結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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結婚が降りかかってきました

12 無かった事にしたい

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腹話術の人形のように抱えられて。
ざわつく会場を後にする。

放置!
恋人かもね♡を、ぶち上げて。
会場を唖然とさせて放置ですかい!

ルカは回廊に出たとたん、暴れた。

遠くからゾンビの様にふらふらと父様とマルロが付いてくる。
居た堪れ無い。

「どういうつもり?」

二本の足でしっかり立つと、マデウスの胸を指で突いた。

回廊は人気がない様で、見られている。
噂が噂を呼ぶだろうけど。
それどころじゃ無いよっ!

「再び会う気なんて無かった。
恋人ってどうゆうつもり?」

きゃんきゃん吠えるルカに、マデウスはにこやかに笑っている。

「いいじゃないか。俺はあんたが気に入ったんだよ。このまま付き合えば皆んなが喜ぶぞ。」

「肝心の僕は喜ばないよ。ピアスを返して。
渡した覚えは無いからね。」

睨みつけても気にしてないようだ。

「ん~、じゃ明日デートしよう!
そしたら考えるから。二人で考えよう」

そう言って手を伸ばすから、ざっと後ろに避けた。

「冗談‼︎こっちで会うつもりはないよ。」

ふぅ…ん。

肩をすくめたマデウスは、腹から声を上げた。

「つ・ま・り、俺の身体だけが目当てだったんだな⁉︎」

「わわわわっ!」

大きな声が回廊に木霊する。
姿の見せない奴らは情報を求めて耳がダンボのはずた。それに聞かせる様に、マデウスははっきりくっきり声をだす。
句読点まできっちりだ!

「一回やればもう要らないって……もがっ」

慌てて手で塞ぐ。

マデウスはにやりと目で笑って、近づいた腰を引き寄せた。
口を塞いだ手のひらをぺろりと舐める。
びくっとルカの目が揺れて、その反応にくすくすと喉から声が上がった。

ちくしょう。
こいつ、遊んでやがる。

忌々しさが湧き立つ。

背後から父様がドス黒いオーラを立ち上げている。
…あかん。
あかん奴だ。
このままだと、この辺りが焦土と化す。

「わ、わかった。明日。明日だね。」

「ああ、昼頃に迎えに行くから。」

離れる指先にちゅっと音をさせて、マデウスはルカから和かに離れた。


「…るか。……聞きたい事があるのだが…」

地の這う声がする。

ですね。
父様。
でも、答えられる事は少ないです。

完全しょぼんの気持ちで振り返る。


駄目です。
いつものごめんなさい。では、
誤魔化されない雰囲気です。

連行される絶望で、父様の後ろをとぼとぼ歩いていると、王宮の従者に声を掛けられた。

ディサロ王子がお呼びだという。

拒否権は無いっ‼︎

助かったという気持ちを隠して、父様に礼をしてからついていく。
なんて刹那的。
どうせ家に帰れば尋問地獄が待っているのに。
でも足取りはちょっと軽い。



回廊側から回り込んだ小さな庭は建物と垣根の間で、お茶会の喧騒も聞こえていない。
そこの小さな四阿に深刻な顔で王子が待っていた。

「貴方に求婚しようと思ってました。」

やっぱりぃ。

「いつの間に叔父上と出会われたのか…,
叔父上と心を通わされていらっしゃるのなら、私は見守る事にいたします。
…ただ、何か困った事が起こった時は。
私は貴方にお味方いたしますから。」

アリガトウゴザイマス。

いくら周りに頓着せずに突っ走るルカといえど。

『いやぁ。貴方との結婚から逃れるためにワンナイトしちゃったら、その相手が貴方の叔父さんだったんですよー』

なんて言えるはずも無く。

おずおずと礼を言って退去した。



居た堪れ無い馬車の中で。

「なんかモテ期到来って感じっすね。」

マルロが呟いた。

ぐらあっ!
空気読めやっ‼︎

父様の秘書官は賢く気配値消している。
凄いぞ。忍者だ。

父様のオーラはずっと赤黒く燃え上がっている。
尋問と説教、下手したら外出禁止で強制送還か。

「スパダリ狙いのヤリマンみてぇ。」

一瞬、父様のオーラがぷすっ!と言った。
あ、と思うまも無く。

父様は泡を吹いて白目を剥いていた。

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