僕とあんたのきもちイイまで、まだ100万マイル(比喩)はあるからな!

たまとら

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僕、ナニやってんだろう。

既に二桁を越したそのセリフを、ロアンはまた呟いた。
もう真っ赤になった指先の感覚は無い。
ぴしぴしとした痺れが泣きそうなロアンを追い込んでくる。

アイスペールなんてよく言ったものだ。
本当に馬の水飲みペールなみにでかい。
その大きいペールに山盛りになっていた氷の中に水を入れて、カンカン冷たい水の中で手拭いをギガっと絞った。
……感覚が無い…

それをひぅひぅと荒い息で真っ赤になって転がっている男の額にのせる。
自由になった手にはぁと息を掛けたけど、指先に血は戻ってこない。

男は額の冷たさにホッとしたのか、ほわぁっと酒臭い息を吐いた。
腹が立つので布団を捲って、脇腹に冷たい手を当ててやった。
もあっと熱と酒と体臭が立ち上がったが、膿の臭いはしなかったので、ロアンもへあっと安堵の息を吐いた。


本当に。

僕、ナニやってんだろう。

温められた指先がじんじんと痛い。
でも直ぐに手拭いは温くなるから、また氷水に手を突っ込まなくちゃならない。
脇に冷たいのを当てた方が熱が下がるのは知っているが
流石に知らない男の脇なんか触りたくなかった。

ちらりと洗面器に突っ込んだ宿のタオルを見る。
血と膿でドロドロだ。
多分、きっと、コレも洗っといた方がいいんだろうな。

ロアンは恨めしげに、呼吸が穏やかになった男を見た。
でかい。雄山羊が寝転んでる程にでかい。
筋肉も隆々ってカンジで、腕だって太い。

その腕が膿んで腫れて熱がでていた。
そして傷口を洗って薬草まで貼ってやったおかげで、こうして寝てるだけになっている。

さっきまで自分を抱いていた腕は力無く伸ばされて。
いわゆる大の字になっていた。
言っとくが『抱いていた』のはホールドの『抱く』だ。
見知らぬ男と口に出来ない事をいたしたのでは無い。
男の多分熱の錯乱による理不尽なホールドに、血膿ダラダラな傷をグチャってやったら、ぎゃあと叫んで気を失ったのだ。

ほっときゃいいとわかってたけど。
何せ小心な田舎者。
自室から薬草を持ってきてぎゅっぎゅっと潰し。
せっせと看病しているというわけだ。


ほんと、ナニやってんだろう。
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