4 / 7
四、ハーレムパーティ
しおりを挟む
まあ、こうなってしまったものは仕方がない。私は持参した調合の道具を使って、道中で薬草を採取しながらパーティの回復薬を作ることにした。
久しぶりに見たアランは美貌と色気にさらに磨きがかかっていた。白金の髪は背中まで伸びて後ろで一括りにしている。今では私よりも随分身長が高くなった。いつの間に鍛えていたのか、細身ながらもしっかりと筋肉がついている。
そして磨きがかかったといえば……
「ねえ、アラン。また一緒に遊びましょうよ~」
「ちょっと、エメリーヌ! その汚い胸をアランに擦りつけるのやめてくんない?」
「なによぉ、オティリー? やきもちぃ? みっともなぁい」
「二人とも仲良くできないなら、もう遊ばないよ?」
「「はぁ~い」」
アランのハーレムに拍車がかかっていた。エメリーヌさんは聖女、オティリーさんは弓術士だ。そしてもう一人、格闘士のカロルさんという女性も控えている。皆アランに好意を寄せている。相変わらずだ。
それにしても、なぜ王都くんだりまで来てこんな光景を目にしなければならないのか。アランはやたらとべたべたしてくるし、気分が悪い。
旅の道中の森で、突然アランに腕を引っ張られて、パーティから少し離れた場所へと連れていかれた。
「ローズ、俺、怒ってるんだけど?」
「え、何?」
アランの美しい目が吊り上がっている。
「俺に黙って王都へ行くなんてさ」
「ヴェロニクに言っておけばそのうち伝わるかと思って」
「それはないんじゃない!? 俺は恋人だよ?」
「それは……」
「ローズさん」
アランに答えようと口を開いたときだった。突然後ろから声をかけられたので振り返ると、そこにいたのは魔道士のレアンドルさんだった。
アランを除けば、レアンドルさんはこのパーティでただ一人の男性だ。このハーレム環境の中において、まともに会話できる唯一の心のオアシスだ。
レアンドルさんは黒髪をぼさぼさのまま無造作に伸ばしていて、顔も前髪で隠れてよく見えない。年齢不詳だけど声の感じでは若そうだ。話しているだけで聡明な人だと分かる。
「魔力回復薬の調合について相談したいんですが」
「あ、今行きます。アラン、またあとで」
旅の移動中、レアンドルさんはときどき私の調合を手伝ってくれているのだ。あからさまに不機嫌な表情を浮かべたアランを残して、早々にその場を立ち去った。
拠点へ戻ったあとにレアンドルさんと話したところ、どうやらアランに詰め寄られて困っていた私を助けてくれたらしい。
「余計なお世話でしたか?」
「いえ、助かりました。ありがとうございました」
「彼は……」
「え?」
「……いえ、何か困ったことがあったらいつでも相談してください」
そう言ってレアンドルさんは長い前髪の隙間からニコリと笑った。その瞳はとても綺麗な金色だった。
それからというもの道中ではレアンドルさんと話すことが多くなった。レアンドルさんと話すと、必ずといっていいほどアランがこちらを見ている。
女の子のメンバーは、レアンドルさんのことを地味でもさい男と厭って近付こうともしない。とても優しくて聡明な人なのになんだか悔しい。
レアンドルさんはいろんなことをよく知っていて、努力家で、真面目で、魔法の腕も立つ凄い人なのに。そうぼやくと、レアンドルさんは笑って答える。
「私は容姿のみに惹かれて男性に言い寄る女性があまり好きではありません。だから今の状況が楽なのです」
「そうだったんですか。じゃあ、レアンドルさんはどんな女性が好きなんですか?」
質問した瞬間に失言したと思った。これじゃまるでレアンドルさんにアプローチしてるみたいじゃないか。
「そうですね……。話していて心が安らぐような女性が好きです。その、ローズさんみたいな……」
レアンドルさんはもごもごと口籠って真っ赤になって俯いてしまった。幼いころからアランばかりを見ていた私には、そんなレアンドルさんが新鮮で、とても可愛く見えた。そして多少なりとも好意を持ってもらえているようで嬉しい。
そしてそんな私たちをアランが遠くから見ていたこと、そして血が出るほどに唇を噛み締めていたことに私は気付かなかった。
久しぶりに見たアランは美貌と色気にさらに磨きがかかっていた。白金の髪は背中まで伸びて後ろで一括りにしている。今では私よりも随分身長が高くなった。いつの間に鍛えていたのか、細身ながらもしっかりと筋肉がついている。
そして磨きがかかったといえば……
「ねえ、アラン。また一緒に遊びましょうよ~」
「ちょっと、エメリーヌ! その汚い胸をアランに擦りつけるのやめてくんない?」
「なによぉ、オティリー? やきもちぃ? みっともなぁい」
「二人とも仲良くできないなら、もう遊ばないよ?」
「「はぁ~い」」
アランのハーレムに拍車がかかっていた。エメリーヌさんは聖女、オティリーさんは弓術士だ。そしてもう一人、格闘士のカロルさんという女性も控えている。皆アランに好意を寄せている。相変わらずだ。
それにしても、なぜ王都くんだりまで来てこんな光景を目にしなければならないのか。アランはやたらとべたべたしてくるし、気分が悪い。
旅の道中の森で、突然アランに腕を引っ張られて、パーティから少し離れた場所へと連れていかれた。
「ローズ、俺、怒ってるんだけど?」
「え、何?」
アランの美しい目が吊り上がっている。
「俺に黙って王都へ行くなんてさ」
「ヴェロニクに言っておけばそのうち伝わるかと思って」
「それはないんじゃない!? 俺は恋人だよ?」
「それは……」
「ローズさん」
