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14部
すごい鉱石
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この世界には、精霊たちが暮らす別次元の世界が存在していた。人間たちも神々もあまり知らない世界である。そして精霊の世界には、神の国にもいない奇妙な生き物たちも生息していた。その一つが鉱石虫とよばれる巨大な芋虫である。茶色い芋虫で大きな物では1メートルもの大きさのものもいる。外見はグロテスクにもみえるが、食料は石と砂などで、面白いのはその糞だった。鉱石虫の糞は、鉄や銅、ダイヤモンドなどの宝石が混じった石、時には金の塊だったりするのだが、レアな鉱石などを糞として出すこともあった。そしてこの日、鉱石虫がレアな石を出したのだ。
「おお、黒い石が5つ集まったぞ。これで武器の一つも作れそうだな」
精霊が呼ぶこの黒い石は、加工するとかなりの強度がある武器に変わる。しかも精霊の力がこもりやすいという特性があった。精霊たちは普段はだれかと戦ったりすることはない。剣を達者に使う者もいるが、それも実践で使うためではなく、趣味の範囲であり、鍛冶師が作る武器も、ほとんどは飾られていた。余分な鉱石が手に入った時などは、ひそかに技の神ジェラルドのジェラルド工房に置いたりもしている。
精霊の鍛冶師たちは精霊の王たるものにおうかがいをたててみた。
「黒い石が集まったか。そうだな。今回は、母なる者にあげてもいいかもな」
精霊の王が言った。ちなみに今エスメラルダは神の国にいる。最近エスメラルダは自己主張をするようになり、一緒に行かないという時は、王は一人で精霊の国に帰ってくるのだった。
こうしてゆりの要望を聞いて精霊たちに伝えられた。
「スペードという剣士のために超すごい剣を作ってほしいそうです。それから自分には材質は違ってもいいのでその剣と同じレターナイフがほしいと言っていたそうです」
「レターナイフってなんだ?」
「レターナイフとは、手紙の封を切るときに使う小さなナイフのことじゃないですか?」
「いわゆる文具ですね」
話していたのは動物たちだった。
「スペードはわしがパンツを作ってる男の妖精のことだよ。剣までもらえるとは幸運な男だね」
金髪の小さい老婆が言った。
「そうか。王に贈りたいというかと思ったが、母なる者はいつでも世界に目をむけているのだな」
精霊の王は感心するように言っていた。
「どれほどの実力なのか、その男を見てみたいですね」
「手の大きさも知りたいですしね」
「超すごい剣となると、雷神剣やサラマンダーの剣以上になりますね」
「どうすごくしようか悩みますな」
サラマンダーの剣はこの世界で作られた剣だったが、雷神剣は人間が作った剣だった。その昔、雷獣の一族にいた稀代の鍛冶師によってつくられた伝説の剣だが、その材料は、精霊が提供したものだったのだ。雷の精霊の力が込められた剣だが、鍛冶師は雷の精霊と話し合い、いくつかの取り決めをした。それも、剣をみだりに使われたくなかったからである。鍛冶師の望みは自分の名前を後世まで残すことだった。
「ならば雷の神が生まれて、その神が高潔な人間を選ぶまでは、雷神剣は封印しよう」
こうして、神も知る伝説の剣は誕生し、鍛冶師の名前も雷獣の国では永遠に語り継がれることになった。
スペードが精霊の国に連れてこられて、精霊と戦った。スペードの剣技の腕はなかなかであったので、精霊たちもスペードのための剣を作ることに決めた。
「超すごい剣か……どこをすごくするのかそれが問題だ」
「精霊の力を二つつけるとか」
「呼べばぱっと現れる剣とかどうだ。普段は身軽でいられるぞ」
「それはいい考えだ。他にないかな」
精霊の鍛冶師たちはどうすごくするか、当分頭を悩ますことになったのだった。
「おお、黒い石が5つ集まったぞ。これで武器の一つも作れそうだな」
精霊が呼ぶこの黒い石は、加工するとかなりの強度がある武器に変わる。しかも精霊の力がこもりやすいという特性があった。精霊たちは普段はだれかと戦ったりすることはない。剣を達者に使う者もいるが、それも実践で使うためではなく、趣味の範囲であり、鍛冶師が作る武器も、ほとんどは飾られていた。余分な鉱石が手に入った時などは、ひそかに技の神ジェラルドのジェラルド工房に置いたりもしている。
精霊の鍛冶師たちは精霊の王たるものにおうかがいをたててみた。
「黒い石が集まったか。そうだな。今回は、母なる者にあげてもいいかもな」
精霊の王が言った。ちなみに今エスメラルダは神の国にいる。最近エスメラルダは自己主張をするようになり、一緒に行かないという時は、王は一人で精霊の国に帰ってくるのだった。
こうしてゆりの要望を聞いて精霊たちに伝えられた。
「スペードという剣士のために超すごい剣を作ってほしいそうです。それから自分には材質は違ってもいいのでその剣と同じレターナイフがほしいと言っていたそうです」
「レターナイフってなんだ?」
「レターナイフとは、手紙の封を切るときに使う小さなナイフのことじゃないですか?」
「いわゆる文具ですね」
話していたのは動物たちだった。
「スペードはわしがパンツを作ってる男の妖精のことだよ。剣までもらえるとは幸運な男だね」
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「そうか。王に贈りたいというかと思ったが、母なる者はいつでも世界に目をむけているのだな」
精霊の王は感心するように言っていた。
「どれほどの実力なのか、その男を見てみたいですね」
「手の大きさも知りたいですしね」
「超すごい剣となると、雷神剣やサラマンダーの剣以上になりますね」
「どうすごくしようか悩みますな」
サラマンダーの剣はこの世界で作られた剣だったが、雷神剣は人間が作った剣だった。その昔、雷獣の一族にいた稀代の鍛冶師によってつくられた伝説の剣だが、その材料は、精霊が提供したものだったのだ。雷の精霊の力が込められた剣だが、鍛冶師は雷の精霊と話し合い、いくつかの取り決めをした。それも、剣をみだりに使われたくなかったからである。鍛冶師の望みは自分の名前を後世まで残すことだった。
「ならば雷の神が生まれて、その神が高潔な人間を選ぶまでは、雷神剣は封印しよう」
こうして、神も知る伝説の剣は誕生し、鍛冶師の名前も雷獣の国では永遠に語り継がれることになった。
スペードが精霊の国に連れてこられて、精霊と戦った。スペードの剣技の腕はなかなかであったので、精霊たちもスペードのための剣を作ることに決めた。
「超すごい剣か……どこをすごくするのかそれが問題だ」
「精霊の力を二つつけるとか」
「呼べばぱっと現れる剣とかどうだ。普段は身軽でいられるぞ」
「それはいい考えだ。他にないかな」
精霊の鍛冶師たちはどうすごくするか、当分頭を悩ますことになったのだった。
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