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22、城の地下道
第236話 貧相な護りの犬
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ホムラがリリスの前に立ち、彼の守りに入った。
だが、彼の上着を握り、横からリリスが顔を出す。
ホムラが驚いて身を引いた。
「お待ちを、ここはお城の真下、ここで騒ぎを起こすのは良しとしません。
お前は何者か?なにゆえお前が地龍様の中にいるのか?」
「……チ、リュ、ウ……ノ、シジ」
「指示?お前は地の精霊では無いでしょう。
ここで何をしているのです。」
「ココノ、モリ……マモリ」
「お前が?ここの守?もう一度問います、お前は何者か?」
「……ワ……カラ……ナイ……」
と、
急に小狐がニュッと首を伸ばして振り返ると、ブルブルッと身体を震わせた。
その形が崩れ、容積を増して二つに分かれる。
そしてそれが2匹の一本角の痩せた犬に変化すると、一匹が元来た道へ走り出して消えた。
残った一匹が、その場に座ってまた首をぐるんと回す。
あり得ない角度まで回すから不気味なのだが、そう言う仕草を見たことがあるのだろう。
「急に、……どうしたのです?」
「ムコウ、ナニカ、イタ。オイ、ハラ、ウ。オマエ、クル?」
「他にどなたが……兵でしょうか……」
「いや、兵なら守は動かないのではないか?
だいたいこんな地下通路なんてうわさくらいしか聞いたことが無い。
一般兵は知らんだろう。」
ガーラントが後ろから耳打ちする。
それはそうだ、ここは王家だけが知る逃げ道なのだ。
他に知るものがいるとしたら、精霊と魔導師だろう。
「なるほど……、わかりました。警戒して進むしか無いでしょう。
一本角のあなた様、……お名前は、ないのですね。
……形を変えるところを見ると、一度見た物に変わっているのでしょうか。
地龍様とはお話し出来ますか?」
「ワ、カラナイ」
「そう……
地の精霊でもないようだし、あなたは一体何なのでしょう……地龍様の使い魔でしょうか?」
問いがわからないのか、自分がわからないのか、犬のような物は首がねじ切れそうなほどぐるりと回す。
「……オマエ、クル?」
リリスがクスッと笑って大きくうなずいた。
「よろしくお願いしますね。」
犬はぴょんと跳び上がり、リリスの前でくるりと回って先頭を行く。
「では、行きましょう。」
リリスがにっこり振り向くと、エリンがうなずき彼の前に出ようとする。
「待たれよ!お待ちを!」
だが、白装束のホムラが慌てて彼を遮った。
「このような貧相で不気味な物が、信用足るのか?
これは罠かもしれんのだぞ?!地のしもべならば、もっと……何か、こう、見栄えの良い……」
珍しく、リリスの横に並んでホムラが問いかける。
だが、リリスは人ごとのように、さあ……とつぶやき、ホムラが驚いて口を開く前に、またしいっと指を立てた。
「地龍様のご指示であることに間違いは無いような気がします。
不気味な物が信用出来なければ、私など誰からも信用されません。」
「な……」
それは自分も同じ事、ミスリルである自分にも跳ね返ってしまう。
何故か不意に懐かしさがこみ上げて唇を噛んで考えると、何度もリリサレーンに同じようにたしなめられた記憶がよみがえる。
「ね?行ってみましょう?
