティに行った、私たちと隊長と、キリュウさんを除いて。
「そして、3Fに動物を見つけた。」
「動物?生きていたのか?」
「ああ、犬と猫だった。合わせると20匹ちょっとはいたんじゃないか?」
「こんな環境でも自然繁殖している個体がいるとはな、驚きだ。」
「この動物たちは飼育されていた。いや、支配されていた。」
「…………誰にだ?」
「一人だけ、人間が一緒に住んでいたよ。」
「なんと!そしてその人間は今どこにいる?」
「俺が射殺した。」
「なんだと!!」
トウゴウさんが机をたたき立ち上がった。
「いや、すまない。驚いてしまったようだ。怒るつもりは毛頭ないんだ。
ジン、理由があるのだろう。お前は理性的で人情に厚い。
何があったのか、聞かせてくれるか?」
「……………ああ。
人間を感知したとき、緊張はあったが俺も今のトウゴウさんと同じ感触を持っていたと思う。
ありのままに話すから、覚悟して聞いてくれ。」
これには私も覚悟する必要があるか。
何度も思い出したくない、忘れたくとも忘れられない記憶。
「……….。
そうか、それは辛かったな。
よくやってくれた。
なんと言葉をかけていいのか正直わからないが、ジンの判断は決して間違いではない。
その話にはおそらく正解などはない。
強いて言えば、ジンの意思で判断したことが正解だろう。」
「ああ、俺もそう思う。
この話は、ジンたちだけじゃない。
この場にいる全員が胸に刻まねばならないだろう。
そうすれば、俺たちが同じ過ちを繰り返すことはないはずだ。」
隊長が答えた。ノアと同じ内容だ。
そして、きっとみんなも同じ想いを持っていると思う、そう信じたい。
「とはいえ動物がいるとなると、無碍にするのは心苦しいな。
犬や猫と言っても、この世界を生きる同志だろう。
居住区で飼いたい気持ちもあるが、まず連れて帰るのは不可能だろうな。
「トウゴウさん、サンシャインシティをバックアップサイトにするのはどうですか?」
キリュウさんが聞いた。
バックアップサイト、また難しい言葉を使う。
「そうか、それはいいな。
サンシャインシティから大量の物資を持って帰るのは難しい。
代わりに、イチガヤに住めなくなったときのための代替拠点としよう。
このイチガヤもいつ襲撃されるかわからん。
住めるところは多いほうがいい。
定期的にサンシャインシティに赴き、居住区としての整備や清掃、それから動物の世話をしよう。
どうだみんな。」
トウゴウさんの言葉に、みんな頷いている。
まあ、私としても犬や猫に触りたかたし嬉しいかな。
でも、4Fに入るのはちょっとキツいかも。
「ところでジン、人間を感知したというのは、どういうことだ?」
トウゴウさんの問いに、ジンがこっちを見てくる。
やっちゃった、みたいな顔だ。
なんて情けない顔、もしかして、これがよわよわジン?
「私が見つけたんです。
アキラが発見した大量のナノマシンや保存食に、まだ新しい使用形跡がありました。」
「なるほど?それが感知か。」
感知はおかしいと思うけど、今はこれで切り抜けるしかない!
「あと、カンナにお土産も持ち帰りました。
近いうちに居住区に行く予定です。」
「そうか、それは喜ぶだろうな。カンナはまさに、私たちの希望だ。
私もカンナが喜んでいる姿が見たいよ。」
トウゴウさんはニコニコしている。
さすがカンナ、ちょっとした危機くらいは切り抜けてくれる。
「居住区の話がでたからついでだが、私からも報告がある。
今、クロダが居住区に行っている理由なんだが、昨日に自殺者が出たらしい。
状況を確認してくれているので、これはまた明日のブリーフィングで共有しよう。」
自殺者か、久しぶりだな。
悲しいけど、こんな世界では生きていけない人もいる。
私もゴーストで活動していなかったら、そうなっていたかもしれないと感じることはあった。
特に、居住区の人は外出が制限されているから、私たちのように外の世界を見られないし、生きている意味を見つけるのは難しいかもしれない。
私たちは危険な任務をしなきゃならないけど、それでも仲間がいるから生きていける。
居住区の人たちは守られて生きているから、自己肯定感も低くなるんだってヨシダさんも言ってたっけ。
「まあ、そういうわけだが、今回の調査が成功したことを居住区にも伝えて欲しい。
ゴーストのメンバーが直接伝えるほうがいいだろう。
今回の調査ではよく活躍してくれた。
一週間の休暇にしよう、各々好きにしてくれ。
すまないが、外出は交代で、全員がいなくならないようにして欲しい。
あと、サンシャインシティに行く頻度についても、少し話し合っておいてくれるとありがたい。」
「わかりました。」
隊長が答える。
「よし、じゃあブリーフィングは終わりにしよう。
みんなご苦労だった。」
そうして、各々退出していった。
星屑拾いは外出計画を相談するため、そのまま残った。
外出といっても、居住区に行くか、コーラクエンに行くしか選択肢はないのだけども。
それじゃあ、ブリーフィングを始めるぞ。」
トウゴウさんが言った。
ブリーフィングはイチガヤにいる全員で行うルールになっている。
私たち星屑拾い7人、警備班5人、支援班3人、そして司令官のトウゴウさんと副司令官のキリュウさん。
指令補佐のクロダさんは、居住区に行っているらしく欠席だった。
「まず、昨日の報告をしてくれるか?」
「ああ、では俺から報告する。
