婚約破棄のその先は

フジ

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迷子な気持ち

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《どうしよう》


何がどうしよう?


《決まってる、じゃない》


何が決まってるの?距離を置く?婚約破棄?

婚約を破棄しなかったら、あの人はずっとあの人に会いにいくわよ


《婚約破棄だなんて…しないわ…愛しているのよ》


そうね、でも愛しているから辛いのよ


《で、では、あの人に会いに行かないでって言うのはどうかしら…?私を、愛しているなら…私達は確かに愛し合っていたのよ、あのお方も外の世界と触れ合うためだったらあの人じゃなくてもー》


本当にそう思う?


《え?》


本当に、貴方がそれを言ってユーリ様が行かないでいてくれると思う?


《そ、れは…》


あのお方と過ごした年月も違うわ。…私のことを愛してくれてるとは口で仰ってても…紹介したい人がいる、って言った時点で、疎遠になる事はないって言ったのと同じじゃないかしら。


《で、も、私のことを愛してくれてるって》


本当に愛されているのかしら


《やめて》


考えて、貴女とは週に3回、それでもいい方でしょ?でも、あのお方とは毎日会っているのよ
貴女が手を切ったり、寝る間もおしんで一生懸命作ったお菓子やお料理もお二人で楽しそうに食べているとメイドが教えてくれたのよね?


《やめて、、》


貴女と出掛けたお店や観劇ではお土産を買ってたわよね。それ、あのお方のお部屋に飾ってあったの、気付いたかしら。お休みの日もあのお方と遠乗りをしたりお茶を飲んだりしているらしいわよ
…愛していると言ってくれててもそれは、酷くないかしら、それにー



《っ、やめなさい!わたくしはあの人を信じたい、私を愛してると信じたいのよ!貴方にわたくし達のこと何がわかるんですの!》


それ以上言って欲しくなくて思わず叫ぶと、誰かの声は聞こえなくなった。


ハッと気づくと、まだユーリ様に抱きかかえられている最中だった。周りの風景から考えても少ししか経ってない。

「アンジェ、もう部屋だよ」
「…えぇ、ありがとうございます、ユーリ様」



ドキドキと耳に伝わるほと動悸がする。

声ではないかもしれない、自分の気持ちが込み上がってきて、誰かの声に聞こえただけかもしれない。
自分で自分を責め立てていたんだろう、


首の後ろに汗がじわりとにじみ、ショールが肌に張り付いた




部屋についてからすぐにベットにゆっくりと置かれ、薄いシーツを掛けてくれた。
「ありがとう、ございます」
お礼の言葉に薄く笑みで返してくれる。
「首元、苦しいかな?くつろげようか…」
ハイネックのドレスだったことを思い出して、起き上がろうとするのを手で制された。
少し持ち上げられて、首の後ろのホックを外される。そのまま額にあった前髪を横に撫でつけられ、髪の毛を滑るように触り、ショールの結び目も解かれた。

あらわになった鎖骨を柔らかく吸い付かれ思わず弾むような声が出た。

それが合図のように噛み付くようなキスをされた後、そのままついばむようにキスになり何度もされる。


至近距離で目と目を合わすと、濡れているあの人の唇が目に入り、恥ずかしくて目をそらしてしまう。
そんな私をたまらないとばかりに、ぎゅっと抱きしめてくれる。

「アンジェ、可愛いアンジェ…」

あの人は何度も私の名前を呼び、また何度も唇を合わせた。



信じる、この人を信じるって決めた。
私が愛してる、この人を。








それでいい、それでいいのだー










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