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第五章
第二話
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私は作戦を考案した。
偵察機を捕獲し、エグザスの内部にアクセスする。
その中に眠るデータから人類の希望、ひいてはユイの残した痕跡を探そうとした。
ガイはその作戦を了承してくれが、懸念があるようだ。
「通信装置を使った場合、エグザスに探知されることはわかっている。
エグザスの内部にアクセスすれば、それはこちらの居場所をさらすことにならないか?」
「おそらく、それは回避できるはずだ。
エグザスの通信範囲内でアクセスすればハッキングが検出されるだろう。
だが、通信範囲外であれば、その情報を中枢ネットワークに共有することはできない。
中枢ネットワークとは接続ができなくなるんだ。
エグザスはその課題を解消するために、すべての機体に高度なエッジコンピューティングを施している。
通信範囲外でも自立した行動がとれるようになった、その技術の穴を突く。」
「少し難しいが、ノアがそういうなら大丈夫なのだろうな。」
この作戦には、ガイの懸念のほかに、技術的な課題もあった。
エグザスの通信エリアの範囲が不明であること。
ドローン機の捕獲は困難であること。
エグザスを破壊してはハッキングができないこと。
そのほかにもいくらかの細かい課題はあるが、これら3つをクリアすればどうにかなるだろう。
そして、今までの経験から、ある程度の予測は立っていた。
ドローンがサンシャインシティ周辺で、規則的な飛行をしていること。
これは自立回路による判断だろう。
イケブクロより西にいたドローンは、そこまで規則的な飛行はしていなかった。
通信範囲内外での挙動には差が出ることが推測できる。
そして、犬型偵察機をターゲットにすること。
これはやむを得ないが、ヒューマノイドを捕獲するより難易度は低い。
犬型偵察機はドローンより活動範囲が狭いため、捕獲がドローンの活動範囲内で行う必要があることがネックだった。
最後に、単なる破壊ではなく、機能を停止させたうえで、生きて捕獲する必要があること。
どこを破壊すれば無力化できるか不明であるが、シンジュクを調査すれば先の戦いで破壊されている犬型偵察機が見つかるだろう。
これを確認すれば、どう対応する必要があるか、おおよその検討はつく。
ひとまず、これらを確認するために行動に移すことにした。
私は犬用偵察機の行動を調べた。
シンジュクには時たま出現するが、おおよそ規則性のある行動をすることが確認できた。
それはドローンと違い、瓦礫の山を歩いて偵察する制約上、細かな挙動は違うが、どこからやってきてどこに向かうかという、周回ルートには同一性が見られる。
シンジュクからもうしばらく西に行った地点では、まるで生きているかのように不規則な動きをする個体が多くみられた。
シンジュクで捕獲することが好ましいという結論だ。
サキとガイがシンジュクの瓦礫の中から比較的保存状態の良いサンプルを持って帰ってくれた。
解体するに、コアは頭部、制御系回路は背中、動力系回路は胸にあった。
動力やコアを潰すと、もうハッキングは難しいだろう。
背中を破壊して、動きを止めるしかない。
これは、犬型偵察機が正面から嚙みつきに来る動作に対して、難易度が高い。
これはガイが、誰かを囮にして、その陰から背中を叩くという作戦を立案してくれた。
ここまで調べ上げるのに29日が掛かった。
灰の世界では気温が低い。
雪こそ降らないらしいが、屋外での活動は底冷えする。
普段は冬の活動は消極的らしいが、私のわがままに付き合ってくれたゴーストには感謝しかない。
この作戦は来週に実行に移すことになった。
それから10日後、ついにシンジュクに犬型偵察機が現れた。
予測通り1機で、ロータリーの南側から登場だ。
そしてそれはロータリーの北側を抜けて消えていく。
ロータリーにはサキが経っており、ロータリー直前の地下への出入り口付近にガイが待機している。
サキまで走っていく姿を確認しだい、不意を打ち背中を破壊する。
