囚われの斎王は快楽に溺れる  竜と神話の王国

たまとら

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血の護り人

1 愛で営む

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ネティの滑らかなももに浮かぶ星は、そこだけが盛り上がりつるつるしている。
舌を這わせられるとソコは、剥き身で神経が出ているようにぴりりとする。
痛い訳では無いのに反応してしまう。

はあっと小さく吐く息に気付かれて、ネティは赤くなる。
アキラの手が薄い茂みを掻き分けてペニスをいじる。
ずっと身体中、舌を這わされてダンスを踊るように身をくねらせていた。

舌がゆっくり臍へと登る。
くすぐったさに捩るけれど、手が煽るように撫でさすり、焦れて反り上がってしまう。

「愛してるよ。」

耳にまで来た舌が、じっくり舐めながら囁く。

アキラは決して急かさない。
ネティの中の欲に火をつけるまで、じっくり愛撫してくる。
愛してる。
好きだ。
大好きだ。
そんな甘い言葉の洪水の中で、ネティは次第に我を忘れていく。


月の光の中で気怠げに空を見上げるネティは、幻のようだ。
白銀の光をきらきら反射する銀の髪は肩より少し長い。
光が溢れるようにシーツに散らばった髪は、後光のようにネティを縁取る。
青白く見える体は、今までの情事に染まって、ようやく人形では無いのだと教えてくれる。
はぁ と、せつなげに吐く唇にゆっくり指を這わす。

「髪が伸びたな…。」

額にかかった髪を撫で上げる。
初めて見た時はまだ耳が隠れるほどだった。
今は一つに結んでいる。
その尻尾のような結んだ髪が、いつもぴょこぴょこ楽しそうに跳ね回るのだ。

たまにこうやって髪の色を染めない時がある。
眩しさに目をすがめるほどに綺麗だが、他の奴等に見せたく無いから茶色にしといてくれと言ってある。
俺は実は狭量な奴なんだ…と。

誰にも見せずに閉じ込めて、俺だけを見てほしい。
無理だ。 わかっている。
わかっているけど……。 と、アキラは遠慮せずにいつもネティに告げる。
愛している事。
自分の狭い気持ち。
きっと自分の気持ちは、自分本人よりネティの方がわかっているだろう。

隠さない。
あるがまま。
ネティとともにいる為にそうしている。
真っ直ぐ自分を見る。
その銀の目の中に自分がいる。
こうやって、互いしか見ずに生きていきたい。


  ……でも。


アキラは昼間会ったスノトラという男を思い出していた。

城の廊下を渡っている時。

「おい。」

と呼び止められた。
それまで人の気配が全く無かったので驚いた。
しかも首に刃が添えられていた。

固まって身動き出来ずに見る。
その視線の先に豪華な金髪と宝石のような碧の目をした人形のような男がいた。

すっと刃を引くと男はフンと笑った。

「危機感が無さすぎる。」

そう、全く気配が無かった。
こんな派手な男なのに。
人の気配が……。
慌てて探ると、まるでここがブラックホールのように空間が歪んで、城を守る暗部の気配すらしない。

男は堂々と背中を向けると、ついてこいと言った。

城は何重にも結界が張られている。
さらに暗部の者が自分の結界を張りながら、あちこち潜んでいる。
魔力で抜けてくる者の為に、光の檻という抜け道の無いトラップがあちこちあって、特にこのナカツクニは蟻どころか、糸さえ通らない程の完璧な守りであるはずだった。

隙間では無い。
暗部の者同士の結界の重なりの一点。
マス目になった防御のこの一点。
光の檻が掬い上げているその一点。
針さえ通らないその一点をうまく広げて道としてすり抜けている。
……こんな高次元な解約魔法は初めて見る。王室の魔導師も知らないだろう。

小川にインクを流した時のように男の跡が光って見える。
その後をアキラは追う。
小川。そう、水の中のように世界がゆらゆらして見える。
本当に同じ次元にいるのか。
これは高度な結界なのか別次元にいるのか。

わざわざ視覚化させているのは自分の力を見せつける為だろう。
いきなりやってきた不明者。

ネティの事以外考えられる節は無く、黙ってアキラはしたがった。


男の跡に続いて降り立つと竜舎の横の森だった。
アキラが抜け出た途端に痕跡を消す。
こうやって自分の力を見せつけてから、男はスノトラと名乗った。

ネティのアザが消えて焦った。と。

目がぎりぎりと挑んできているので、アキラも丹田に力を込めた。
男の目をぎっと見返す。

ここに立って竜達が何も言わないのは、竜の意思もあるだろう。
ぽっかりと人の気配のない竜舎の横で2人は睨み合った。
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