なんでもいい

榊 海獺(さかき らっこ)

文字の大きさ
51 / 101

人の好みは十人十色

しおりを挟む
人の好みは十人十色。僕が出会う人は、この事を忘れている人が多い気がしている。


僕が音楽を精力的にやっていた頃、関東近郊で様々なライブハウスでライブをしていた。そんなライブハウスの中で、女性ミュージシャンばかりをゴリ押ししてくる店長が居るライブハウスがあった。

「カトウちゃんめっちゃいいんだよ。今頑張ってるんだ。お前みたいな趣味でやってる奴とは違うんだよ。」

初対面での出来事。なぜかめっちゃ怒られた。この頃僕はなんとか売れたくて必死だった。そんな中での出来事だ。
ちなみに”カトウちゃん”は僕と同様、アコースティックギターの弾き語りだったのだが、ギターは辛うじて弾けるレベルだった。歌もお世辞にも上手とは言えないレベルだった。(まぁ僕が言えたことではないのですがね。笑)

では、なぜ”カトウちゃん”が店長から絶賛されていたのか。そう。”カトウちゃん”はルックスが良かった。恐らく、ルックスが店長の好みだったのだろう。ゴリ押ししてくる割に、匿ってる感が凄く気持ち悪かったのを覚えている。
案の定、”カトウちゃん”は半年足らずで
「カメラマンになりたい。」
と消えていった。

ちなみに、他のライブハウスのブッカー(ブッキング担当)からこんなことを言われたこともあった。
「なんで初音ミクの良さが分からないんだよ。お前ありえないよ。」
なんかまためっちゃ怒られた。理不尽を絵に描いたような展開だ。
”知らねーよ。”と言いかけて止めた。阿呆らしくなった。
なんか僕はライブハウスの人と直ぐ確執出来るんですよ。不思議な話で。
おっと。話が逸れた。

そして、今思うと大変迷惑で申し訳ない話なのだが、僕は以前新宿の駅前でストリートライブを行ったことがある。その際は5分と持たずに制止が掛かった。(当たり前だ。道路交通法違反だ。)警察官に”もうしません。”と約束をする誓約書のようなものを書かされた。本名とアーティスト名を記載する欄もあったので、本名もアーティスト名も”田中三郎”と知らない人の名前を書いた。住所はとりあえず神谷バーの住所にしといた。
なんだか、やる気が失せて近くの喫茶店で珈琲を飲んで帰ることにした。帰り道、駅へ向かうと、そこには信じられない光景があった。僕がストリートライブをしていた時にすぐ横でライブをしていた女性ミュージシャン(ユニット)がまだストリートライブをしていた。そして、あろうことかあの警察官が腕を組んで聴き入っていた。もう、職務放棄だ。

ライブハウスの店長もブッカーも警官も、結局は自分の好みの押し売りだった。そして、弱者を叩き自分の推しがいかに優れているかを答弁する。そんな中で言うなら、見た目が大人しそうな僕は格好の的だったのだと思う。

僕は今、行きつけのスナックに来ている。先程隣に座っていた人に”ワンオク知らないとかありえなくないっすか?”と言われた。その言葉を聞いた僕は、すぐさまデンモクで沢田研二の『勝手にしやがれ』を入れた。もし彼が知らなかったらどうしてやろうか。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...