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逃げるおまけ
2 うふふのキノコ
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やたらと走る。
とにかく走る。
散歩を喜び小型犬のように、くるくる周りを回って走る。
群れになっている。
止まってても、先頭が走り出したら次々と続く。
楽しそうにスキップする。
先頭がずっぴょんと跳ねると次々とスキップウェーブが起こる。
当たり前だが小さい。
だいたいトイレットペーパーくらい。
でもマッチくらいの極小からラグビーボールまである。
色は赤・白・黄色。
茶色は薄いのから濃いのまでさまざまだ。
もちろんキノコのはなしだ。
雄太はキノコと森を歩いている。
疲れて座ると膝に乗ったりまわりで踊ったりしてくる。
その傘はふかっと滑らかで触り心地バツグンだ。以外な事にもふりと柔らかい。
座ったキノコは足を投げ出してなんかとっても可愛い。
雄太の脳内はキノコが白雪姫の周りを取り囲む鹿だの兎だのに変換されている。
もえキノコは森歩きの必須アイテムだ。
初めはキノコが怖かった。
そりゃそうだ。日本でキノコは走らない。
前回は神殿しか知らなかったから、
キノコが走るのがこの世界の常識なのか?
ひょっとしてプリチィな見た目なのに凶暴肉食なのか? さえわからなかった。
森で目が覚めたら群がられてて、ぎょえぇぇぇーっ‼︎となった。
絵面的に丸焼きされる獲物と、その周りで収穫の踊りを踊る原住民的だったのだ。
キノコ満載な雄太の周りを、ぐるぐるスキップするキノコの集団。
……そう、スキップだ。
つまり足だ。
キノコにはちっこい足があって、盆踊りのように周りでずっぴょんしていた。
叫んで飛び起きたら乗っかっていたキノコが転げ落ちた。
まるでガリバーのリリパッドのようだ。
一つがジーンズのファスナーの上で横座りして見上げていた。
食べるな危険と主張するような真っ赤で白いブツブツのあるそいつと見つめ合った。
傘がめっこりと裂けて、涎を垂らした牙が飛び出して来る。そんなクリーチャーを想像して目が離せない。
ドキドキハラハラの緊張感は、力を吸われる脱力感ですぐ終わった。
硬めのシェイクをストローでずずずっと吸われるような体感は経験済みだ。
赤いキノコが力を吸い上げると、周りのキノコに胞子を吹いてキラキラと流れていく
そのキラキラが自分と辺りのキノコを繋いで、『嬉しい』『大好き』とささざめく感情があっちこっちで弾けた。
まさしく白雪姫と森の動物のように、キノコはフェアリーリングを作ってゆらゆら揺れている。
その中はキラキラでホニャホニャだ。
気の抜けるようなその揺らぎに、雄太も力が抜けた。
そっか、クリーチャーじゃないんだねぇ。
それより臍の下が熱い。
もしやと覗くと聖紋があった。
丹伝よりやや下に。
下の毛に微妙にちょっと隠れるカンジに5センチくらいの聖紋が、キノコに力を流して弱々光っている。
ーーー5センチかよー
雄太はがっくりした。
聖紋は唯一神ヴェジャイラの身印だ。
神子に顕出するという。
前に一緒に召喚されて神子認定された斗真さんの胸には、いと鮮やかに浮かんでいた
その時は雄太も臍の脇に爪の先ほどの聖紋があった。
「神子様におまけが付いてきたせいで聖紋の一部がそっちにいったのだ。
おかげで神子様の聖紋は完璧ではない!」
そう言って叱られた事がある。
いや、知らんがな。
聖紋って、異世界渡った認め印って感じなの?パスポートに押す感じなの?
はいポン はいポン押してたら、ズレたり掠れたりしちゃうよね。
前は二人まとめたから印影重なっちゃったって感じなの?
