Baseball Side Story

榊 海獺(さかき らっこ)

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プロ野球チップス

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 プロ野球チップス。それは野球少年にとって宝物のような物だった。

 ご存知の方も沢山いらっしゃるだろうが、プロ野球チップスというのはその名の通り日本プロ野球のポテトチップスで、ポテトチップスを買うとプロ野球選手のカードが1枚付いてくるというものだ。値段も当時100円を切るくらいだったように思えるので(当時60円くらいか? 違ってたら申し訳ない。)、小学生にも手に取りやすいものだった。
 といっても、毎回そんな同じポテトチップスばかり食べていたら飽きてしまう。でもこれまた有難いことに、ポテトチップスは父の酒のつまみにもなるというハイブリッド性を持ち合わせていた。(物は言いようだな。おい。笑)

 我が家の近所にコンビニがあったこともあり、学校から帰宅後買いに行ったり、父に付いて行ってお酒と一緒に買ってもらったりしていた。
 そんなこんなで買い集めていたある日、父が仕事帰りにカードゲーム用のファイルを買ってきてくれた。
「これ買ってきたから、入れてみ。」
「うん。」
 実際に入れてみると、重ねて輪ゴムで束ねていたのとは違い、実に綺麗に保管することが出来た。
 こうなってくるとこだわり出すのが男の性である。最初はランダムにファイリングしていたのだが、12球団毎に分けてファイリング。丁度1ページに9枚入るファイルだったので、各チーム打順やポジションを考えながらファイリングしていた。横浜ベイスターズであれば1番ショート石井琢朗、2番センター波留敏夫、3番レフト鈴木尚典、、、みたいな。監督にでもなったかのような気分だった。

 ただ、プロ野球チップスのあるシリーズから僕を悩ます問題に出くわす。
「レジェンド選手登場!」
 当時インターネットの普及がほとんどしていなかった時代。過去の選手達のことなど調べようがない。とりあえず、実際に当たってから考えることにし、、、当たった。いきなり長嶋茂雄が当たった。そして、すぐその後に王貞治も。さぁ困った。
 とりあえず、何となく成績とポジションは書いてあったので、それを参考とすることにした。あとは打順(スタメンか。)をどうするのか。
 まずは長嶋茂雄から考える。当時三塁手は元木大介。まぁ元木よりは長嶋だろう。ということで、元木はあっさりと控えに回された。
 次に王貞治。ここは実に悩みどころである。なんてたって当時一塁手は清原和博。球界を代表するスター選手である。(自分で書いてて元木が可哀想になってきた。笑) 
 悩みに悩んだ結果。王貞治に。最終的な理由は、キラ(レア)カードだから。という何ともまぁ小学生らしい理由だった。
 その他に集めると景品に交換出来るラッキーカードなんてのもあったのだが、小学生にとっては完全にハズレ枠だった。1枚分損した感がもの凄かった。

 つい最近近所のスーパーで買い物をしていたら、プロ野球チップスを見付けたので買ってみた。今はもう100円くらいだったので、物価高の波はここまで来たのかと多少のショックを感じながら帰宅。風呂上がりに発泡酒片手にプロ野球チップス開けてみる。
「あれ。カード2枚付いてんじゃん。」
 物価高の煽りを受けているんじゃなくて、仕様変更だったのか? そんなことを考えながらポテトチップスを齧った。ビールに合うな。つまみにしてた父の気持ちが良く分かった。これが大人になるということなのだろうか。
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