囚われの斎王は快楽に溺れる  竜と神話の王国

たまとら

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カナラクニ山 盛ったあとは気怠いね

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翼竜は腹を丸々とふくれあがらせ、満足そうなあくびをもらしながら、よたよたとラグナロワの方に近づいてきた。

陽だまりの、甘い香りを放つ草の上に座り込むと鉤爪を舐め始める。

濃厚なセックスの後の気怠さの中に、竜からの深い満足感が滲み通ってくる。

無意識に当てられたくさび形の頭に、こしこしと目の周りを掻いてやる。

竜の意識に引きずられて眠ってしまいそうだ。


獲物を狩った翼竜達は水浴びをし、人好きなのか、昼寝をする為にシリン達の岡へと登ってきた。


「この子達は今、飛んだり狩ったりの練習中なんですよ。」

シリンが周りにころころところがって、寝息を立て始めた2M強の仔竜を撫でる。
四つの塊が転がっているのは、どこかシュールだ。
青銅二頭と褐色が一頭。そして緑が一頭。

「今はまだ人を乗せれません。食べて、寝て、ぐんぐん大きくなるんです。」

その愛しげな目に、チリッとここが炙られる。
その妬心は竜に対してか、竜に信頼されるシリンに対してなのかはっきりしない。


「結局、何頭いるのだ。」

「今は9頭です。」

「9頭! それだけか!」

少なくて驚く。

「はい。昔から10頭を超えることはありません。翼竜は此処でしか繁殖出来ないので、自然と制限されたのでしょう。」

ラグナロワが考える顔になる。
シリンは、表面に出さないように、ソレを伺う。
見逃さないように、全身全霊で心を寄せる。

「今は大人が4頭。子供が5頭です。」

「子供。あの飛べる仔竜と金色の小さいのとは、どのくらい離れているんだ。」

「ああ、あの子達は排卵されたのは同時でしたよ。孵った時が違ったのです。」

「なに!」

「翼竜は10年から20年を卵で過ごします。
この子達は19年前に排卵されました。」


ふと、上目遣いで見つめる。
目の縁が薄桃色に染まって、からかうような色が浮かぶ。
すっとラグナロワの耳に唇をつけると、なぶりながら囁く。

「翼竜の咬合飛翔は凄いんですって。
狩りなど問題にならないほどに勃つそうですよ。19年前は、結界魔法陣の上からなのに、この国はソレの気配に沸き立って、そこで仕込まれた私と同い年の子供がごろごろいましたから。」

くすくす笑う声にラグナロワは目を細める。

「ソレは楽しみだな。俺も試してみたい。」

きゅっと耳たぶを軽く噛んでから離れる。
なごりの情欲がまだ燻っている。

「あと2年はかかりますよ。」

「ん?」

「雌は黄金色だけですから。」

「なに!」

「雄の卵は4つ。一年前に孵りました。
いま、飛ぶ練習していた子達です。
黄金色のラーマが孵ったのは、四ヶ月前。
そう、ゼオライトが侵略してくる一週間前です。」


だから逃げられなかった。
反撃にもまわれなかった。
幼い黄金の為に。
なんとか時間を作りたかった。
ラーマが飛んで逃げれるように。

でも、ソレは叶わない。

カナラクニ山にはゼオライトの王が立っている。

翼竜を支配する野望を持って。



こうやって晒しながら、手札をゆっくり切っていく。
逆転の爪痕を立てるために、静かに待つ。



やがて王宮に帰る為にコンゴウを呼んだ。
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