その途中にはアキラも待機しており、ガイが捕獲できなかった場合はアキラの役目だ。
どちらも捕獲できなかった場合、サキが破壊する役目を持つ。
サキの身を危険にさらすわけにはいかないので、サキの目的は捕獲ではなく破壊になった。
今回失敗しても、また次の機会で捕獲すればいい。
私は、犬型偵察機に確認された場合、予想外の挙動をする可能性を考慮し、少し離れたところで待機している。
そして、この作戦はガイが捕獲して、一瞬のうちに終わった。
私は皆に駆け寄り、物陰の近くに移動するよう伝えた。
全員で確認しているが、確かに綺麗に制御系のみ破壊され、動きは無効かされているが機能は生きていることが確認できる。
「すごいな、隊長。
俺の活躍を残してくれてもよかったのに。」
「まさか、たまたまだ。
みなを危険にさらしたくはなかったが、思いのほか簡単に成功してよかった。
ノア、ハッキングは可能か?」
「ああ、やはりここはエグザスの圏外らしい。
すぐにハッキングして終わらせよう。」
そうしてデータの海に飛び込んだ。
多くのデータが確認できる。
やはり周回ルートが設定されており、それをエッジコンピューティングで補正しながら偵察している。
どうやら人間を発見した場合は、抹殺が優先されるようだ。
これなら偵察後に、通信県内に戻り応援を呼ぶ心配もない。
思っていた以上に情報が入手でき、人類の生存可能性も向上させることができるだろう。
そして、大きな情報を見つけた。
「ガイ、エグザスの通信基地局はナカノ、ブロードウェイにある!」
「ほんとか!ノアの推理は正しかったようだな。」
「ああ、通信記録がガッツリ残っている。
これを破壊できれば、シンジュク方面にくる偵察機も数を減らせるだろう。」
「そうか、それは価値のある情報だ、イチガヤにも報告しよう。」
そうして、ユイの手がかりを探そうとしたとき、サキが何かを見つけた。
「あぶないっっ!!!!」
サキはそう叫び、ガイを突き飛ばした。
乾いた音がサキの肩を貫いていた。
それはまさに、ガイの心臓の位置。
犬型偵察機はエグザスの通信範囲外からも通信を行っていた。
アドホックネットワークによる端末同士の通信によって。
そこには、3体のヒューマノイドが佇んでいた。
偵察機を捕獲し、エグザスの内部にアクセスする。
その中に眠るデータから人類の希望、ひいてはユイの残した痕跡を探そうとした。
ガイはその作戦を了承してくれが、懸念があるようだ。
「通信装置を使った場合、エグザスに探知されることはわかっている。
エグザスの内部にアクセスすれば、それはこちらの居場所をさらすことにならないか?」
「おそらく、それは回避できるはずだ。
エグザスの通信範囲内でアクセスすればハッキングが検出されるだろう。
だが、通信範囲外であれば、その情報を中枢ネットワークに共有することはできない。
中枢ネットワークとは接続ができなくなるんだ。
エグザスはその課題を解消するために、すべての機体に高度なエッジコンピューティングを施している。
通信範囲外でも自立した行動がとれるようになった、その技術の穴を突く。」
「少し難しいが、ノアがそういうなら大丈夫なのだろうな。」
この作戦には、ガイの懸念のほかに、技術的な課題もあった。
エグザスの通信エリアの範囲が不明であること。
ドローン機の捕獲は困難であること。
エグザスを破壊してはハッキングができないこと。
そのほかにもいくらかの細かい課題はあるが、これら3つをクリアすればどうにかなるだろう。
そして、今までの経験から、ある程度の予測は立っていた。
ドローンがサンシャインシティ周辺で、規則的な飛行をしていること。
これは自立回路による判断だろう。
イケブクロより西にいたドローンは、そこまで規則的な飛行はしていなかった。
通信範囲内外での挙動には差が出ることが推測できる。
そして、犬型偵察機をターゲットにすること。
これはやむを得ないが、ヒューマノイドを捕獲するより難易度は低い。
犬型偵察機はドローンより活動範囲が狭いため、捕獲がドローンの活動範囲内で行う必要があることがネックだった。
最後に、単なる破壊ではなく、機能を停止させたうえで、生きて捕獲する必要があること。
どこを破壊すれば無力化できるか不明であるが、シンジュクを調査すれば先の戦いで破壊されている犬型偵察機が見つかるだろう。
これを確認すれば、どう対応する必要があるか、おおよその検討はつく。
ひとまず、これらを確認するために行動に移すことにした。
私は犬用偵察機の行動を調べた。
シンジュクには時たま出現するが、おおよそ規則性のある行動をすることが確認できた。
それはドローンと違い、瓦礫の山を歩いて偵察する制約上、細かな挙動は違うが、どこからやってきてどこに向かうかという、周回ルートには同一性が見られる。
シンジュクからもうしばらく西に行った地点では、まるで生きているかのように不規則な動きをする個体が多くみられた。
シンジュクで捕獲することが好ましいという結論だ。
サキとガイがシンジュクの瓦礫の中から比較的保存状態の良いサンプルを持って帰ってくれた。
解体するに、コアは頭部、制御系回路は背中、動力系回路は胸にあった。
動力やコアを潰すと、もうハッキングは難しいだろう。
背中を破壊して、動きを止めるしかない。
これは、犬型偵察機が正面から嚙みつきに来る動作に対して、難易度が高い。
これはガイが、誰かを囮にして、その陰から背中を叩くという作戦を立案してくれた。
ここまで調べ上げるのに29日が掛かった。
灰の世界では気温が低い。
雪こそ降らないらしいが、屋外での活動は底冷えする。
普段は冬の活動は消極的らしいが、私のわがままに付き合ってくれたゴーストには感謝しかない。
この作戦は来週に実行に移すことになった。
それから10日後、ついにシンジュクに犬型偵察機が現れた。
予測通り1機で、ロータリーの南側から登場だ。
そしてそれはロータリーの北側を抜けて消えていく。
ロータリーにはサキが経っており、ロータリー直前の地下への出入り口付近にガイが待機している。
サキまで走っていく姿を確認しだい、不意を打ち背中を破壊する。
その途中にはアキラも待機しており、ガイが捕獲できなかった場合はアキラの役目だ。
どちらも捕獲できなかった場合、サキが破壊する役目を持つ。
サキの身を危険にさらすわけにはいかないので、サキの目的は捕獲ではなく破壊になった。
今回失敗しても、また次の機会で捕獲すればいい。
私は、犬型偵察機に確認された場合、予想外の挙動をする可能性を考慮し、少し離れたところで待機している。
そして、この作戦はガイが捕獲して、一瞬のうちに終わった。
私は皆に駆け寄り、物陰の近くに移動するよう伝えた。
全員で確認しているが、確かに綺麗に制御系のみ破壊され、動きは無効かされているが機能は生きていることが確認できる。
「すごいな、隊長。
俺の活躍を残してくれてもよかったのに。」
「まさか、たまたまだ。
みなを危険にさらしたくはなかったが、思いのほか簡単に成功してよかった。
ノア、ハッキングは可能か?」
「ああ、やはりここはエグザスの圏外らしい。
すぐにハッキングして終わらせよう。」
そうしてデータの海に飛び込んだ。
多くのデータが確認できる。
やはり周回ルートが設定されており、それをエッジコンピューティングで補正しながら偵察している。
どうやら人間を発見した場合は、抹殺が優先されるようだ。
これなら偵察後に、通信県内に戻り応援を呼ぶ心配もない。
思っていた以上に情報が入手でき、人類の生存可能性も向上させることができるだろう。
そして、大きな情報を見つけた。
「ガイ、エグザスの通信基地局はナカノ、ブロードウェイにある!」
「ほんとか!ノアの推理は正しかったようだな。」
「ああ、通信記録がガッツリ残っている。
これを破壊できれば、シンジュク方面にくる偵察機も数を減らせるだろう。」
「そうか、それは価値のある情報だ、イチガヤにも報告しよう。」
そうして、ユイの手がかりを探そうとしたとき、サキが何かを見つけた。
「あぶないっっ!!!!」
サキはそう叫び、ガイを突き飛ばした。
乾いた音がサキの肩を貫いていた。
それはまさに、ガイの心臓の位置。
犬型偵察機はエグザスの通信範囲外からも通信を行っていた。
アドホックネットワークによる端末同士の通信によって。
そこには、3体のヒューマノイドが佇んでいた。
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