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第六章
第一話
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第一話
シンジュクに走っていた。
サキに追いついた私とアキラは走りながら会話する。
「アキラ、私とサキは池に入った。
弾丸は濡れ、銃は使えない。」
「うわ、まずいな。」
「ああ、だからシンジュクに着いたら慎重に行動する。
まだヒューマノイドが残っていた場合、最悪は撤退だ。
いいな、サキ。」
「…………。」
サキは何も言わなかったが、ガイが助けた命であることは理解しているようだった。
そのガイを助けたのは、まぎれもなくサキなのだが、それが深い傷を残している。
シンジュクに着いた。
戦闘をしている音は聞こえない、慎重にあたりを警戒しつつ、前へ進む。
「ガイがいない。」
「そうだな、アキラはどう思う?」
「俺たちを逃がそうとしたんだ、ギョエンとは逆方向に移動しながら戦ったんじゃないか?」
「そうだな、そっちに進もう。」
しばらく北に向かい、ついにガイを発見した。
「ガイ!」
サキがうつ伏せで倒れているガイに向かって走る。
私は何か、違和感を受ける。
サキがガイの体を起こそうとしたとき、それを静止した。
「待ってくれサキ!」
不意に叫んだ私にサキは驚く。
「何かが、おかしい。」
「どういう意味?」
「いや、わからない。理屈じゃないんだ。」
そう言って、ガイを見る。
既に亡骸となったガイは、ヒューマノイドの顔にかぶさるように倒れていた。
ヒューマノイドには、胸に日本刀が刺さっており、動きは停止している。
「アキラ、サキ、すまないが周囲を警戒していてくれ。
エグザスがいた場合、即刻この場を離れる。」
「了解!」
そう言って私はガイの確認を始めた。
ヒューマノイドは3体いたはずだ。
なぜガイは日本刀で戦っていた?
それに、ヒューマノイドの体には斬撃の跡がない。
まるで、胸を刺せば動きが停止することを分かっていたかのような。
日本刀を抜きとり、その場所を確認した。
そこには制御回路があった。
これは犬型偵察機を確認したときと同じだ。
このヒューマノイドは、まだ生きている。
そして、ヒューマノイドの手のそばに落ちているナイフを見つけた。
ヒューマノイドは銃を使っていたはずだが、銃は持っていない。
倒れた後にナイフを落としたかのような位置にナイフが落ちている。
なぜヒューマノイドはナイフで戦っていた?
ヒューマノイドを調べようとしたとき、血の跡に気付く。
ガイの血だが、まるでヒューマノイドまで這いずったような跡だ。
ガイは背中から心臓の位置を綺麗に撃ち抜かれている。
この状況で、倒れた後にヒューマノイドまで2m近くを這ったのか?
心臓が止まってなお、動いたと推測されるガイを見て、私は言った。
「ガイは私たちに何かを残そうとしていた。」
「それは何?」
「わからない、ヒューマノイドをハッキングする。」
「そしたらまた敵が来るんじゃ?」
「ああ、来るかもしれない、エグザスを確認次第、すぐに伝えて欲しい。」
そうして、倒れているヒューマノイドにアクセスする。
「………?!
個体間通信機能がオフになっている!」
ここはエグザスの通信圏外であることは間違いない、なのにその機能は停止していた。
ヒューマノイドのログには、無数のエラーが流れていた。
今なお増え続けるエラーのせいで、ログは確認できなかった。
犬型偵察機のエラー出力量を大きく上回る。
私がサキを抱え、ガイと離別した時刻を確認し、そこからログを追うことにした。
「…………ステガマリ?」
ヒューマノイドは、ガイの取った行動をステガマリと分析していた。
それは古くから使用される、決死の覚悟で敵を足止めし、味方の退却時間を稼ぐ戦法。
いや、戦法とは呼べない、人間の執念による仲間への祈り。
敵はその執念を見て、畏敬の念を感じ、追撃を断念するという。
そして、ステガマリを確認したのちに、この青年を助けたいという思考も確認した。
人間を殺戮するヒューマノイドが、ガイに協力する決断をしていた。
「ノア、まずい!ドローンが見える!」
その瞬間、アキラが肩を叩き私に伝えた。
「すぐに撤収する、ガイは私が担ごう。」
そうしてガイを持ち上げた時、ガイの下に生えていた雑草を見つけた。
私はこの雑草をヒューマノイドの上に置き、その場を後にした。
≪………ありがとう、ノア………。≫
一瞬何かが頭に響いた!
