なんでもいい

榊 海獺(さかき らっこ)

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人の好みは十人十色

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人の好みは十人十色。僕が出会う人は、この事を忘れている人が多い気がしている。


僕が音楽を精力的にやっていた頃、関東近郊で様々なライブハウスでライブをしていた。そんなライブハウスの中で、女性ミュージシャンばかりをゴリ押ししてくる店長が居るライブハウスがあった。

「カトウちゃんめっちゃいいんだよ。今頑張ってるんだ。お前みたいな趣味でやってる奴とは違うんだよ。」

初対面での出来事。なぜかめっちゃ怒られた。この頃僕はなんとか売れたくて必死だった。そんな中での出来事だ。
ちなみに”カトウちゃん”は僕と同様、アコースティックギターの弾き語りだったのだが、ギターは辛うじて弾けるレベルだった。歌もお世辞にも上手とは言えないレベルだった。(まぁ僕が言えたことではないのですがね。笑)

では、なぜ”カトウちゃん”が店長から絶賛されていたのか。そう。”カトウちゃん”はルックスが良かった。恐らく、ルックスが店長の好みだったのだろう。ゴリ押ししてくる割に、匿ってる感が凄く気持ち悪かったのを覚えている。
案の定、”カトウちゃん”は半年足らずで
「カメラマンになりたい。」
と消えていった。

ちなみに、他のライブハウスのブッカー(ブッキング担当)からこんなことを言われたこともあった。
「なんで初音ミクの良さが分からないんだよ。お前ありえないよ。」
なんかまためっちゃ怒られた。理不尽を絵に描いたような展開だ。
”知らねーよ。”と言いかけて止めた。阿呆らしくなった。
なんか僕はライブハウスの人と直ぐ確執出来るんですよ。不思議な話で。
おっと。話が逸れた。

そして、今思うと大変迷惑で申し訳ない話なのだが、僕は以前新宿の駅前でストリートライブを行ったことがある。その際は5分と持たずに制止が掛かった。(当たり前だ。道路交通法違反だ。)警察官に”もうしません。”と約束をする誓約書のようなものを書かされた。本名とアーティスト名を記載する欄もあったので、本名もアーティスト名も”田中三郎”と知らない人の名前を書いた。住所はとりあえず神谷バーの住所にしといた。
なんだか、やる気が失せて近くの喫茶店で珈琲を飲んで帰ることにした。帰り道、駅へ向かうと、そこには信じられない光景があった。僕がストリートライブをしていた時にすぐ横でライブをしていた女性ミュージシャン(ユニット)がまだストリートライブをしていた。そして、あろうことかあの警察官が腕を組んで聴き入っていた。もう、職務放棄だ。

ライブハウスの店長もブッカーも警官も、結局は自分の好みの押し売りだった。そして、弱者を叩き自分の推しがいかに優れているかを答弁する。そんな中で言うなら、見た目が大人しそうな僕は格好の的だったのだと思う。

僕は今、行きつけのスナックに来ている。先程隣に座っていた人に”ワンオク知らないとかありえなくないっすか?”と言われた。その言葉を聞いた僕は、すぐさまデンモクで沢田研二の『勝手にしやがれ』を入れた。もし彼が知らなかったらどうしてやろうか。

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