僕とあんたのきもちイイまで、まだ100万マイル(比喩)はあるからな!

たまとら

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薬草研究所での生活

4 多分初恋だったかもしれない リアルト

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「ウチの国は貧しいのよ。
だから王族自らが客寄せパンダになって商売にきたのよ」

仲良くなってから、テェインはそう笑った。
見せてもらった商品は山羊の毛で出来た絨毯だ。
その意匠は余り見たことのないエキゾチックなアラベスク紋様だった。
人より山羊が多くて開墾できる平地が少ない。
現金収入は必至。だから販路の開拓に来たと言う。

「テェインは"ソー"だから任せて安心なんだよ。」

王太子ルクゥはそう言って笑った。
王族は一歳の時自分の運命の真名をもらう。
ルクゥ・スィン(導く者)
テェイン・ソー(宝の人)
だからテェインはお金の事に目端が効き、財務大臣を目指している。

今回は特に王様が来ていた絹を売り込みにきた。
家蚕よりも野蚕の方が値が高い。
さらにこの山青蛾は青光りする不思議な糸でとても高い。
ぽつぽつとしか出来ない繭を集めて布地を作るのは、気の遠くなる程の時間がかかる。
そんな布地は凄いお値段で、三年ほどかかって作った布地をできるだけ高く売る為に来たそうだ。
王自ら出向いたのは中原の小競り合いへの抑制の為に、布地を献上する為に。

「抑制というより牽制にね。」

ルクゥがひっそりと笑う。
そしたら周りの空気がふわんと揺れて、リアルトはドキドキと見惚れた。
宝石のような桃色の瞳も、美しい顔も目を逸らせない。
なんか大変そうな話なのに、リアルトはただただ見惚れた。
多分リアルトの初恋はルクゥで、これは一目惚れという奴だろう。


中原にはひしめく小国が小競り合いを繰り返す。
ティガル王国から、このパルディル王国までには幾つかの国がある。
そのうちの国は虎視眈々とティガルを狙っていた。

本当は野菜だってチーズだって、ティガルには珍しい物が幾つもある。
ネックは輸送の時間とコストだ。
ティガルの雪解け水がいく筋もあつまって、大きなウエハン川になってパルディルまで流れている。
コレを使えたら時間もコストもお得になるが…
両岸を細長いアクダマス国に挟まれている。
随分昔から難癖をつけていたその国が、資金援助と山青蛾の養殖を持ち掛けてきたそうだ。
山青蛾の好む木を沢山植えて、沢山繭を作らせるという。

「勿論断った。今の植栽を伐採して一種に偏らせたら生態系は変わってしまう。ティガルは貧しくとも大地を傷つけたりはしないつもりだ。」

アクダマスは執念深い。その報復を考えてこの攻防の周知と布地を高く売る為に、出向いたのだという。
王自ら献上品を持って。
ついでに販路の開拓をしなくては。

「パルディル王国の流行りも市場調査しなくちゃね。」

きっぱりとテェインは笑って、リアルトを協力させた。
そうやってリアルトは手紙を送り合う仲になった。
やがてリアルトは薬草研究所に勤める様になった。
そんなある日、第二王子のロアン様が働き口を探していると手紙がきたのだ。
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