僕とあんたのきもちイイまで、まだ100万マイル(比喩)はあるからな!

たまとら

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薬草研究所での生活

5 騎士団の調教師と呼ばれています アバリー

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「酒宴の宿を抑えろ」

オルゼの言葉に愕然とした。
余りのショックに目の前が暗くなった。

当たり前だ!

一ヶ月以上も遠征していて、やっと王都が目の前なのだ。
南門を抜けて騎士団の駐屯地に入ったら、
『解散‼︎お疲れ様ぁ!』とオルゼが宣言したら御開きになる。
そしたら家に飛んで帰って、ダーリン♡に会えるのだっ‼︎
そうわきわきしてたのは、私以外にも沢山いた筈だ。

それが酒宴だとぉ!

しまったぁ!帰宅後を妄想していて気を抜いていたぁ‼︎
煮えたぎる怒りと殺意をこめて
「団長!このまま帰りたくないですう」とか
「激った気持ちを酒池肉林で晴らしましょうよぉ」とかと
酒宴を強請って纏わりついていたバカ達を睨みつける。

びくりとしたバカ達に
「走れ!駐屯地に報告だ。
お前は基地の残留物の所だ。警備以外は酒宴に誘え。
警備として本日残った者へは特別手当もあると言え」
全力疾走を命じる。
ざまあみろ。言っとくがコレで終わりじゃない。
明日から寮の便所掃除が始まるからなっ!

ああ、この人数が入れる宿となると…
「おまえは宿の確保だっ‼︎走れっ!」
アバリーは容赦なく指令をだした。

そうそう。
お望みならとっとと酒宴を開いて、後は隊長達に任せて帰ろう!
だってダーリン♡が待ってるんだもん。

そういう意気込みで働いていたから、オルゼの苦虫を噛み潰した様な顔が、熱で赤らんでいたなんてちらとも気が付いていなかった。
決してシャイでは無いくせに、オルゼは格好付けでケガと不調を隠していやがった。
その上、いきがって酒宴を始めたのだ。
ばかだよね。



んで、王宮へと報告だの傭兵への給金の精算だのと次の日からは目の回る忙しさで。
ほとぼりが冷めた頃に告白された。

でかいおっさんが、熱でぶっ倒れたんだと言う。
なんかもじもじしてきしょい。

その子供が夜中ずっと看病してくれて、傷を洗って薬草を貼ってくれたらしい。
おい、それってすんごい恩人って事じゃね。
もう感謝感激雨霰の涙ちょちょぎれもんじゃね。

なんで今まで黙ってたんだよっ‼︎

なんでも酒宴に呼ばれた男娼の子だと思ってたが、該当者がいなかったらしい。
その子の目が桃色だったそうで…
おい!それってどっかの王族の特徴じゃ無かったっけ。
宿の支配人に脅しというお願いで追い込んで、多分それは「ティガル王国のロアン王子」ではとなった。
薬草研究所からの予約で一泊なさったそうだ、あの日に。

本人か確かめに行きたいともじもじする馬鹿を殴る。
行け!違ってたら笑って誤魔化せ。
あれから一週間はたっている。
恩知らずなケダモノになる前に行け。

そう言って手土産に王家御用達のハトサーロのクッキー詰め合わせを押し付けた。


帰って来たオルゼは馬から降りるとスキップをしていた。
執務室からそれを見て、ああ本人だったのねとホッとしたアバリーとは対照的に、
"団長御乱心!"と、兵達の間で囁きが交わされたのはいうまでもない。
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