【完結】初恋の君を探していたが、本人と気づかずにあれやこれやとドツボにハマる話

たまとら

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ルツ、頑張る

8 ルツの故郷

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ルツは王国の端の端。
あらゆる町から断絶されたような森の中にポツンとある村で生まれた。

父母は無く、祖父じいサマが世話をしてくれた。
"森人"はいいも悪いもいろんな伝説があったが。
田舎で助け合って暮らす村人にとって、じいサマとルツは大事な仲間だった。


過疎地の寒村。
そこでは当たり前だが、医師もいないし神父もいない。
馬車で1日かけて、小さな町まで行かないと店だって無い。

まぁ、広い国土のあちこちにはそんな村は珍しく無かった。

そういう所には昔から民間伝承された『魔女』と呼ばれる者が薬を作っていた。
熱さまし、腹痛の薬。
足を折った時も、添え木をして薬草で作った湿布を貼る。

ルツの祖父は森人ということもあって薬草に詳しく、魔力もあって『魔女』として薬を作り村人と共に生きて来た。



森人はその見てくれから、かつては奴隷にする為に狩られてきた。
今、王国は奴隷の人権を認めている。
奴隷は犯罪奴隷か、借金奴隷だけだ。
さらに閨に無理矢理引き込む事も、虐待する事も禁止されている。
ただ何にでも裏というものがあるわけで。


じいサマは、人で言うならよぼよぼな歳なのに見てくれはぴっちぴちな美青年だった。
そしてルツは儚げな美少年だった。

絶対目をつけられる!と、踏んだじいサマは。
ルツに薄黄色くぼんやり見えるような魔法をかけた。
自分も枯れた椎茸の様な見かけにした。


森人は人と違って魔力が豊富だ。
人は貴族くらいしか魔力が無い。
じいサマはその力で狩をしたり薬草を育てたり出来るのだが、目立たないように生きて来た。


何故なら。

だいたい三ヶ月に一度廻ってくる行商人を信用していないからだ。

行商人が来てくれないと村の生活は成り立たない。
行商人から買い物をしたり、薬草や狩った毛皮や素材を売ったりする。
そうしてわずかな外貨を稼いで領主への税金の足しにする。

行商人ネットワークは馬鹿にならない。
ルートから外されると塩も手に入らなくなる。
行商人はライフラインなのだ。
だからぼったくりだと思いつつも、間抜けでお人好しそうに笑顔で頭を下げて薬草や薬を売っていた。


じいサマは"精霊の道"で町に渡ると、その薬草が三倍以上の値で買い取りされてる事を知っていた。
じいサマの作った薬など、五個で銅貨2枚で買い取られていたが。
町で"森人の特効薬"と銘打って、一個が銀貨2枚で売り捌かれているのを見た時は、ちょっと開いた口が塞がらなかった。



そんな訳で。
こっそりと町で少量売って外貨を稼ぎながら、行商人や外の人に隙を見せないように生きてきた。
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