前は爪の先ほどが5センチに成長している…
そんな成長、嬉しくもなかった。
とにかく走る。
散歩を喜び小型犬のように、くるくる周りを回って走る。
群れになっている。
止まってても、先頭が走り出したら次々と続く。
楽しそうにスキップする。
先頭がずっぴょんと跳ねると次々とスキップウェーブが起こる。
当たり前だが小さい。
だいたいトイレットペーパーくらい。
でもマッチくらいの極小からラグビーボールまである。
色は赤・白・黄色。
茶色は薄いのから濃いのまでさまざまだ。
もちろんキノコのはなしだ。
雄太はキノコと森を歩いている。
疲れて座ると膝に乗ったりまわりで踊ったりしてくる。
その傘はふかっと滑らかで触り心地バツグンだ。以外な事にもふりと柔らかい。
座ったキノコは足を投げ出してなんかとっても可愛い。
雄太の脳内はキノコが白雪姫の周りを取り囲む鹿だの兎だのに変換されている。
もえキノコは森歩きの必須アイテムだ。
初めはキノコが怖かった。
そりゃそうだ。日本でキノコは走らない。
前回は神殿しか知らなかったから、
キノコが走るのがこの世界の常識なのか?
ひょっとしてプリチィな見た目なのに凶暴肉食なのか? さえわからなかった。
森で目が覚めたら群がられてて、ぎょえぇぇぇーっ‼︎となった。
絵面的に丸焼きされる獲物と、その周りで収穫の踊りを踊る原住民的だったのだ。
キノコ満載な雄太の周りを、ぐるぐるスキップするキノコの集団。
……そう、スキップだ。
つまり足だ。
キノコにはちっこい足があって、盆踊りのように周りでずっぴょんしていた。
叫んで飛び起きたら乗っかっていたキノコが転げ落ちた。
まるでガリバーのリリパッドのようだ。
一つがジーンズのファスナーの上で横座りして見上げていた。
食べるな危険と主張するような真っ赤で白いブツブツのあるそいつと見つめ合った。
傘がめっこりと裂けて、涎を垂らした牙が飛び出して来る。そんなクリーチャーを想像して目が離せない。
ドキドキハラハラの緊張感は、力を吸われる脱力感ですぐ終わった。
硬めのシェイクをストローでずずずっと吸われるような体感は経験済みだ。
赤いキノコが力を吸い上げると、周りのキノコに胞子を吹いてキラキラと流れていく
そのキラキラが自分と辺りのキノコを繋いで、『嬉しい』『大好き』とささざめく感情があっちこっちで弾けた。
まさしく白雪姫と森の動物のように、キノコはフェアリーリングを作ってゆらゆら揺れている。
その中はキラキラでホニャホニャだ。
気の抜けるようなその揺らぎに、雄太も力が抜けた。
そっか、クリーチャーじゃないんだねぇ。
それより臍の下が熱い。
もしやと覗くと聖紋があった。
丹伝よりやや下に。
下の毛に微妙にちょっと隠れるカンジに5センチくらいの聖紋が、キノコに力を流して弱々光っている。
ーーー5センチかよー
雄太はがっくりした。
聖紋は唯一神ヴェジャイラの身印だ。
神子に顕出するという。
前に一緒に召喚されて神子認定された斗真さんの胸には、いと鮮やかに浮かんでいた
その時は雄太も臍の脇に爪の先ほどの聖紋があった。
「神子様におまけが付いてきたせいで聖紋の一部がそっちにいったのだ。
おかげで神子様の聖紋は完璧ではない!」
そう言って叱られた事がある。
いや、知らんがな。
聖紋って、異世界渡った認め印って感じなの?パスポートに押す感じなの?
はいポン はいポン押してたら、ズレたり掠れたりしちゃうよね。
前は二人まとめたから印影重なっちゃったって感じなの?
前は爪の先ほどが5センチに成長している…
そんな成長、嬉しくもなかった。
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