アランに答えようと口を開いたときだった。突然後ろから声をかけられたので振り返ると、そこにいたのは魔道士のレアンドルさんだった。
アランを除けば、レアンドルさんはこのパーティでただ一人の男性だ。このハーレム環境の中において、まともに会話できる唯一の心のオアシスだ。
レアンドルさんは黒髪をぼさぼさのまま無造作に伸ばしていて、顔も前髪で隠れてよく見えない。年齢不詳だけど声の感じでは若そうだ。話しているだけで聡明な人だと分かる。
「魔力回復薬の調合について相談したいんですが」
「あ、今行きます。アラン、またあとで」
旅の移動中、レアンドルさんはときどき私の調合を手伝ってくれているのだ。あからさまに不機嫌な表情を浮かべたアランを残して、早々にその場を立ち去った。
拠点へ戻ったあとにレアンドルさんと話したところ、どうやらアランに詰め寄られて困っていた私を助けてくれたらしい。
「余計なお世話でしたか?」
「いえ、助かりました。ありがとうございました」
「彼は……」
「え?」
「……いえ、何か困ったことがあったらいつでも相談してください」
そう言ってレアンドルさんは長い前髪の隙間からニコリと笑った。その瞳はとても綺麗な金色だった。
それからというもの道中ではレアンドルさんと話すことが多くなった。レアンドルさんと話すと、必ずといっていいほどアランがこちらを見ている。
女の子のメンバーは、レアンドルさんのことを地味でもさい男と厭って近付こうともしない。とても優しくて聡明な人なのになんだか悔しい。
レアンドルさんはいろんなことをよく知っていて、努力家で、真面目で、魔法の腕も立つ凄い人なのに。そうぼやくと、レアンドルさんは笑って答える。
「私は容姿のみに惹かれて男性に言い寄る女性があまり好きではありません。だから今の状況が楽なのです」
「そうだったんですか。じゃあ、レアンドルさんはどんな女性が好きなんですか?」
質問した瞬間に失言したと思った。これじゃまるでレアンドルさんにアプローチしてるみたいじゃないか。
「そうですね……。話していて心が安らぐような女性が好きです。その、ローズさんみたいな……」
レアンドルさんはもごもごと口籠って真っ赤になって俯いてしまった。幼いころからアランばかりを見ていた私には、そんなレアンドルさんが新鮮で、とても可愛く見えた。そして多少なりとも好意を持ってもらえているようで嬉しい。
そしてそんな私たちをアランが遠くから見ていたこと、そして血が出るほどに唇を噛み締めていたことに私は気付かなかった。
41
あなたにおすすめの小説
(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た
青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。
それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。
彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。
ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・
ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです
ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。
彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。
先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。
帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。
ずっと待ってた。
帰ってくるって言った言葉を信じて。
あの日のプロポーズを信じて。
でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。
それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。
なんで‥‥どうして?
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
【完結】勘違いしないでください!
青空一夏
恋愛
自分の兄の妻に憧れすぎて妻を怒らせる夫のお話です。
私はマドリン・バーンズ。一代限りの男爵家の次女ですが、サマーズ伯爵家の次男ケントンと恋仲になりました。あちらは名門貴族なので身分が釣り合わないと思いましたが、ケントンは気にしないと言ってくれました。私たちは相思相愛で、とても幸せな結婚生活を始めたのです。
ところが、ケントンのお兄様が結婚しサマーズ伯爵家を継いだ頃から、ケントンは兄嫁のローラさんを頻繁に褒めるようになりました。毎日のように夫はローラさんを褒め続けます。
いいかげんうんざりしていた頃、ケントンはあり得ないことを言ってくるのでした。ローラさんは確かに美人なのですが、彼女の化粧品を私に使わせて・・・・・・
これは兄嫁に懸想した夫が妻に捨てられるお話です。あまり深く考えずにお読みください💦
※二話でおしまい。
※作者独自の世界です。
※サクッと読めるように、情景描写や建物描写などは、ほとんどありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる