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五、魔王討伐
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あるとき私は気付いた。私が見ているとき以外は、アランは女の子が傍にいてもあまり嬉しそうな顔をしていない。
だからといって特に気に留めたりはしない。アランが誰と何をしていようと全く気にならないのだ。
だから、アランが切なげな眼差しでときどき私を見ていることも、レアンドルさんに殺気を放っていることも気付かなかった。これはあとからレアンドルさんに聞いた。どうやら私は相当に鈍いらしい。
長い旅路の果てにようやく魔王城へ入った。魔王と対峙してアランが剣で斬りかかる。エメリーヌさんが光魔法でアランを強化し、オティリーさんが援護の矢を発射する。
別の方向からカロルさんが連撃を叩きつけ、レアンドルさんが炎の攻撃魔法を放つ。その間私は、レアンドルさんの張ってくれた結界に守られながら、メンバーの治癒や強化に勤しんだ。あくまでおまけのサポート要員だから実質的な戦力になれないのは仕方がない。
治療のためにアランに近付いたとき、突然魔王の闇の槍がアランに向かって突き出された。
「危ないっ!」
思わず走り出してアランを突き飛ばし、私の体は闇の槍に貫かれた。
「くっ、はぁ……」
「ローズッッ!!」
「ローズさんっ!」
アランとレアンドルさんの声が遠くに聞こえる。私はもう死ぬのかな……。
幼いころからアランに翻弄されただけの人生だった。でも最後にレアンドルさんに会えてよかった。それだけでもう……。
気付いたときにはベッドの上だった。一体ここはどこだろう。魔王の闇の槍に貫かれたはずなのに。
「生きてる……?」
突然視界に入ってきたのは、アランとレアンドルさんの顔だった。ベッドの傍を見ると、他の女性メンバーもいた。皆心配そうな顔で私を見下ろしている。
「私、どうして……」
そう呟くと、アランが私の手を両手で包むように握ったまま泣きそうな顔で説明してくれた。
魔王の槍で貫かれたあと、速攻でアランたちが魔王に止めを刺して、レアンドルさんが傷に回復薬をかけながらエメリーヌさんが治癒魔法を施してくれたらしい。
思ったよりも私は大事にされてたようだ。足手纏いになって申しわけなかったと思う一方で、皆の気持ちが嬉しい。
「皆、ありがとう……」
「何を言ってるんですか。貴女が皆を救ったのですよ」
「レアンドルさん……」
レアンドルさんの眼差しが優しい。また会えてよかった。
そしてアランを助けることもできた。
「そうよ、ありがとうね!」
「私、貴女が死ぬかと思って焦っちゃったんだからぁ」
「意識が回復してよかったよ」
「オティリーさん、エメリーヌさん、カロルさん」
皆が安堵の表情を浮かべる中で、アランが苦しげな表情を浮かべて口を開く。
「ローズ、すまない。俺が無理に討伐に連れ出したばかりにこんな危険な目に……」
「大丈夫よ、助かったんだから。無事でよかったよ」
「やっぱりお前は俺を愛して……」
「……」
「ローズ……?」
「また意識を失ってしまったみたいですね……」
薄れゆく意識の中で、アランとレアンドルさんの声が聞こえた。
しばらく王宮で治療を受けたあとにようやく体が回復して王都の奉公先へ戻ることになった。帰る直前、アランに王宮の中庭に呼び出された。何やら話があるという。
「改めてお礼を言わせて。助けてくれてありがとう」
「いいよ、あんたが死ななくてよかった」
「そんなに俺のことを……」
「アラン、あのさ……」
「ローズ、俺と結婚して!」
ああ、今凄い言葉が聞こえた気がする。空耳かな。
だからといって特に気に留めたりはしない。アランが誰と何をしていようと全く気にならないのだ。
だから、アランが切なげな眼差しでときどき私を見ていることも、レアンドルさんに殺気を放っていることも気付かなかった。これはあとからレアンドルさんに聞いた。どうやら私は相当に鈍いらしい。
長い旅路の果てにようやく魔王城へ入った。魔王と対峙してアランが剣で斬りかかる。エメリーヌさんが光魔法でアランを強化し、オティリーさんが援護の矢を発射する。
別の方向からカロルさんが連撃を叩きつけ、レアンドルさんが炎の攻撃魔法を放つ。その間私は、レアンドルさんの張ってくれた結界に守られながら、メンバーの治癒や強化に勤しんだ。あくまでおまけのサポート要員だから実質的な戦力になれないのは仕方がない。
治療のためにアランに近付いたとき、突然魔王の闇の槍がアランに向かって突き出された。
「危ないっ!」
思わず走り出してアランを突き飛ばし、私の体は闇の槍に貫かれた。
「くっ、はぁ……」
「ローズッッ!!」
「ローズさんっ!」
アランとレアンドルさんの声が遠くに聞こえる。私はもう死ぬのかな……。
幼いころからアランに翻弄されただけの人生だった。でも最後にレアンドルさんに会えてよかった。それだけでもう……。
気付いたときにはベッドの上だった。一体ここはどこだろう。魔王の闇の槍に貫かれたはずなのに。
「生きてる……?」
突然視界に入ってきたのは、アランとレアンドルさんの顔だった。ベッドの傍を見ると、他の女性メンバーもいた。皆心配そうな顔で私を見下ろしている。
「私、どうして……」
そう呟くと、アランが私の手を両手で包むように握ったまま泣きそうな顔で説明してくれた。
魔王の槍で貫かれたあと、速攻でアランたちが魔王に止めを刺して、レアンドルさんが傷に回復薬をかけながらエメリーヌさんが治癒魔法を施してくれたらしい。
思ったよりも私は大事にされてたようだ。足手纏いになって申しわけなかったと思う一方で、皆の気持ちが嬉しい。
「皆、ありがとう……」
「何を言ってるんですか。貴女が皆を救ったのですよ」
「レアンドルさん……」
レアンドルさんの眼差しが優しい。また会えてよかった。
そしてアランを助けることもできた。
「そうよ、ありがとうね!」
「私、貴女が死ぬかと思って焦っちゃったんだからぁ」
「意識が回復してよかったよ」
「オティリーさん、エメリーヌさん、カロルさん」
皆が安堵の表情を浮かべる中で、アランが苦しげな表情を浮かべて口を開く。
「ローズ、すまない。俺が無理に討伐に連れ出したばかりにこんな危険な目に……」
「大丈夫よ、助かったんだから。無事でよかったよ」
「やっぱりお前は俺を愛して……」
「……」
「ローズ……?」
「また意識を失ってしまったみたいですね……」
薄れゆく意識の中で、アランとレアンドルさんの声が聞こえた。
しばらく王宮で治療を受けたあとにようやく体が回復して王都の奉公先へ戻ることになった。帰る直前、アランに王宮の中庭に呼び出された。何やら話があるという。
「改めてお礼を言わせて。助けてくれてありがとう」
「いいよ、あんたが死ななくてよかった」
「そんなに俺のことを……」
「アラン、あのさ……」
「ローズ、俺と結婚して!」
ああ、今凄い言葉が聞こえた気がする。空耳かな。
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