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王都、宿泊の乱
1 ロアン、王都に到着する。
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その宿を目にして、ロアンはぱっくりと口を開けた。
ギンギンでガンガンでワイワイと人が蟻塚の様に集って。
見るからに”酒池肉林の魔界の入り口”ってカンジだったからだ。
王都の南門を抜けて、大通りから右に折れて
二番街の宿が並ぶ通りを行ったら街灯がギンギンだった。
飾りがギラギラと棚引いて
『歓迎♡』『お帰りなさい☆』
という飾り付けをしている人が走り回っていた。
そしてその中心は、どうも自分が泊まる宿みたいだ。
看板を二度見して、そこにいた客引きのおじさんにも確認した。
やっぱり、目的の宿はあそこだ。
「静かな宿だから」と、リアルト様はその宿を予約してくれた。
これは面接の前に旅の埃を落とせる様にというありがた迷惑な配慮だ。
「成人して直ぐのティガル王国の王子様だから。
ゆっくり磨きあげて面接に臨みたいハズ」
という100%善意だ。
が。
「うちみたいな貧乏国は無駄な金が無いから!
ずっと野営で旅をしてるから大丈夫だよ」
というあけすけなお断りは耳を素通りしていたようだ。
どうせなら従業員寮でも充分だ!とも送ったのに。
金持ち王国のお貴族様の話の通じ無さに頭痛がしたころ
しっかり者の姉さまが宿泊費はそっち持ちだと確認して
「タダなんだから、折角だしふかふかなお布団で休めば」
と決めたのだ。
わぁわぁと人が駆け足で出入りしている。
こんな賑やかなのは、田舎の我が国じゃ市場か結婚式か収穫祭を足して2で(3じゃないところがミソ)割ったくらいだ。
手紙では『静かな宿』とあった。
自分が田舎者だから、都会の静かさとは違うのかな?
って思おうとしたが、そんなわけないやん‼︎と思った。
覚悟を決めて宿に入ったら、中も戦場だった。
なんでも遠征から帰ってくる騎士団が、いきなり酒宴を開くと通達したと言う。
当たり前だが街に金が落ちる。
特需だバブルだ!
断るなんて選択は無い!
さぁ、みんなで頑張るぞっ!
街中の店からかき集めるぞ!
となったらしい。
んで、手伝いも従業員も用意でてんてこ舞いだそうだ。
「ティガル王国のロアン王子様……」
宿の支配人の目は死んでいた。
あ、まるっと忘れてたっぽい。だよね。
降って湧いた酒宴と、名も知らない国の王子。
{どうせ中原の湧いては消える小国だ。
出来たらなんとかお断りしたい…
王子様といわれて従者用の部屋がついた良い部屋を開けていた。
飛竜の間という風呂トイレ完備の部屋だ。
あとお付きの者の為に幾つかの部屋を押さえていた。
それが「酒宴開くぞぉー‼︎」でなし崩しだ。
なんとか従者に頭を下げて他の宿へ行って欲しい。}
悶々とそう考えていた支配人は、目の前のちんまりした埃まみれの子供に戸惑った。
きょときょとと従者を探す。
ロアンはやっぱりね。と内心溜め息をはいた。
ふうつの国では王子が一人で旅する事はない。
普通は従者を引き連れておんぶに抱っこで動く。
うちみたいに貧乏国は、従者の費用だって無いのだ。
大丈夫。
そんな時の為にと姉さまにレクチャーされている。
「すみません。国境で野盗に襲われまして…」
ちょっと肩を落として背を丸める。
ついでというなら葉笠をとって、幼くて頼りなさげな顔を見せる。
「従者と離れ離れになってしまいましたが。
約束の王都までなんとか参りました…」
項垂れるロアンに、支配人はそれは…とおろおろしている。
そしてロアンはキモの言葉を吐いた。
「私一人なので狭くても結構です。
もう疲れて歩けません。お願いします。」
支配人は"助かったぁ"という目をした。
貧相でも王子様。
しかも従者と逸れた可哀想な子供。
邪険にしたら国際問題が湧き起こるに決まってるのだ。
自ら狭い部屋でも、と言い出してくれた。
いや、本当にありがたい!
