なんでもいい

青春の音

　僕が音楽を始めたのとほぼ同じタイミングで、深夜アニメ『BECK』が始まった。主人公の少年 田中幸雄（通称:コユキ）のサクセスストーリーである。ギターを始めて、バンドに加入して、音源制作をして、ライブにフェスに。当時中学生だった僕は、自分と同年代の登場人物に憧れたものだ。

　何にでもすぐに影響を受ける僕は、BECKも同様、登場人物同じ機材を買ってみたり、、、はほとんど出来なかった。学生の登場人物とはいえ、使っている機材はなかなかの物だった。学生には到底手が出せないものばかりだった。

　しかしながら、僕にはどうしても欲しい機材があった。ROGER MAYER（ロジャーメイヤー）のOctavia（オクタヴィア）。劇中では、レスポールとマーシャルのアンプの間に接続されている、ファズのエフェクターだ。※エフェクターというのは、ギターの音色を変える装置である。あのギュイーン！って音がする奴ね。（それで伝わるのだろうか。）
　僕はスーパーのアルバイトで得た給料を握りしめて楽器店へ。当時は\21,000で販売されていた。（現在は\60,000を超えるらしいです。汗）高校生にしてはなかなかの出費である。見つけるや否や、僕は試奏もせずに購入を即決。憧れの機材を抱え、ドキドキで帰路に着いた。

　自宅に戻りギターを抱えて、近所の児童館へ。音楽室にあるYAMAHAのトランジスタアンプに繋げ、ギターを鳴らす。

”ジャラ～ン”

　相性は最悪だった。トランジスタのアンプには全くと言っていいほど合わなかった。そして、ROGER MAYERのOctaviaを単発で使うには、アンプ側である程度歪みを作っておかないと使えない事が分かった。
　しかしながら、僕はそれで懲りることはなかった。その後またバイトに励み、Les Paul Standardを買った。流石にGibsonは手が出せなかったので、EDOWARDSになった。BECKと同じようにOctaviaを繋いで弾いてみる。

”ジャラ～ン”

　やっぱり合わなかった。