【完結】毒妹に婚約者を奪われ、廃嫡された私を拾ったのは隣国の王子でした

チンアナゴ🐬

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第4話

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 次にシャーロットが目を覚ましたのは、ふかふかのベッドの上だった。

「目が覚めましたか」

  読んでいた本を閉じ、優しい声でシャーロットに声をかけたのはシャーロットと同じくらいの年の青年だった。

「あなたは…」

「私はウィリアム・ジェームズ。あなたが道端に倒れていたので、私の家まで運んだのですよ」

「そうだったのですね。ありがとうございます。わざわざ申し訳ありません」

「お気になさらないで下さい。ところで、あなたは…」

 ウィリアムがそこまで言った時、シャーロットのお腹がなった。シャーロットの顔が真っ赤になる。

「す、すみません!」

「いえいえ。今食事を持ってこさせましょう」

「いえ、そんな訳には…」

「気を使わなくても大丈夫ですよ。それとも、私の家の食事は食べられませんか?」

「い、いえ、決してそういう訳ではなく…」

「では大丈夫ですね」

「…ありがとうございます」

 ウィリアムが合図をすると、すぐに料理が運ばれてきた。どれも見た事のない食べ物ばかりだったが、一口食べてみるとすごく美味しかった。

「美味しい…」

「それは良かったです。好きなだけ食べて下さいね」

 その言葉を聞いた時、シャーロットの目から涙が零れた。

「どうしました!?」

 突然の事にウィリアムは驚き、声をかけた。

「す、すみませ…ただ、嬉しくて。人の温もりを感じられる事がこんなに嬉しいとは…」

 その言葉に安心したように、ウィリアムは微笑んで、黙ってハンカチを差し出した。

「ありがとうございます…」

 シャーロットは涙を拭き、再び食事を始めた。一口一口噛み締めるように食べた。この数年間で、一番美味しく感じた食事だった。

「落ち着きましたか?」

「はい。何から何まで、ありがとうございました」

「少し話をしたいのですが、大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

「まず、あなたの名前は?」

「私はシャーロット・メルラインです。…あ、廃嫡されたのでただのシャーロットですね」

「…廃嫡された?」

「はい。理由は私にもよく分かりません」

 そう言ってシャーロットは苦笑した。

「…理由が分からない?」

「そうなんです。私はタルゴナ国出身の貴族だったのですが、妹に婚約者を奪われた事を親に責められ、廃嫡されました。妹は昔から私の物を盗るのが好きなのです。私が3歳で両親から貰った最後の誕生日プレゼントを奪われた時、諦めましたから、もう辛くはないのですけれど」

 ウィリアムは黙って話を聞いていたが、シャーロットが話し終えたと同時に拳をぎゅっと握った。

「自分の家族を苦しめて…一体何が楽しいのか私には分かりません」

 その言葉にシャーロットは思わず笑みを浮かべる。

「私の為に怒ってくれて、ありがとうございます」

「当然ですよ。こんなに優しい人を傷つけるなんて、許せませんね」
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