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5 当てが外れたヨコジマ
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タテジマはあまりおつむがよろしくないの。
何度泣いても騙されちゃう。
もうぴゆあっぴゅあな激チョロボーイよ。
多分いっしょにお腹にいる時に、信じる心と疑う心をたして2で割るはずなのにきっちり分けっこしたんだと思うわ。
おばさんのガヴァネスは初めベタベタにタテジマを可愛がる。
そしてそのうち虐めるようになるの。
タテジマは自分が悪いってごめんなさいするけど、おばさんの目はギンギラよ。見てごらんなさい。
タテジマは綺麗な顔してる。
泣かせたい虐めたいって奴がいる事に、タテジマは一生気付かないと思うわ。
そんなおばさんはたいがいワタシを無視するかゴマをするかだ。共犯者に取り込むつもりだろうけど冗談じゃ無い。
タテジマはワタシの片割れだもの。
だからワタシは戦った。
次々と追い出してやった。
やっと静かになったと思ったら、ナニこの状況?
次のガヴァネスだと言って妖怪みたいなデッカい猫が来た。
はぁ?
人が猫に習うの?
ネズミの捕り方?
ばっかじゃなぁい‼︎
‥って思ったけどなんか違ってた。
追い出してやろうと泥団子を投げ付けたら迎撃された。
しかも「私が必要そうですわね」という、なんか上から目線で本採用になってしまった。ムカつく。
猫好きのタテジマは喜んだけど、ワタシは無茶苦茶面白くない。
だってあいつはさび猫だ。
縞も三毛でもない、泥はねしてるようなさび猫なのだ!
帽子ねこマルルは
「やだわ。せぇんせぇいって羽を毟られたナメクジが、井戸の石垣を伝ってるみたいな感じよぉ。背中の毛がもずもず逆だっちゃうわ。私はマルルよ。せぇんせぇいじゃなくてそう呼んでね」
とふにゃんと笑った。鞭も持って無い。
もうタテジマはうっとりだ。
でも相手はガヴァネスで猫なのよ。
文字通り猫を被ってるかも知れないわ。
『素敵な尻尾ね。掴んだら気持ちいいかしら』と囁いた。
尻尾。くねくねした尻尾。
もうタテジマは握手してもらった安心感で、マルルの尻尾に釘付けだ。
そうよ。ぎゅっと握ってギャッとなって、ボーダー家から出てけばいいんだ!
タテジマがその尻尾を掴もうとした途端、顔面に掌底が入った。
爪の出てない掌はふにゃんとした肉球だ。
ソレが顔面に当たって、タテジマの髪がびゅわって立った。
攻撃よりもご褒美になってるわ。
タテジマはその手を両手で掴んですりすりすりすりしてる、もうデレデレ。
マルルはしゅるりと手を抜き取ると、マニュキアを施した爪を一本出してちっちっちっと揺らしました。
「いけません。猫にとって尻尾はプライベートで大切なものなのよ。ソレをいきなりギュッはとぉっても破廉恥な事なのよ。あなただっていきなりおちんちんを掴まれたらどう思うかしら?」
ワタシは淑女ヅラした猫がおちんちんと言ったのに驚いた。
タテジマはそんな極悪非道な変態行為を自分がしていたのに驚いた。
「ごめんなさい。もうしません!」
素直なタテジマに、マルルは目を細くして笑った。
それ以来タテジマは外で見る普通の猫にも、紳士のように声掛けして、いつのまにか猫に取り囲まれるようになった。
何度泣いても騙されちゃう。
もうぴゆあっぴゅあな激チョロボーイよ。
多分いっしょにお腹にいる時に、信じる心と疑う心をたして2で割るはずなのにきっちり分けっこしたんだと思うわ。
おばさんのガヴァネスは初めベタベタにタテジマを可愛がる。
そしてそのうち虐めるようになるの。
タテジマは自分が悪いってごめんなさいするけど、おばさんの目はギンギラよ。見てごらんなさい。
タテジマは綺麗な顔してる。
泣かせたい虐めたいって奴がいる事に、タテジマは一生気付かないと思うわ。
そんなおばさんはたいがいワタシを無視するかゴマをするかだ。共犯者に取り込むつもりだろうけど冗談じゃ無い。
タテジマはワタシの片割れだもの。
だからワタシは戦った。
次々と追い出してやった。
やっと静かになったと思ったら、ナニこの状況?
次のガヴァネスだと言って妖怪みたいなデッカい猫が来た。
はぁ?
人が猫に習うの?
ネズミの捕り方?
ばっかじゃなぁい‼︎
‥って思ったけどなんか違ってた。
追い出してやろうと泥団子を投げ付けたら迎撃された。
しかも「私が必要そうですわね」という、なんか上から目線で本採用になってしまった。ムカつく。
猫好きのタテジマは喜んだけど、ワタシは無茶苦茶面白くない。
だってあいつはさび猫だ。
縞も三毛でもない、泥はねしてるようなさび猫なのだ!
帽子ねこマルルは
「やだわ。せぇんせぇいって羽を毟られたナメクジが、井戸の石垣を伝ってるみたいな感じよぉ。背中の毛がもずもず逆だっちゃうわ。私はマルルよ。せぇんせぇいじゃなくてそう呼んでね」
とふにゃんと笑った。鞭も持って無い。
もうタテジマはうっとりだ。
でも相手はガヴァネスで猫なのよ。
文字通り猫を被ってるかも知れないわ。
『素敵な尻尾ね。掴んだら気持ちいいかしら』と囁いた。
尻尾。くねくねした尻尾。
もうタテジマは握手してもらった安心感で、マルルの尻尾に釘付けだ。
そうよ。ぎゅっと握ってギャッとなって、ボーダー家から出てけばいいんだ!
タテジマがその尻尾を掴もうとした途端、顔面に掌底が入った。
爪の出てない掌はふにゃんとした肉球だ。
ソレが顔面に当たって、タテジマの髪がびゅわって立った。
攻撃よりもご褒美になってるわ。
タテジマはその手を両手で掴んですりすりすりすりしてる、もうデレデレ。
マルルはしゅるりと手を抜き取ると、マニュキアを施した爪を一本出してちっちっちっと揺らしました。
「いけません。猫にとって尻尾はプライベートで大切なものなのよ。ソレをいきなりギュッはとぉっても破廉恥な事なのよ。あなただっていきなりおちんちんを掴まれたらどう思うかしら?」
ワタシは淑女ヅラした猫がおちんちんと言ったのに驚いた。
タテジマはそんな極悪非道な変態行為を自分がしていたのに驚いた。
「ごめんなさい。もうしません!」
素直なタテジマに、マルルは目を細くして笑った。
それ以来タテジマは外で見る普通の猫にも、紳士のように声掛けして、いつのまにか猫に取り囲まれるようになった。
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