一人ならなんとか捩じ込める。
支配人の頭の中はぱたぱたとそう流れた。
「いらっしゃいませ。
お部屋に御案内いたじすね。」
こうしてロアンは泊まることができたのだった。
ギンギンでガンガンでワイワイと人が蟻塚の様に集って。
見るからに”酒池肉林の魔界の入り口”ってカンジだったからだ。
王都の南門を抜けて、大通りから右に折れて
二番街の宿が並ぶ通りを行ったら街灯がギンギンだった。
飾りがギラギラと棚引いて
『歓迎♡』『お帰りなさい☆』
という飾り付けをしている人が走り回っていた。
そしてその中心は、どうも自分が泊まる宿みたいだ。
看板を二度見して、そこにいた客引きのおじさんにも確認した。
やっぱり、目的の宿はあそこだ。
「静かな宿だから」と、リアルト様はその宿を予約してくれた。
これは面接の前に旅の埃を落とせる様にというありがた迷惑な配慮だ。
「成人して直ぐのティガル王国の王子様だから。
ゆっくり磨きあげて面接に臨みたいハズ」
という100%善意だ。
が。
「うちみたいな貧乏国は無駄な金が無いから!
ずっと野営で旅をしてるから大丈夫だよ」
というあけすけなお断りは耳を素通りしていたようだ。
どうせなら従業員寮でも充分だ!とも送ったのに。
金持ち王国のお貴族様の話の通じ無さに頭痛がしたころ
しっかり者の姉さまが宿泊費はそっち持ちだと確認して
「タダなんだから、折角だしふかふかなお布団で休めば」
と決めたのだ。
わぁわぁと人が駆け足で出入りしている。
こんな賑やかなのは、田舎の我が国じゃ市場か結婚式か収穫祭を足して2で(3じゃないところがミソ)割ったくらいだ。
手紙では『静かな宿』とあった。
自分が田舎者だから、都会の静かさとは違うのかな?
って思おうとしたが、そんなわけないやん‼︎と思った。
覚悟を決めて宿に入ったら、中も戦場だった。
なんでも遠征から帰ってくる騎士団が、いきなり酒宴を開くと通達したと言う。
当たり前だが街に金が落ちる。
特需だバブルだ!
断るなんて選択は無い!
さぁ、みんなで頑張るぞっ!
街中の店からかき集めるぞ!
となったらしい。
んで、手伝いも従業員も用意でてんてこ舞いだそうだ。
「ティガル王国のロアン王子様……」
宿の支配人の目は死んでいた。
あ、まるっと忘れてたっぽい。だよね。
降って湧いた酒宴と、名も知らない国の王子。
{どうせ中原の湧いては消える小国だ。
出来たらなんとかお断りしたい…
王子様といわれて従者用の部屋がついた良い部屋を開けていた。
飛竜の間という風呂トイレ完備の部屋だ。
あとお付きの者の為に幾つかの部屋を押さえていた。
それが「酒宴開くぞぉー‼︎」でなし崩しだ。
なんとか従者に頭を下げて他の宿へ行って欲しい。}
悶々とそう考えていた支配人は、目の前のちんまりした埃まみれの子供に戸惑った。
きょときょとと従者を探す。
ロアンはやっぱりね。と内心溜め息をはいた。
ふうつの国では王子が一人で旅する事はない。
普通は従者を引き連れておんぶに抱っこで動く。
うちみたいに貧乏国は、従者の費用だって無いのだ。
大丈夫。
そんな時の為にと姉さまにレクチャーされている。
「すみません。国境で野盗に襲われまして…」
ちょっと肩を落として背を丸める。
ついでというなら葉笠をとって、幼くて頼りなさげな顔を見せる。
「従者と離れ離れになってしまいましたが。
約束の王都までなんとか参りました…」
項垂れるロアンに、支配人はそれは…とおろおろしている。
そしてロアンはキモの言葉を吐いた。
「私一人なので狭くても結構です。
もう疲れて歩けません。お願いします。」
支配人は"助かったぁ"という目をした。
貧相でも王子様。
しかも従者と逸れた可哀想な子供。
邪険にしたら国際問題が湧き起こるに決まってるのだ。
自ら狭い部屋でも、と言い出してくれた。
いや、本当にありがたい!
一人ならなんとか捩じ込める。
支配人の頭の中はぱたぱたとそう流れた。
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こうしてロアンは泊まることができたのだった。
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