僕とあんたのきもちイイまで、まだ100万マイル(比喩)はあるからな!

たまとら

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薬草研究所での生活

3 幼い頃から薬草オタク リアルト

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「それで農夫や庭師の様に薬草を世話する仕事をご希望ですか?
それとも将来は薬師となって薬を作る仕事に付く為に、薬草を世話する事をご希望ですか?」

その質問は、ロアン様が働き口を探していると聞いた時にリアルトが尋ねた事と同じだった。
どちらも畑に立って、種を蒔いたり雑草を抜いたりして働く。
だが目標はまるで違う。
農夫か薬師か。
どちらも人手不足で、働き手を募集している。

リアルトはこのパルディル王国での後見人という立場と、薬草研究所の副所長という二つの立場で面接を見守っていた。
今面接している文官は初老の女性で、ロアン様を孫を見る目でみている。
いろんな職種の中で地味で汚れる薬草の世話につきたいと現れただけで、もう好感度が爆上がっていたのだ。

リアルトは尋ねて来たロアンを見て、とってもとっても驚いた。
だって想像よりも小さくて幼くて可愛い。
成人してると言われても信じられなかった。

兄上のルクゥは大柄では無かったが、しなやかにすらっとしていた。そして落ち着きと威厳を備えた美貌だった。
しかもルクゥは初めて会ったその時、成人前だったはずだ。

ロアンは王族特有のピンクダイヤモンドの様な目をしていたが、その雰囲気と顔立ちはむしろ姉のテェインに似てる様に思う。



ティガル王国は中原の外れにある国だ。
国土の大半が高地の山だ。
だから、ここパルディルとは植物相が違う。
幼い頃から父親の仕事がら植物に馴染んでいたリアルトにとって、ティガルは一度は行きたい国ナンバーワンだった。

そのティガルの王族が来ると聞いて、農政大臣の父親に強請りに強請って晩餐会の出席をもぎ取った。


ティガルの王様は美しかった。

スラリとした肢体は高くないのに大きく見える。
真っ直ぐな黒髪は虹色に光を弾いて腰まで流れ、切長な目はピンクダイヤモンドの様に煌めいていた。
その身体を包む不思議な光沢のあるシルクは、周りを囲むキラキラと宝石を反射させる貴族達とは一線を画していて。
まるでそこだけが光を浴びている様に見えた。

正装した貴族の集う華やかな王宮の中で、ティガルの王様の美しさだけが目に留まる。
なるほど"妖精王"と呼ばれているそうだ。
つるりとハート型の顔は、どんな美姫に勝るとも劣らない。

沢山の貴族達が、男も女も、異様な熱でギンギンと群がっていく。
まだ子供のリアルトはその熱に臆して弾き出されて、指を咥えているしかなかった。



早々に逃げ帰ったベッドの中で
「あ、王がティガルの薬草も運んで来たかも知れない!」
と閃いたら、もう居ても立っても居られなくてベッドから飛び出した。
夜明け前から開かれる中央市場に護衛と共に突進する。

行ってよかった。
高地の崖下にしか咲かないと図鑑にある、六花水仙を見ることが出来た。
そして、それよりも。
リアルトはそこでルクゥとテェインに会ったのだ。

いつもより灯りで煌々としている市場の周りに、近衛達がいるから妙だとは思った。
入場のチェックも厳しい。
それでもリアルトは身元を確認されて場内に入ることが出来た。

珍しい黒髪の護衛を連れた王太子と王女。
なかなかに人集りで輪になったそこで。
二人は薬草と山羊の毛で編んだ織物や編み物を売り込んでいた。
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