結婚したい男と、結婚させたい奴等と、結婚したくない僕。の話

たまとら

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結婚が降りかかってきました

16 王立竜騎士団の竜舎

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馬車が停まると、従者が扉を開けた。
エスコートの為に降りようとしたマデウスの脇を擦り抜けて、ルカは飛び降りた。

もう、子供の様に目がキラキラしている。

待っていた団員や厩舎員達が膝をついて、背中が並んでいた。
そこに降り立ったマデウスは挨拶を受けて鷹揚に皆を立たせた。

「マデウス殿下。ただ今竜は、訓練飛行の後、食事に行っております。」

「ああ、だから声がしないんですね!」

マデウスの返答の前に、ルカが元気に答える。

「大丈夫です!竜舎を見せて下さい‼︎」

厩舎員が困惑してマデウスを見上げる。
頷かれると、ほっとしたように、こちらへと手を滑らせた。


竜の食事は豪快だ。
はっきり言って素人は近寄らない。
ズバリ生きてる牛さん、豚さん、羊さんだ。
王都の近くの牧場では、
『竜が来るとストレスで乳を出さなくなります‼︎』
と、懇願されて、竜の食事処は遥か遠くの牧場だ。
もっとも竜は飛ぶから問題無い。
訓練のついでに放牧されたご飯を食べて帰ってくる訳だ。


竜舎は当たり前だが天井が高い。
ひたすらだだっ広い空間だった。
デカいそれが、ゴンゴンと六棟建っている。
その横に人用の建物がちんまりとあった。

竜舎の中は一応の仕切りがあって、プライベート(?)は護られている。

そしてそこには褐色竜が一頭と緑竜が一頭いた。
褐色竜は大型だ。20デオツはゆうに超えている。
ゆっくりとした動きで、その巨大な頭をルカに寄せてきた。
にこにこと遠慮なく、ルカは目のふちを掻く。
突然現れた一行に、緑竜も興味津々で近づいて来た。

「褐色は引退を控えています。昨日、巡回して疲れた様なので休ませていました。
緑は張り切りすぎてケガをしたので、大事をとってます。」

ついて来てくれた厩舎員がそう説明する。

そう、騎士団の竜は年をとったりパートナーが戦えなくなったら引退する。
貴重な飛竜は、飛竜便としてパートナーと共に第二の仕事に就く事になる。

そして竜は空を飛ぶからケガの一つも致命症になる事がある。

大事にされているのがわかって、ルカは嬉しかった。


「ここ、干し藁の中にマジェルナやバサートを混ぜてるんですね。」

高貴な人達の乱入に、藁を掻き回すフォークを全身で掴んで端っこにいた少年が、ぱっと表情を明るくした。

「わ、わかりますかっ⁉︎」

「勿論。とってもいい匂いだ。」

ルカのとっておきの笑顔に、その少年はそばかすだらけの顔を赤く染めた。

マジェルナは浄化や清浄で有名なハーブで。
バサートは心を落ち着かせる香りで有名だ。

こんな細やかな気配りに、ルカはにこにこが止まらない。
そしてルカは見かけは儚く美しい。
周りの厩舎員はちょっとデレデレしながら群がってきた。


「その髪色。ルカ・フェルベーツ様ですよね。伯爵様から伺ってます。
ぼ、僕。今度孵化がある時に、立ち入らせて頂くんです!」

その見習い君はとても誇らしげに胸を張る。
ルカはうんうんと頷いた。

フェルベーツは、竜に関わる者には憧れの聖地である。
そこの次男坊って。
もう、スター中のスター☆
竜舎に関わる者は、推しに熱視線を向けるがごとくにルカを取り巻いている。

ルカと厩舎員達は竜の皮膜に塗るクリームの話をし、水浴びの話をし。
きゃっきゃと楽しそうだ。

~~マルロはちらりとマデウスを伺った。

そのアルカイックスマイルが、張り付いたままだ。

だよね。
自分の魅力に興味もない者達をみると、ちょっとハラワタ煮えちゃってます?

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