何かあったら、守って頂けますか?」
満面に、ニッコリ微笑んで聞かれて、ホムラがうろたえた。
「無論……我らはその為に……」
リリスの顔を見て、一つ息を吐く。
もう、とっくに彼を認めている自分がいる。
後ろの二人も同じだろう。
否定の言葉など、つぶやきさえ聞いたことも無い。
顔を上げ、彼の前に出る。
「お主はわしの後ろだ、忘れるな。」
「あ、そうでした。」
リリスがペロリと舌を出してホムラの後ろに付く。
エリンがフフッと微笑み、その斜め後ろに付いた。
一本角の犬は、先で振り返ったまま待っている。
ホムラが歩き出して、前を向いたまま告げた。
「お主は我らの真ん中で堂々としているのが仕事なのだ。
前に出るのはおこがましいと知るがよい。」
「うふふ、それはなかなか慣れません。でも心に留め置きます。」
後ろでブルースたちが、ヤレヤレと息をつく。
「さて、結果は出ましたかな?巫子殿。」
「ええ!皆様、さあ参りましょう。
私はこんなにお強い方に囲まれて、なんて心強いことでしょう。
先の見えない道でも、私にはとても明るく見えるのです。」
ホムラが小馬鹿にしたようにフンと鼻を鳴らす。
小さく笑いながらリリスは、その背中が頼もしく見えた。
だが、彼の上着を握り、横からリリスが顔を出す。
ホムラが驚いて身を引いた。
「お待ちを、ここはお城の真下、ここで騒ぎを起こすのは良しとしません。
お前は何者か?なにゆえお前が地龍様の中にいるのか?」
「……チ、リュ、ウ……ノ、シジ」
「指示?お前は地の精霊では無いでしょう。
ここで何をしているのです。」
「ココノ、モリ……マモリ」
「お前が?ここの守?もう一度問います、お前は何者か?」
「……ワ……カラ……ナイ……」
と、
急に小狐がニュッと首を伸ばして振り返ると、ブルブルッと身体を震わせた。
その形が崩れ、容積を増して二つに分かれる。
そしてそれが2匹の一本角の痩せた犬に変化すると、一匹が元来た道へ走り出して消えた。
残った一匹が、その場に座ってまた首をぐるんと回す。
あり得ない角度まで回すから不気味なのだが、そう言う仕草を見たことがあるのだろう。
「急に、……どうしたのです?」
「ムコウ、ナニカ、イタ。オイ、ハラ、ウ。オマエ、クル?」
「他にどなたが……兵でしょうか……」
「いや、兵なら守は動かないのではないか?
だいたいこんな地下通路なんてうわさくらいしか聞いたことが無い。
一般兵は知らんだろう。」
ガーラントが後ろから耳打ちする。
それはそうだ、ここは王家だけが知る逃げ道なのだ。
他に知るものがいるとしたら、精霊と魔導師だろう。
「なるほど……、わかりました。警戒して進むしか無いでしょう。
一本角のあなた様、……お名前は、ないのですね。
……形を変えるところを見ると、一度見た物に変わっているのでしょうか。
地龍様とはお話し出来ますか?」
「ワ、カラナイ」
「そう……
地の精霊でもないようだし、あなたは一体何なのでしょう……地龍様の使い魔でしょうか?」
問いがわからないのか、自分がわからないのか、犬のような物は首がねじ切れそうなほどぐるりと回す。
「……オマエ、クル?」
リリスがクスッと笑って大きくうなずいた。
「よろしくお願いしますね。」
犬はぴょんと跳び上がり、リリスの前でくるりと回って先頭を行く。
「では、行きましょう。」
リリスがにっこり振り向くと、エリンがうなずき彼の前に出ようとする。
「待たれよ!お待ちを!」
だが、白装束のホムラが慌てて彼を遮った。
「このような貧相で不気味な物が、信用足るのか?
これは罠かもしれんのだぞ?!地のしもべならば、もっと……何か、こう、見栄えの良い……」
珍しく、リリスの横に並んでホムラが問いかける。
だが、リリスは人ごとのように、さあ……とつぶやき、ホムラが驚いて口を開く前に、またしいっと指を立てた。
「地龍様のご指示であることに間違いは無いような気がします。
不気味な物が信用出来なければ、私など誰からも信用されません。」
「な……」
それは自分も同じ事、ミスリルである自分にも跳ね返ってしまう。
何故か不意に懐かしさがこみ上げて唇を噛んで考えると、何度もリリサレーンに同じようにたしなめられた記憶がよみがえる。
「ね?行ってみましょう?
何かあったら、守って頂けますか?」
満面に、ニッコリ微笑んで聞かれて、ホムラがうろたえた。
「無論……我らはその為に……」
リリスの顔を見て、一つ息を吐く。
もう、とっくに彼を認めている自分がいる。
後ろの二人も同じだろう。
否定の言葉など、つぶやきさえ聞いたことも無い。
顔を上げ、彼の前に出る。
「お主はわしの後ろだ、忘れるな。」
「あ、そうでした。」
リリスがペロリと舌を出してホムラの後ろに付く。
エリンがフフッと微笑み、その斜め後ろに付いた。
一本角の犬は、先で振り返ったまま待っている。
ホムラが歩き出して、前を向いたまま告げた。
「お主は我らの真ん中で堂々としているのが仕事なのだ。
前に出るのはおこがましいと知るがよい。」
「うふふ、それはなかなか慣れません。でも心に留め置きます。」
後ろでブルースたちが、ヤレヤレと息をつく。
「さて、結果は出ましたかな?巫子殿。」
「ええ!皆様、さあ参りましょう。
私はこんなにお強い方に囲まれて、なんて心強いことでしょう。
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ホムラが小馬鹿にしたようにフンと鼻を鳴らす。
小さく笑いながらリリスは、その背中が頼もしく見えた。
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