きみがヒトと呼んだ、鉄屑に

lifinside

文字の大きさ
21 / 25
第五章

第三話

しおりを挟む
犬型偵察機は、近距離にいる端末と通信し、人類を見つけたことを中枢ネットワークに伝えていた。
その人数、3人。
それによる、ヒューマノイドの応援が来ていたのだ。
まさしく私の失態、あまりにも拙い策略の成れの果て。
私の作戦は、作戦を達成するための思考に寄りすぎて、リスクを見落としていた。
エグザスは超知能だ、それくらいは簡単にわかったはずなのに。

「全員、隠れろ!!」
ガイの声が響く。

私とガイ、サキが近くの物陰に隠れたが、アキラは逆方向の物陰に隠れ、分断してしまった。
「……隊長。」
「すまないサキ、俺が警戒を怠ったばかりに。」
サキは首を横に振った。
銃弾は極めて悪い場所に命中している。
おそらく鎖骨下動脈を損傷している、出血量がひどい、これでは,,,,,。

「ノア!報告!!」
ガイの声に我に返る。

「サキ、負傷!
 おそらく鎖骨下動脈を損傷、生存可能時間およそ10分。
 敵はヒューマノイド3体を確認。
 サキを除いた戦闘評価、勝率71.8%。
 ですがアキラが離れていることもあり、味方の被害は甚大になると思われます。
 サキを連れた逃走可能性は0%、ですが私が…………。」
「わかった、ノア。お前はサキを連れて帰れ!」
「………!? しかし、」
「早くいけ、アキラも逃がす。
 俺が囮になり逃走時間を稼ぐ!」
私は何も言えなかった、ガイを見捨てて逃げるのか?
ユイなら………。

「いけーーーーー!!」
そう叫びガイはヒューマノイドの視界にあえて入った。
ヒューマノイドはガイを目標に認識し、それを追い、銃を放っている。
クソッ!!

私はサキを抱きかかえ、全力で走った。
後方からガイの雄たけびが聞こえる。
いや、これは受傷した声じゃない、鼓舞か?それともアキラを逃がすための陽動?

ここからならギョエンまで1kmだ、サキを抱えていても7分はかからない。
これならサキは間に合うだろう。
ガイがヒューマノイドを3体相手に、一人で10分以上も耐えられるか?
いや、無駄だ、今は全力でサキを救助し、全力でガイの応援に行く、それだけ。

アキラが追いついた。
「ノア、俺が周囲を警戒するから全力で走れ。」
「任せた。」
そういってスピードを上げる。
今日ほどアンドロイドで良かったと思ったことはない。

ギョエンが見えた、しかし体育館までは遠い。
せめて西側に居住区が合ってくれていたら………。
「ノア、池にサキを入れるのはダメか?
 この水もナノマシンなんだろ?そのまま入れば癒せないか?」
それだ、池の水はナノマシンのおかげで飲めると聞いた。
しかし、ギョエン全体にナノマシンを張り巡らせる構造など、並みの工事では済まない。
やはり、エグザス誕生前に予測されていたとしか。
生体ナノマシンが適合しなかった場合は、それこそ……………。
私はサキと共に池に飛び込んだ。

その瞬間、天啓に撃たれた。
この未来を予測した人物は、エグザス誕生前に施設を整備した。
そして、それに合うようにナノマシンや核発電機の仕様を調整し、エグザスに作らせたんだ………。
これが、エグザスを欺く、最強の手札。
まさか、ユイがこれを??

一瞬、放心してしまったが、すぐに池から顔を出す。
「ノア!」
アキラの声に、サキを見た。
肩の傷が塞がり始めている、出血は止まったようだ。
体の細胞に変わり、傷を癒す脅威の技術。
これをエグザスに作らせるには、高度な医療知識が必要になる。
サキは目を覚まさない。

「………ん。」
しばらくして、池の中で支えていたサキが気付いた。

「サキ!」
「う、私は。」
「大丈夫か、出血量が多い、安静にしていろ。
 もうしばらく池にいれば傷が癒える、そうしたらアキラと居住区に隠れていろ。」
「…………隊長は!?!」
「ガイは一人で戦っている、私は応援に行く。」
「ダメ、私も行く!」
「……なにを言って?その出血量では無理だ!
「そんなことは、ない!」
そう言って私の手を振りほどき、サキは駆け出した。
傷はいえたが、完治してはいない。
過度な運動でまた損傷する可能性は十分ある。
それに、出血量も。

「ノア、こうなったら姫様を助けるしかねえぞ!いそげ!」
アキラも追いかけていった。
ガイが命を懸けて逃がしたのに、また戻るのか?
それはガイの気持ちを踏みにじって…………。

いや、私がすべてを守り、制圧すればいいだけだ。
仲間を見捨てる選択肢を捨てさせるわけにはいかない。
ユイを守れなかった日を思い出した、もうこれ以上、誰も失いたくはない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...