結論を言うと、サンシャインシティの通信施設が使用されている可能性は低い。
それはロボットを一切見かけなかったことと、電気が通っている気配がなかったからだ。」
ジンが報告を始めた。
その後も、ジンの報告は朗報ばかりで、その場のほとんどが喜びや期待の気持ちで溢れている。
サンシャインシティに行った、私たちと隊長と、キリュウさんを除いて。
「そして、3Fに動物を見つけた。」
「動物?生きていたのか?」
「ああ、犬と猫だった。合わせると20匹ちょっとはいたんじゃないか?」
「こんな環境でも自然繁殖している個体がいるとはな、驚きだ。」
「この動物たちは飼育されていた。いや、支配されていた。」
「…………誰にだ?」
「一人だけ、人間が一緒に住んでいたよ。」
「なんと!そしてその人間は今どこにいる?」
「俺が射殺した。」
「なんだと!!」
トウゴウさんが机をたたき立ち上がった。
「いや、すまない。驚いてしまったようだ。怒るつもりは毛頭ないんだ。
ジン、理由があるのだろう。お前は理性的で人情に厚い。
何があったのか、聞かせてくれるか?」
「……………ああ。
人間を感知したとき、緊張はあったが俺も今のトウゴウさんと同じ感触を持っていたと思う。
ありのままに話すから、覚悟して聞いてくれ。」
これには私も覚悟する必要があるか。
何度も思い出したくない、忘れたくとも忘れられない記憶。
「……….。
そうか、それは辛かったな。
よくやってくれた。
なんと言葉をかけていいのか正直わからないが、ジンの判断は決して間違いではない。
その話にはおそらく正解などはない。
強いて言えば、ジンの意思で判断したことが正解だろう。」
「ああ、俺もそう思う。
この話は、ジンたちだけじゃない。
この場にいる全員が胸に刻まねばならないだろう。
そうすれば、俺たちが同じ過ちを繰り返すことはないはずだ。」
隊長が答えた。ノアと同じ内容だ。
そして、きっとみんなも同じ想いを持っていると思う、そう信じたい。
「とはいえ動物がいるとなると、無碍にするのは心苦しいな。
犬や猫と言っても、この世界を生きる同志だろう。
居住区で飼いたい気持ちもあるが、まず連れて帰るのは不可能だろうな。
「トウゴウさん、サンシャインシティをバックアップサイトにするのはどうですか?」
キリュウさんが聞いた。
バックアップサイト、また難しい言葉を使う。
「そうか、それはいいな。
サンシャインシティから大量の物資を持って帰るのは難しい。
代わりに、イチガヤに住めなくなったときのための代替拠点としよう。
このイチガヤもいつ襲撃されるかわからん。
住めるところは多いほうがいい。
定期的にサンシャインシティに赴き、居住区としての整備や清掃、それから動物の世話をしよう。
どうだみんな。」
トウゴウさんの言葉に、みんな頷いている。
まあ、私としても犬や猫に触りたかたし嬉しいかな。
でも、4Fに入るのはちょっとキツいかも。
「ところでジン、人間を感知したというのは、どういうことだ?」
トウゴウさんの問いに、ジンがこっちを見てくる。
やっちゃった、みたいな顔だ。
なんて情けない顔、もしかして、これがよわよわジン?
「私が見つけたんです。
アキラが発見した大量のナノマシンや保存食に、まだ新しい使用形跡がありました。」
「なるほど?それが感知か。」
感知はおかしいと思うけど、今はこれで切り抜けるしかない!
「あと、カンナにお土産も持ち帰りました。
近いうちに居住区に行く予定です。」
「そうか、それは喜ぶだろうな。カンナはまさに、私たちの希望だ。
私もカンナが喜んでいる姿が見たいよ。」
トウゴウさんはニコニコしている。
さすがカンナ、ちょっとした危機くらいは切り抜けてくれる。
「居住区の話がでたからついでだが、私からも報告がある。
今、クロダが居住区に行っている理由なんだが、昨日に自殺者が出たらしい。
状況を確認してくれているので、これはまた明日のブリーフィングで共有しよう。」
自殺者か、久しぶりだな。
悲しいけど、こんな世界では生きていけない人もいる。
私もゴーストで活動していなかったら、そうなっていたかもしれないと感じることはあった。
特に、居住区の人は外出が制限されているから、私たちのように外の世界を見られないし、生きている意味を見つけるのは難しいかもしれない。
私たちは危険な任務をしなきゃならないけど、それでも仲間がいるから生きていける。
居住区の人たちは守られて生きているから、自己肯定感も低くなるんだってヨシダさんも言ってたっけ。
「まあ、そういうわけだが、今回の調査が成功したことを居住区にも伝えて欲しい。
ゴーストのメンバーが直接伝えるほうがいいだろう。
今回の調査ではよく活躍してくれた。
一週間の休暇にしよう、各々好きにしてくれ。
すまないが、外出は交代で、全員がいなくならないようにして欲しい。
あと、サンシャインシティに行く頻度についても、少し話し合っておいてくれるとありがたい。」
「わかりました。」
隊長が答える。
「よし、じゃあブリーフィングは終わりにしよう。
みんなご苦労だった。」
そうして、各々退出していった。
星屑拾いは外出計画を相談するため、そのまま残った。
外出といっても、居住区に行くか、コーラクエンに行くしか選択肢はないのだけども。
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