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そして私たちは
これから7
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ゆーり、ゆーりと壊れたようにあの人の名前を呼ぶこの人に、もうこれ以上会話は出来ないと感じた。
対峙した時から、問い詰めたり、責めたり、口論などを覚悟の上だった。
だけど実際は何も言葉が出てこない。
マリー様はもう、精神を病んでしまっている。そんな人に何を言うのか。
この人も、ユーリ様のことが本当に愛していたのだ、胸が苦しくなる。
どうしようもない想いが胸を巡る。
「すみません…もう連れて行って下さい」
そう言うとすぐに、立て!と手首を引かれて立ち上がったマリー様は、もうこちらを見ていなかった。
引きずられるように、彼女は連れて行かれていた。ユーリはこっち?と子供のように無邪気に。
目の前にいる、自分が重症にした愛しの彼から目を背けてー。
これが見るのが最後になるだろうけど、部屋から出るのを見つめている暇はない。
今はあの人のところへ行きたい。
後ろを振り向くと、手当をされた執事とメイドがこちらに向かって頭を下げていて、それと白衣を着た医師の背中が見える。
何かをしている様子がない。
一気に、詰めていた息が今度は早くなる。
どうだったんだろう、傷の具合はー。
早く、早くー。医師のそばに駆け寄る。
「ユーリ様…ユーリ様は?!」
「お嬢様…ー。」
汗をかき血だらけの医師は、目を伏せた。
それだけで、わかってしまう。
でも信じたくなくて、あの人の姿をこの目で見たくて、探して、見つけた。
メイドがユーリ様までの道を開けてくれている。
ユーリ様はメイドに寄りかかり上体を起こしていた。
腹部はガーゼや包帯で巻かれているも、それ以上何かするつもりもないように見えた。
胸が不規則に軽く上下しているも、今にも止まりそうな吐息だった。
ーまだ生きている。まだ
「な、にをしているんです、早く、早く治療を」
周りのメイドを見渡すも、誰もが下を向き、そして泣き崩れている者もいる。
認めたくなくて、あの人の隣に座りこむと、血があふれていてガーゼと包帯の意味をなしてなかった。ガーゼと包帯も止血、というよりかは、軽く巻かれているだけのように見えた。
最初から助からないと分かっていたからなのかー。
医師が、もう残りは僅かでしょう、と自分より若い者が亡くなってしまうことの憐憫が感じられた。
「お嬢様…。」
いつの間にか横に執事が来ており、2人にしますので、お別れを。と言いさっきはフラフラだった体をシャンとさせて、皆を連れて部屋から出て行った。
私は何も返事ができなかった。
パタン、と扉が閉じられて部屋が静かになった。
メイドと変わって、ユーリ様の頭を膝の上に乗せて覗き込む。
所々血で汚れてはいるがいつも見る綺麗な顔だった。誰かが拭いてくれたのだろう。
何を、すれば。お別れをしなければいけないのですか。
こんなことが起きる前までは、私は貴方と別れる決心がついていたのに。
このような形のお別れは、嫌ですわ。
ユーリ様。ユーリ様、ユーリ様、、、。
あの人の綺麗な顔に涙がポツポツ落ちて、眦に伝って落ちた。
あの人も泣いているみたいだ。
ぅ、っ、うう、と嗚咽が漏れるのを口を塞ぐ。
「ぁ…ーじー」
あの人の声がした。
対峙した時から、問い詰めたり、責めたり、口論などを覚悟の上だった。
だけど実際は何も言葉が出てこない。
マリー様はもう、精神を病んでしまっている。そんな人に何を言うのか。
この人も、ユーリ様のことが本当に愛していたのだ、胸が苦しくなる。
どうしようもない想いが胸を巡る。
「すみません…もう連れて行って下さい」
そう言うとすぐに、立て!と手首を引かれて立ち上がったマリー様は、もうこちらを見ていなかった。
引きずられるように、彼女は連れて行かれていた。ユーリはこっち?と子供のように無邪気に。
目の前にいる、自分が重症にした愛しの彼から目を背けてー。
これが見るのが最後になるだろうけど、部屋から出るのを見つめている暇はない。
今はあの人のところへ行きたい。
後ろを振り向くと、手当をされた執事とメイドがこちらに向かって頭を下げていて、それと白衣を着た医師の背中が見える。
何かをしている様子がない。
一気に、詰めていた息が今度は早くなる。
どうだったんだろう、傷の具合はー。
早く、早くー。医師のそばに駆け寄る。
「ユーリ様…ユーリ様は?!」
「お嬢様…ー。」
汗をかき血だらけの医師は、目を伏せた。
それだけで、わかってしまう。
でも信じたくなくて、あの人の姿をこの目で見たくて、探して、見つけた。
メイドがユーリ様までの道を開けてくれている。
ユーリ様はメイドに寄りかかり上体を起こしていた。
腹部はガーゼや包帯で巻かれているも、それ以上何かするつもりもないように見えた。
胸が不規則に軽く上下しているも、今にも止まりそうな吐息だった。
ーまだ生きている。まだ
「な、にをしているんです、早く、早く治療を」
周りのメイドを見渡すも、誰もが下を向き、そして泣き崩れている者もいる。
認めたくなくて、あの人の隣に座りこむと、血があふれていてガーゼと包帯の意味をなしてなかった。ガーゼと包帯も止血、というよりかは、軽く巻かれているだけのように見えた。
最初から助からないと分かっていたからなのかー。
医師が、もう残りは僅かでしょう、と自分より若い者が亡くなってしまうことの憐憫が感じられた。
「お嬢様…。」
いつの間にか横に執事が来ており、2人にしますので、お別れを。と言いさっきはフラフラだった体をシャンとさせて、皆を連れて部屋から出て行った。
私は何も返事ができなかった。
パタン、と扉が閉じられて部屋が静かになった。
メイドと変わって、ユーリ様の頭を膝の上に乗せて覗き込む。
所々血で汚れてはいるがいつも見る綺麗な顔だった。誰かが拭いてくれたのだろう。
何を、すれば。お別れをしなければいけないのですか。
こんなことが起きる前までは、私は貴方と別れる決心がついていたのに。
このような形のお別れは、嫌ですわ。
ユーリ様。ユーリ様、ユーリ様、、、。
あの人の綺麗な顔に涙がポツポツ落ちて、眦に伝って落ちた。
あの人も泣いているみたいだ。
ぅ、っ、うう、と嗚咽が漏れるのを口を塞ぐ。
「ぁ…ーじー」
あの人の声がした。
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