瓦礫に身を隠しつつギョエン近くまで戻った時、ドローンは見えなくなっていた。
まだ私たちを感知していなかったか、もしくはうまく撒けたか。
「ねえノア、どうしてガイを殺したロボットに草を渡したの?」
ああ、間違いない。
サキは怒りと憎しみに満ちている。
口調こそ冷静だが、声色には多くの激情が宿っていた。
「………ガイを助けたいという思考記録を確認した。」
「どういうこと?」
「いや、わからない。
ただ、あのヒューマノイドはガイを助けようとしていた。
それがなぜだかはわからなかった。」
「じゃあ、なんでガイは死んだの!!」
サキの問いに答えられない。
「落ちつけ、サキ。ノアを責めても仕方ないだろ。」
「…………。」
そこからは一言も話すことがなく、イチガヤまでたどり着いた。
私はそこで別れを告げ、コーラクエンに戻る。
ガイが命を懸けて残したものを、私は理解する必要があった。
シンジュクに走っていた。
サキに追いついた私とアキラは走りながら会話する。
「アキラ、私とサキは池に入った。
弾丸は濡れ、銃は使えない。」
「うわ、まずいな。」
「ああ、だからシンジュクに着いたら慎重に行動する。
まだヒューマノイドが残っていた場合、最悪は撤退だ。
いいな、サキ。」
「…………。」
サキは何も言わなかったが、ガイが助けた命であることは理解しているようだった。
そのガイを助けたのは、まぎれもなくサキなのだが、それが深い傷を残している。
シンジュクに着いた。
戦闘をしている音は聞こえない、慎重にあたりを警戒しつつ、前へ進む。
「ガイがいない。」
「そうだな、アキラはどう思う?」
「俺たちを逃がそうとしたんだ、ギョエンとは逆方向に移動しながら戦ったんじゃないか?」
「そうだな、そっちに進もう。」
しばらく北に向かい、ついにガイを発見した。
「ガイ!」
サキがうつ伏せで倒れているガイに向かって走る。
私は何か、違和感を受ける。
サキがガイの体を起こそうとしたとき、それを静止した。
「待ってくれサキ!」
不意に叫んだ私にサキは驚く。
「何かが、おかしい。」
「どういう意味?」
「いや、わからない。理屈じゃないんだ。」
そう言って、ガイを見る。
既に亡骸となったガイは、ヒューマノイドの顔にかぶさるように倒れていた。
ヒューマノイドには、胸に日本刀が刺さっており、動きは停止している。
「アキラ、サキ、すまないが周囲を警戒していてくれ。
エグザスがいた場合、即刻この場を離れる。」
「了解!」
そう言って私はガイの確認を始めた。
ヒューマノイドは3体いたはずだ。
なぜガイは日本刀で戦っていた?
それに、ヒューマノイドの体には斬撃の跡がない。
まるで、胸を刺せば動きが停止することを分かっていたかのような。
日本刀を抜きとり、その場所を確認した。
そこには制御回路があった。
これは犬型偵察機を確認したときと同じだ。
このヒューマノイドは、まだ生きている。
そして、ヒューマノイドの手のそばに落ちているナイフを見つけた。
ヒューマノイドは銃を使っていたはずだが、銃は持っていない。
倒れた後にナイフを落としたかのような位置にナイフが落ちている。
なぜヒューマノイドはナイフで戦っていた?
ヒューマノイドを調べようとしたとき、血の跡に気付く。
ガイの血だが、まるでヒューマノイドまで這いずったような跡だ。
ガイは背中から心臓の位置を綺麗に撃ち抜かれている。
この状況で、倒れた後にヒューマノイドまで2m近くを這ったのか?
心臓が止まってなお、動いたと推測されるガイを見て、私は言った。
「ガイは私たちに何かを残そうとしていた。」
「それは何?」
「わからない、ヒューマノイドをハッキングする。」
「そしたらまた敵が来るんじゃ?」
「ああ、来るかもしれない、エグザスを確認次第、すぐに伝えて欲しい。」
そうして、倒れているヒューマノイドにアクセスする。
「………?!
個体間通信機能がオフになっている!」
ここはエグザスの通信圏外であることは間違いない、なのにその機能は停止していた。
ヒューマノイドのログには、無数のエラーが流れていた。
今なお増え続けるエラーのせいで、ログは確認できなかった。
犬型偵察機のエラー出力量を大きく上回る。
私がサキを抱え、ガイと離別した時刻を確認し、そこからログを追うことにした。
「…………ステガマリ?」
ヒューマノイドは、ガイの取った行動をステガマリと分析していた。
それは古くから使用される、決死の覚悟で敵を足止めし、味方の退却時間を稼ぐ戦法。
いや、戦法とは呼べない、人間の執念による仲間への祈り。
敵はその執念を見て、畏敬の念を感じ、追撃を断念するという。
そして、ステガマリを確認したのちに、この青年を助けたいという思考も確認した。
人間を殺戮するヒューマノイドが、ガイに協力する決断をしていた。
「ノア、まずい!ドローンが見える!」
その瞬間、アキラが肩を叩き私に伝えた。
「すぐに撤収する、ガイは私が担ごう。」
そうしてガイを持ち上げた時、ガイの下に生えていた雑草を見つけた。
私はこの雑草をヒューマノイドの上に置き、その場を後にした。
≪………ありがとう、ノア………。≫
一瞬何かが頭に響いた!
瓦礫に身を隠しつつギョエン近くまで戻った時、ドローンは見えなくなっていた。
まだ私たちを感知していなかったか、もしくはうまく撒けたか。
「ねえノア、どうしてガイを殺したロボットに草を渡したの?」
ああ、間違いない。
サキは怒りと憎しみに満ちている。
口調こそ冷静だが、声色には多くの激情が宿っていた。
「………ガイを助けたいという思考記録を確認した。」
「どういうこと?」
「いや、わからない。
ただ、あのヒューマノイドはガイを助けようとしていた。
それがなぜだかはわからなかった。」
「じゃあ、なんでガイは死んだの!!」
サキの問いに答えられない。
「落ちつけ、サキ。ノアを責めても仕方ないだろ。」
「…………。」
そこからは一言も話すことがなく、イチガヤまでたどり着いた。
私はそこで別れを告げ、コーラクエンに戻る。
ガイが命を懸けて残したものを、私は理解する必要があった。
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