35 / 119
14部
すごい鉱石
しおりを挟む
この世界には、精霊たちが暮らす別次元の世界が存在していた。人間たちも神々もあまり知らない世界である。そして精霊の世界には、神の国にもいない奇妙な生き物たちも生息していた。その一つが鉱石虫とよばれる巨大な芋虫である。茶色い芋虫で大きな物では1メートルもの大きさのものもいる。外見はグロテスクにもみえるが、食料は石と砂などで、面白いのはその糞だった。鉱石虫の糞は、鉄や銅、ダイヤモンドなどの宝石が混じった石、時には金の塊だったりするのだが、レアな鉱石などを糞として出すこともあった。そしてこの日、鉱石虫がレアな石を出したのだ。
「おお、黒い石が5つ集まったぞ。これで武器の一つも作れそうだな」
精霊が呼ぶこの黒い石は、加工するとかなりの強度がある武器に変わる。しかも精霊の力がこもりやすいという特性があった。精霊たちは普段はだれかと戦ったりすることはない。剣を達者に使う者もいるが、それも実践で使うためではなく、趣味の範囲であり、鍛冶師が作る武器も、ほとんどは飾られていた。余分な鉱石が手に入った時などは、ひそかに技の神ジェラルドのジェラルド工房に置いたりもしている。
精霊の鍛冶師たちは精霊の王たるものにおうかがいをたててみた。
「黒い石が集まったか。そうだな。今回は、母なる者にあげてもいいかもな」
精霊の王が言った。ちなみに今エスメラルダは神の国にいる。最近エスメラルダは自己主張をするようになり、一緒に行かないという時は、王は一人で精霊の国に帰ってくるのだった。
こうしてゆりの要望を聞いて精霊たちに伝えられた。
「スペードという剣士のために超すごい剣を作ってほしいそうです。それから自分には材質は違ってもいいのでその剣と同じレターナイフがほしいと言っていたそうです」
「レターナイフってなんだ?」
「レターナイフとは、手紙の封を切るときに使う小さなナイフのことじゃないですか?」
「いわゆる文具ですね」
話していたのは動物たちだった。
「スペードはわしがパンツを作ってる男の妖精のことだよ。剣までもらえるとは幸運な男だね」
金髪の小さい老婆が言った。
「そうか。王に贈りたいというかと思ったが、母なる者はいつでも世界に目をむけているのだな」
精霊の王は感心するように言っていた。
「どれほどの実力なのか、その男を見てみたいですね」
「手の大きさも知りたいですしね」
「超すごい剣となると、雷神剣やサラマンダーの剣以上になりますね」
「どうすごくしようか悩みますな」
サラマンダーの剣はこの世界で作られた剣だったが、雷神剣は人間が作った剣だった。その昔、雷獣の一族にいた稀代の鍛冶師によってつくられた伝説の剣だが、その材料は、精霊が提供したものだったのだ。雷の精霊の力が込められた剣だが、鍛冶師は雷の精霊と話し合い、いくつかの取り決めをした。それも、剣をみだりに使われたくなかったからである。鍛冶師の望みは自分の名前を後世まで残すことだった。
「ならば雷の神が生まれて、その神が高潔な人間を選ぶまでは、雷神剣は封印しよう」
こうして、神も知る伝説の剣は誕生し、鍛冶師の名前も雷獣の国では永遠に語り継がれることになった。
スペードが精霊の国に連れてこられて、精霊と戦った。スペードの剣技の腕はなかなかであったので、精霊たちもスペードのための剣を作ることに決めた。
「超すごい剣か……どこをすごくするのかそれが問題だ」
「精霊の力を二つつけるとか」
「呼べばぱっと現れる剣とかどうだ。普段は身軽でいられるぞ」
「それはいい考えだ。他にないかな」
精霊の鍛冶師たちはどうすごくするか、当分頭を悩ますことになったのだった。
「おお、黒い石が5つ集まったぞ。これで武器の一つも作れそうだな」
精霊が呼ぶこの黒い石は、加工するとかなりの強度がある武器に変わる。しかも精霊の力がこもりやすいという特性があった。精霊たちは普段はだれかと戦ったりすることはない。剣を達者に使う者もいるが、それも実践で使うためではなく、趣味の範囲であり、鍛冶師が作る武器も、ほとんどは飾られていた。余分な鉱石が手に入った時などは、ひそかに技の神ジェラルドのジェラルド工房に置いたりもしている。
精霊の鍛冶師たちは精霊の王たるものにおうかがいをたててみた。
「黒い石が集まったか。そうだな。今回は、母なる者にあげてもいいかもな」
精霊の王が言った。ちなみに今エスメラルダは神の国にいる。最近エスメラルダは自己主張をするようになり、一緒に行かないという時は、王は一人で精霊の国に帰ってくるのだった。
こうしてゆりの要望を聞いて精霊たちに伝えられた。
「スペードという剣士のために超すごい剣を作ってほしいそうです。それから自分には材質は違ってもいいのでその剣と同じレターナイフがほしいと言っていたそうです」
「レターナイフってなんだ?」
「レターナイフとは、手紙の封を切るときに使う小さなナイフのことじゃないですか?」
「いわゆる文具ですね」
話していたのは動物たちだった。
「スペードはわしがパンツを作ってる男の妖精のことだよ。剣までもらえるとは幸運な男だね」
金髪の小さい老婆が言った。
「そうか。王に贈りたいというかと思ったが、母なる者はいつでも世界に目をむけているのだな」
精霊の王は感心するように言っていた。
「どれほどの実力なのか、その男を見てみたいですね」
「手の大きさも知りたいですしね」
「超すごい剣となると、雷神剣やサラマンダーの剣以上になりますね」
「どうすごくしようか悩みますな」
サラマンダーの剣はこの世界で作られた剣だったが、雷神剣は人間が作った剣だった。その昔、雷獣の一族にいた稀代の鍛冶師によってつくられた伝説の剣だが、その材料は、精霊が提供したものだったのだ。雷の精霊の力が込められた剣だが、鍛冶師は雷の精霊と話し合い、いくつかの取り決めをした。それも、剣をみだりに使われたくなかったからである。鍛冶師の望みは自分の名前を後世まで残すことだった。
「ならば雷の神が生まれて、その神が高潔な人間を選ぶまでは、雷神剣は封印しよう」
こうして、神も知る伝説の剣は誕生し、鍛冶師の名前も雷獣の国では永遠に語り継がれることになった。
スペードが精霊の国に連れてこられて、精霊と戦った。スペードの剣技の腕はなかなかであったので、精霊たちもスペードのための剣を作ることに決めた。
「超すごい剣か……どこをすごくするのかそれが問題だ」
「精霊の力を二つつけるとか」
「呼べばぱっと現れる剣とかどうだ。普段は身軽でいられるぞ」
「それはいい考えだ。他にないかな」
精霊の鍛冶師たちはどうすごくするか、当分頭を悩ますことになったのだった。
175
あなたにおすすめの小説
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?
白雲八鈴
恋愛
我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。
離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?
あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。
私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?
白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる